約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2010年6月30日水曜日
2010.06.01 FMシンフォニーコンサート(東京フィルハーモニー交響楽団)
宇都宮市文化会館大ホール
● 次は6月1日。宇都宮市文化会館大ホールで「FMシンフォニーコンサート」があった。NHK-FMの公開録音ですね。開演は6時半。
● 久しぶりに東武電車で乗ってみる気になった。ひと駅乗って,南宇都宮で下車。小さな旅をしているという思いがあった。お金をかけなてくも,遠くへ行かなくても,旅ってできる。
● 5時半に文化会館に到着。正面入口の前から長い行列ができていた。ぼくも最後尾に並んだ。今回の演奏会は無料。整理券が必要だが,それは事前にNHKに申し込んで応募者多数の場合は抽選ということだった。ぼくも申し込んでめでたく整理券が返送されてきたというわけだ。往復ハガキをここまで有効に使えたことはなかったかもしれない。
● 演奏するのは東京フィルハーモニー交響楽団。プロのオーケストラの演奏をタダで聴けるわけだから,この行列にも納得がいく。
大ホールの座席はほぼ満席。ところどころに空きはあるが(ぼくの右隣も空いていた),ギッシリと人で埋まった。
とはいっても,クラシック音楽のコンサートなんかタダでも願い下げっていう人が多いだろうから,やはり貴重な人たちといっていいのかも。以前のぼくも,縁なき衆生のひとりだったわけだけど。
● 曲目はオールベートーヴェン。エグモント序曲にピアノ協奏曲第3番,交響曲第6番「田園」。指揮者は曽我大介氏の予定が急病のため渡邊一正氏に変更。ソリスト(ピアノ)は若林顕氏。輝かしい受賞歴を持ち,現在は桐朋の教授も務めている。
この楽団はNHK交響楽団と違って,女性奏者が多かった。コンサートマスターは外国人男性。
さすがはプロの安定感。細かいところまで神経が行き届いている。届かそうとしないでも届く感じっていうか。こういうのを達者というのだろう。何せ,これがNHK-FMで放送されるのだしね。
● 個性的な弾き方をする奏者もいた。コントラバスの男性はあの大きな楽器をスイングさせながら,体を大きく振りながら演奏する。プロレスをしているのか,おまえは,と突っこみたくなった。こういうのを見て真似するアマチュアが出るだろうな。
クラリネットの女性奏者の髪型が,中学生のときに憧れていた女子のそれと同じで,懐かしかった。どうでもいいでしょうけど,ぼく,ショートヘアが好きなんですよね。彼女をじっと見てましたね。オペラグラスを持ってくればよかったと思った。
● 次々に紡ぎだされる音楽を聴きながら,とても贅沢な時間を過ごしているなと自覚した。これが東京なら帰りの電車を気にしなければならないところだ。宇都宮だからそんな無粋なことをしなくてすむ。
「田園」を聴いているとヨーロッパの田舎の風景が浮かんでくる。しばし,その風景の中で遊んでみる。こういう時間が持てる自分の境遇を自分で言祝ぎたくなる。何者かに感謝したくなる。
ぼくだけのことではない。客席も大いに盛りあがった。盛大な拍手で奏者を乗せた。客席のマナーは拍手を惜しまないことだとあらためて教えてもらった。
● どの曲目でもそうだけれど,弦は最初から最後まで出ずっぱりだ。一方,管は控えている時間が長い。出ずっぱりだったら,血圧が上がって死んでしまう(んなこたぁないか)。
● 東京フィルハーモニー交響楽団,プロだけど気さくな感じですな。団員が160人いるので,演奏メンバーはその都度違うだろう。いつも今回のメンバーで演奏するわけではないのだろう。にしても,この楽団の演奏を聴く次の機会があれば。
今回に関していえば,NHKさん,ありがとう,ということです。これだけの演奏をタダで聴ける機会を与えてもらったわけだから。
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