● 新橋のホテルに1泊した。今日帰るんだけど,せっかく東京に出てきたんだから,演奏会を聴いて帰りたい。
毎度そう考えるわけだが,そろそろ,そんなことも言ってられなくなった感がある。コロナの影響が世の中を分厚く覆ってきたからだ。
東京に泊まるのだって,こういう時期だからこそ泊まろうと考えてそうしているのだが,そういうわけにも行かなくなってきている。ひょっとすると,ホテル側としてもそんな義侠心(?)は迷惑なだけかもしれない。
● クラシック音楽の演奏会も,中止や延期にするところがあるという状態はもう過ぎた。中止があたりまえで,開催するところが例外だ。
開催する場合でも,言い訳が必要になっている。なぜ開催することに決めたのかを縷縷説明しなくちゃいけない雰囲気が,鬱陶しくも,動かしがたく蔓延している。
この空気がいつまで続くのかはわからない。1ヶ月で終わるのか,五輪前には終わるのか,ひょっとするとそれ以上になるのか。
大田区市民プラザ |
場所は下丸子の大田区民プラザ。新橋から山手線,品川で京浜東北に乗り換えて蒲田(品川で乗り換えたのは失敗。跨線橋を渡ることになる)。東急多摩川線に乗り換えて,下丸子に来た。過去に何度か来ているので,迷うことはない。
● 東急多摩川線の列車に乗ると,宇都宮に着いたのかと錯覚しそうになるほど,車内の空気は鄙びるわけだが(東京というより,武蔵国といった方がピッタリくる),栃木県民にそんなことを言われる筋合いはないよな。
「翔んで埼玉」だって,埼玉だからこそアミューズメント作品になるのであって,「翔んで栃木」とか「翔んで群馬」っていうんじゃ,洟もひっかけられないだろうよ。箸にも棒にもかからない輩が何を言うかという話だね。
● 開演は午後1時。入場無料。
で,入場時にもらったプログラム冊子を見て気づいたのだけど,この楽団はもっぱらゲーム音楽を演奏しているようだ。
ゲーム音楽といっても,ドラゴンクエストやファイナルファンタジーではなく,「ファイアーエムブレム,ティアリングサーガ,ヴェスタリアサーガの曲を中心に演奏活動をしているアマチュアの楽団です」ということだ。加賀昭三さんのゲームに特化しているってこと?
と,わかったふうなことを書いてみたけれども,ぼくはゲームにはまったく疎い。
● 曲目は次のとおり。
第1部
ファイアーエムブレムヒーローズ より「Fire Emblem Heroes メドレー」
Vestaria Saga I より「Vestaria Saga ゼイドとシルティンメドレー」
ファイアーエムブレム 覚醒 より「きらーんって来て,ばーんみたいな感じ?」
ファイアーエムブレム if より「水底の記憶~濫」
ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 より「ずっと敵のターン」
ファイアーエムブレム トラキア より「正義をかけて~トラキア776バトルメドレー」
第2部
ファイアーエムブレム Echoes (前編)より「タイトルループ」「ワールドマップメドレー」「悪逆の気配~序:悪逆の気配」「ミラの加護とともに」「出逢い」
第3部
ファイアーエムブレム Echoes (後編)より「在りし日の唄~悲しみの大地」「往く地の果てには」「ベルクト様メドレー」「神よ,その黄昏よ」「アルカディアの継ぎびと」
アンコール
ファイアーエムブレム 外伝 より「Fire Emblrem 外伝メドレー - RdM Version -」
ファイアーエムブレム 風花雪月 より「天裂く流星」
● 何が何だかさっぱりわからないわけだが,ゲーム音楽を聴くのに,そのゲームについて知っていないと音楽がわからないか(楽しめないか)といえば,そういうわけのものでもないだろう。
吹奏楽ではディズニーメドレーやジブリメドレーは定番のひとつになっているけれども,「アナと雪の女王」や「となりのトトロ」を見ていないと,楽しめないかというとそうではない。
● 知っているに越したことはないとは言えるだろうか。音楽もゲームの内容に合わせて作られるものだから,当然にして答えはイエスかというと,そうとも言えないような気がする。
鑑賞の仕方は自由であるべきで,突拍子もない聴き方もあってよい。ところが,ゲームの内容を知っていると,それに縛られて,自由の幅を狭くしてしまうことがあるかもしれない。
● でも,まぁ,それはためにする議論というもので,内容を知っていることとゲームを体験して得た多くのディテールが,音楽を聴くときのとっかかりになるとしたものだろう。
ゲーム音楽をゲームと完全に切り離して,音楽それ自体として聴こうとする人は少数派(というか,ほとんどいない)だろう。
ステージ上の団員もキャラクターの衣装や帽子を着けて盛りあげようとしているし,どうやらお客さんのかなりの部分も,ファイアーエムブレムやティアリングサーガのヘビープレーヤーであるらしいのだ。
● つまり,今回のこのホールは,ぼくには完全なるアウェイでありました。招かれざる客であったかもしれない。
正直なところ,第1部から3部までの楽曲がどれも同じように聴こえてしまったところもあった。勉強して出直して来い,と言われても仕方がないか。
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