2025年2月16日日曜日

2025.02.16 In Tempo 室内楽演奏会

鹿沼市民情報センター マルチメディアホール

● 鹿沼市民情報センターで In Tempo の室内楽演奏会(In Tempo le solistes 室内楽演奏会 joyas de la Musica という名称になっている)。
 何気にありがたいのが,TEKET に対応していること。今でも紙のチケットにこだわる人はいるに違いない。記念に手帳に貼っておくとかね。

● が,ぼくは TEKET 支持派。チケットを買うのにどこぞのプレイガイドに出向かなければならないのは面倒だし,“ぴあ” に数百円のシステム使用料を払わなければいけないのはバカバカしい。
 電子チケットの方がありがたい。これはコロナ禍で一気に普及した。コロナ禍の恩寵だと思っている。

● というわけで,電子チケットで入場。開演は14時。
 曲目は次のとおり。
 シューベルト 弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調
 モーツァルト ガンツ・クライネ・ナハトムジーク
 ボロディン 弦楽六重奏曲 ニ短調
 ブラームス 弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調

● この弦楽奏団の演奏を聴くのは,これが三度目になる。音大を卒業したばかりの若いメンバーの演奏。
 若いというのはそれだけで価値がある,とロートルのぼくは思っている。それだけで座を明るくする。
 中高年が若ぶるのは滑稽と悲惨しか感じさせないが(中高年なりの魅力の発散の仕方があるだろう),正真正銘の若さはそれ自体が価値だ。
 演奏の途中で楽器に不具合が生じて,演奏をやり直すという局面があったのだが,若ければそれも愛嬌ですむ。

● 「ガンツ・クライネ・ナハトムジーク」は,昨年発見されたらしい。モーツァルトが10代前半に作曲したとされる。
 すでに音源も出版されているようだし,こういう時代だから三重奏版はネットで聴くこともできる。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の円熟には遠いけれども,これはたしかにモーツァルトじゃないかと,素人にも思わせる。

● 他にも,シューベルト,ボロディン,ブラームスという本格的な弦楽曲のプログラムで,こうした室内楽を地元で聴ける機会が増えた。交響曲や協奏曲に比べると,CDで聴くときとの落差は少ないかもしれないが,生で聴ける機会が地方ではそんなにない(そんなにないのであって,まったくないわけではない)。
 その機会を増やしてもらえるのはありがたいことだと思っている。

● あと,こうした室内楽は聴き手の技量を問うところもあると思っている。壮大なシンフォニーならどうにか取っ付きどころを見つけられても,室内楽はそれを許してくれない。
 アンタにこれが受けきれるかい? と逆に問われるような気分になることがある。聴き手の技量を磨ける機会も増えるということだ。

2025年2月11日火曜日

2025.02.11 東京大学音楽部管弦楽団 第110回定期演奏会

武蔵野市民文化会館 大ホール

● 三鷹に向かっているのだが。快速湘南新宿ライン逗子行きが,古河を過ぎたところで徐行運転。強風のためという。なるほど,畑から土ぼこりが舞いあがっている。
 こと時期の風物詩と言えば言える。もっと北ではもっと強い風が吹いているかもしれない。

● そんな中を東京まで出ていったのは,東大オケの定演があったからね。よほどのことがない限りは聴いておきたい楽団のひとつでしょ。
 開演は13時30分。チケットは2,000円。TEKET で購入。TEKET が普及してほんとに便利になった。ちょっと前までは,メールでのやり取りなんかをしてたんですよ。

● プログラムはオール・ロシア。何かと世界を騒がさているロシアだけれども,それはそれ,これはこれ。指揮は田代俊文さん。
 グラズノフ 祝典序曲
 プロコフィエフ 交響曲第1番「古典」
 ラフマニノフ 交響曲第2番

● 生演奏がいいのはCDでは決して味わい得ない音量と音圧を感じることができることと,視覚情報があることだ。演奏している様をリアルタイムで見ることができること。
 その視覚を満足させるのに,この楽団の右に出るところはそうそうないのではないかと思っている。ピンと張りつめた緊張,過ぎない躍動,没頭している様。

● いずれも間然するところのない見事な演奏。結果を出してくる楽団だ。
 音大ではない一般大学の学生がここまでできることに驚く。何度も驚いているのだが,この驚きは何度味わっても新鮮だ。

● プログラム冊子も学術書かと見紛うほどに硬派なもの。これを読み通せる人がいるんだろうか。
 恥ずかしながら,ぼくは読み通せたことがない。脚注まであって,まるで論文を読んでいるような気分になる。

● にしても,今日は寒かった。風が強いから体温がどんどん奪われていく。
 三鷹駅構内の「いろり庵きらく」に避難して,天ぷらそば。590円。よくこの価格で抑えているとは思うんですけどね,この3年間でずいぶん高くなったねぇ。

2025年2月9日日曜日

2025.02.09 栃木県交響楽団 第116回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 栃響の定演。開演は14時。チケットは,当然,前売券を買っておいた。
 今回の曲目は次のとおり。
 ワーグナー 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
 J.ウィリムズ 「スター・ウォーズ」組曲
 ブラームス 交響曲第1番

● 指揮は三原明人さん。栃響との共演もだいぶ回を重ねている。指揮者にとってもオケにとっても,ずいぶんとやりやすくなっているのだろうと思う。
 ちなみに,次回はストラヴィンスキー「春の祭典」を三原さんの指揮で演奏する。コロナ禍でいったん保冷庫に入っていたもの。

● メインはブラームスの1番だし,楽しみにしていたのは「スター・ウォーズ」だった。
 が,実際に聴いてみたら「さまよえるオランダ人」が最も印象に残った。わりとありがちなこと。

● 指揮者の三原さんが発するエネルギーが迸る。ワークライフバランスなどと言っていてはこうはならない。音楽に憑かれた人という感じね。
 この世界にはそういう人がゴロゴロいるんでしょう。そうした個々の奏者の “献身” がこの世界を支えていると思うことはしばしばある。世界を支えようと意図してそうしているわけではないんだろうけど,結果として支えている。

● これだけの演奏をするのだから,録音して音源として残せばいいのにと思うのだが,CDがどれだけ売れないかは一応知っているのでね。正直なところ,自分でも買うかどうかわからない。
 ポップスやロックは知らず,クラシックのCDが売れなくなったのは,ストリーミングの普及より,CD自体が飽和状態になっているのが原因ですかねぇ。同一曲のCDを何枚も買い揃えて聴き比べる,という情熱の持ち主はそんなにいない(と思う)。皆さん(ぼくもそうだが),もっとライトな聴き方をしているでしょ。
 といっても,カラヤンのCDが売れまくっていた頃から似たような状態だったもんねぇ。やっぱ,インターネットが,ブツとして質量を持つCDを,ユーザーから遠ざけさせたんですかね。

● おそらく,次はライヴの飽和が現れる。少子高齢化で観客は減少するのに,ライヴは増える。目にはさやかに見えねども,というゆっくりした速度でそれが進行する。どの世界もそうだろうが,なかなかに明るい未来は描きにくい。
 未来などに視野に入れる必要がないほどに,現在に没頭しているのがステージ上の奏者たちなのだとも思える。

● にしても。今年の冬は寒すぎるし,こんなに寒いのに花粉がすごすぎる。
 けど,今日は寒さも和らいだ。あと,日が延びてますよね。春近しを感じさせもしますよ。