栃木県総合文化センター メインホール
● 5月1日。この日,総合文化センターで「くろいそオペラをつくる会」による喜歌劇「メリー・ウィドウ」の公演があった。3月13日公演予定だったのが,この日に延びたものだ。
総監督は荻野久一氏。高校で音楽の教鞭を執っていた先生。指揮は奥さんの荻野治子さん。
お客さんはかなり入っていて,メインホールがほぼ満席になった。途中で帰ってしまう人もけっこういたけどね。
● そもそもオペラってのを観るのはこれが初めてだから,ぼくに評価する力はない。その前提での感想。
第一に日本語をオペラに乗せるのはそもそも無理なんじゃないかってこと。オペラの節回しというか発声法と日本語は馴染まないように思えた。つまり,何を言っているのかわからないのだ。日本語が日本語に聞こえない。はやりイタリア語とかドイツ語でやってもらって,日本語は字幕で伝えるというのがいいようだ(ただ,これはドイツ語なんかでも同じだそうですね。日本語だけの問題ではないようです)。
● 「くろいそオペラをつくる会」は「殺生石物語」とか「巻き狩り」とか,地元の風物を題材にしてオペラに仕立ててきた。そうであれば言語も日本語でしっくりくるのかもしれないけれど,「メリー・ウィドウ」に日本語は無理という印象だ。
もっとも,そんなことは百も承知であえて日本語でやっているのだろうけどね。
● 舞台の設えはチャチなのは致し方がない。アマチュアが自分たちで経済的な負担を引き受けてやっているのだ。だからこそ2千円という安い料金で観覧できるわけだ。
● 観客を笑わせる台詞を安易に取りこみすぎているという印象を持った。ぼくを含めて,客席はオペラに慣れていない人たちが多いのは間違いない(と思う)。客席もまた素人の集団だ。それゆえ,飽きさせない工夫をしたってことなんだろうと理解はできる。
ひょっとしたら,本場のオペラも同じようなやり方を採り入れているのかもしれない。オペラは重厚な芸術ではなく,エンタテインメントとして楽しめるものでなければならないものだろう。観客に対して敷居を低くする努力は,そもそもオペラに内在されているものなのかもしれない。
しかし,だ。あまり多くの際物的要素を入れてしまうと,逆にオペラから離れていく人が出るのではないかと思う。
● バックの管弦楽は「くろいそオペラをつくる会管弦楽団」が務めたが,奏者のほとんどは栃響のメンバーのようだった。
ちなみに,7月には「椿姫」の公演があるのだが,オケピットに入るのは栃響だ。年2回の定期演奏会のほかに,9月の特別演奏会,12月の第九,そして「椿姫」とこなすのだから,栃響は相当に生産性の高いアマオケってことになりますねぇ。よくここまでできるものだと思う(→後刻,「椿姫」は地震のため公演中止が決定していることを知った)。
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