何気にありがたいのが,TEKET に対応していること。今でも紙のチケットにこだわる人はいるに違いない。記念に手帳に貼っておくとかね。
● が,ぼくは TEKET 支持派。チケットを買うのにどこぞのプレイガイドに出向かなければならないのは面倒だし,“ぴあ” に数百円のシステム使用料を払わなければいけないのはバカバカしい。
電子チケットの方がありがたい。これはコロナ禍で一気に普及した。コロナ禍の恩寵だと思っている。
● というわけで,電子チケットで入場。開演は14時。
曲目は次のとおり。
シューベルト 弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調
モーツァルト ガンツ・クライネ・ナハトムジーク
ボロディン 弦楽六重奏曲 ニ短調
ブラームス 弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調
● この弦楽奏団の演奏を聴くのは,これが三度目になる。音大を卒業したばかりの若いメンバーの演奏。
若いというのはそれだけで価値がある,とロートルのぼくは思っている。それだけで座を明るくする。
中高年が若ぶるのは滑稽と悲惨しか感じさせないが(中高年なりの魅力の発散の仕方があるだろう),正真正銘の若さはそれ自体が価値だ。
演奏の途中で楽器に不具合が生じて,演奏をやり直すという局面があったのだが,若ければそれも愛嬌ですむ。
● 「ガンツ・クライネ・ナハトムジーク」は,昨年発見されたらしい。モーツァルトが10代前半に作曲したとされる。
すでに音源も出版されているようだし,こういう時代だから三重奏版はネットで聴くこともできる。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の円熟には遠いけれども,これはたしかにモーツァルトじゃないかと,素人にも思わせる。
● 他にも,シューベルト,ボロディン,ブラームスという本格的な弦楽曲のプログラムで,こうした室内楽を地元で聴ける機会が増えた。交響曲や協奏曲に比べると,CDで聴くときとの落差は少ないかもしれないが,生で聴ける機会が地方ではそんなにない(そんなにないのであって,まったくないわけではない)。
その機会を増やしてもらえるのはありがたいことだと思っている。
● あと,こうした室内楽は聴き手の技量を問うところもあると思っている。壮大なシンフォニーならどうにか取っ付きどころを見つけられても,室内楽はそれを許してくれない。
アンタにこれが受けきれるかい? と逆に問われるような気分になることがある。聴き手の技量を磨ける機会も増えるということだ。