2010年2月28日日曜日

2010.02.11 陸上自衛隊第12音楽隊第46回定期演奏会

高根沢町町民ホール

● 2月に入って,11日(木)はちょっと毛色が違う演奏会を聴いてきた。陸上自衛隊第12音楽隊の演奏会。陸上自衛隊第12旅団の音楽隊だから第12音楽隊。
 群馬県榛名村に所在する。定期演奏会は年1回で,群馬県の外で開催するのは今回が初めてとのことだった。
 で,どこで開催したのかというと,高根沢町民ホールなのでした。第12旅団とともに,高根沢町も主催者に名を連ねていた。

● このホールに入るのは初めて。この種の施設(多目的ホール)はたいていの市町にあるが,はたしてどれほど使われているものやら。座席数も総文センターや宇都宮市文化会館の大ホールと小ホールの中間で,いかにも中途半端という印象だ。
 満員にできても,興業は黒字にならないだろうと思える。町の人口規模からして仕方がないのだろうけれど。

● 町のサイトにもこのホールの行事予定が載っていない。ホールでどんな催しがあるのかもわからない。今回の演奏会はヨメがどこかで聞いてきたらしく,無料の鑑賞券を持ってきてくれたんだけど,それがなければこの演奏会が行われることを知らないで過ぎたろう。

● で,その演奏会なんだけども,客席は見事に満席。ぼくは例によって早めに着いたのだが,その時点ですでにだいぶ埋まっていた。
 音楽なんて聴いたこともないと思われるオジチャン&オバチャンたちが多かった。けれども,だから鑑賞マナーが悪いなんてこともなく,皆さん,ごく静かに聴いておられました。

● ステージ側も,1年間の研鑽の結果を披露するというよりは,市民にエンタテインメントを提供することに徹していた。これならオバチャンたちも退屈しないで楽しめたはずだ。子どもたちも楽んだことだろう。
 昨年6月に聴いた日本音楽著作権協会(JASRAC)の「音楽職人が創るステージ」を思いださせた。客席に楽しんでもらうことを第一義にして,自分たちはサービスマンに徹する。自衛隊をPRするための手段としての位置づけがハッキリしている。

● まずは「空の騎兵隊」から入った。自分たちのテーマソングだ。次は,バンクーバー冬季五輪が近いのにちなんで,東京・札幌・長野オリンピックのファンファーレを映像を交えて紹介。札幌冬季オリンピックではトワエモアの「虹と雪のバラード」がテーマソングになっていたが,それを行進曲風にアレンジした「虹と雪」を演奏して,第1場面は終了。
 指揮者も客席に対するのに,お辞儀ではなく敬礼をもってする。女子自衛官が司会を務めて,いちいち曲目を紹介する。プログラムに語らせて,自分たちは黙々と演奏だけするというスタイルではない。エンタテインメントの基本をちゃんと踏まえていました。

● 第2場面はジャズナンバー。自衛隊の音楽隊だからマーチングバンドだ。吹奏楽だ。弦はない。ジャズの演奏には適している。「茶色の小瓶」「ムーンライトセレナーデ」「インザムード」の3曲を演奏したのだが,演奏する隊員も裃を脱いで伸び伸びしているようだった。

● 第3場面は「八木節」の演奏。若手隊員4名が踊りも披露して盛りあがった。司会者は群馬県の民謡と紹介したが(それで正しいわけだが),栃木県の民謡だったんじゃないのと思ったお客さんもいたかもね。

● ここで第1部が終了。15分間の休憩の後,第2部へ。
 第4場面はこの演奏会で唯一のクラシック演奏。コルサコフの「グリンカの主題による変奏曲」を演奏した。オーボエ独奏は三浦朝絵さん(陸士長)。福島県出身で愛知県立芸術大学を卒業後,数年後に音楽隊に入隊したと,司会者の紹介があった。ごく普通のお嬢さん。
 実際のところ,隊員はやはりクラシックを演奏したいのだろうか。そういう目で見るからかもしれないのだが,彼らはこのときが最も集中していたように見えた。たんに難易度が最も高いからってのがその理由かもしれないんだけどね。

● 第5場面は日課号音の紹介。起床ラッパ,食事ラッパ,課業開始ラッパ,消灯ラッパなどをトランペット(3人)で吹いてみせた。
 次いで「音楽劇 ある一通の手紙から」と題して,隊員の1日を演奏と寸劇で表現してみせた。その中で「浜辺の歌」と「世界に一つだけの花」を演奏した。

● 最後,第6場面は組曲「宇宙戦艦ヤマト」の演奏。若い隊員がナレーションをつけた。照れないでしっかりやっていたので,充分に楽しめた。組曲「宇宙戦艦ヤマト」のCDを買おうかと思ったくらい。アンコールは「川の流れのように」と「崖の上のポニョ」。

● いろんな所に演奏家はいるものだと,また思わされた。彼らの腕はプロ級だから,このようなバラエティーになっても,しっかりと演じきってくれる。相当に質の高いエンタテインメントを堪能できた。満足した。タダでこういう時間を過ごさせてもらったのだから,文句を言うところは何もない。

● 自衛隊の装甲車など実物も展示されていたし,戦闘機の模型も販売されていた。ムスコが喜びそうな展示・販売だ。横須賀海軍カレーなんてのも販売されていた。
 天気がね,寒かったのと雨がかかっていたのがね,残念だった。演奏が終了したあとは,皆さん,家路に急いでいたようで,展示を見ている人はあまりいなかった。ぼくも同じだったけど。

● オバサン方に制服フェチがけっこういるようだった。制服姿の隊員を見て,かっこいいわねぇと感に堪えた様子のオバサンの気持ちはしかし,わからないわけではないね。鍛えられた体を制服で包んで,シャキッと立っている様子は,凛々しさを絵に描いたようだからねぇ。

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