栃木県総合文化センター リハーサル室
● 27日(土)。総文センターのリハーサル室で「とちぎ文化フェスティバル」の行事のひとつ,『創作噺と箏の響き』が開催された。 邦楽の演奏会。コピーには「箏曲の調べにのせて,のんき亭喜楽コト清水一朗の創作噺をお届けします」とあった。
整理券は必要になるが,無料。リハーサル室はギャラリー棟の地下2階にある。もちろん,ここに足を踏み入れるのは初めてのこと。
● 2部構成になっていて,第1部はまず和久文子さんの箏「翼にのって」(作曲:沢井忠夫)の演奏。その後,清水一朗さんが創作噺「鬼の涙」を披露。噺のバックは三味線・太鼓の代わりに箏と尺八。
清水さんは落語の創作を仕事のひとつにしているらしく,「鬼の涙」はだいぶ前に創ったもので,プロの落語家も演じているそうだ。のんき亭喜楽と名乗るアマチュア落語家でもある。
● 第2部は先に清水さんが「やぶれ凧」を演じた。これも氏の創作噺。こちらはプロが取りあげたことはまだないとのこと。
プロの落語家と交流もあって,桂歌丸に言及した。喉の調子が悪くて「笑点」の収録に欠席していたというような話から,煙草をやめればよかったんだよ,やめたのは最初に倒れた後だったからなぁ,と続け,自身の体調の話につなげた。
氏はだいぶ高齢で,膝があまり良くないらしい。主治医に正座はするなと言われているんだそうだ。
● 次いで,和久文子さんの十七弦,長峯朋子さんの箏,福田邦智さんの尺八で「道化師」を演奏。これも作曲は沢井忠夫。
和久文子さんの箏は,以前,「宇大教員の演奏会」で聴いているが,今回はそれとは比較にならないほどにタップリと聴かせてもらえた。
印象に残ったのは尺八の福田さん,まだ若いのに達者なものだ。尺八協奏曲だと言いたくなりますな。箏は伴奏のピアノの役柄。
こういう捉え方は当然間違っているんだろうけれども,尺八の遠くまで通る澄んだ音を聴いていると,どうしても主役は尺八だと思ってしまう。
● 西洋のクラシック音楽なら,当日,自分の身体を会場まで運んでいけば,あとは黙って座っているだけで,満足して帰してもらえるが,邦楽はそういうわけにはいかないようだ。こちら側にけっこうな鑑賞力を要求されるという印象。
自分でも箏を弾くとか尺八を吹くとか,何らかの形で演奏側に立ったことのある人でなければ,鑑賞して楽しいと思えるところまではなかなか行けないのかも。
● アンコール曲は「春の海」。最後にこの曲を聴いて,納得して帰ったお客さんは多かったでしょうね。これを演奏しないわけにはいかないんだろうなぁ。
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