宇都宮市文化会館大ホール
● 27日(日)は宇都宮市文化会館大ホールで宇都宮シンフォニーオーケストラの定期演奏会があった。開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
● 曲目は,モーツァルトの歌劇「後宮からの逃走」序曲,フルートとハープのための協奏曲。それと,リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」。
いずれも生で聴くのは初めて。っていうか,たぶんCDでも聴いたことがないと思う。
● 指揮者が指揮台にあがって,さぁ始めようというときに,ケータイの着信音と思われる音楽が鳴ってしまった。ステージでは,とりあえず,それを笑いに替えて新規まき直し。
● 「フルートとハープのための協奏曲」は優雅にして穏やか。たゆたうように始まり,そうして終わる。大きなホールではなくて小さめの教会(のホール)とかで聴いたら,さぞかし典雅な気分に浸れるだろう。
ソリストは岡本裕子さん(フルート)と大隈泰恵さん(ハープ)。岡本さんはライトブルーの,大隈さんはピンクのドレスで登場。お二人とも艶やかで,ステージに花が咲いたようだった。
● 休憩後,メインの交響組曲「シェヘラザード」。ヴァイオリンの独奏部分は小泉百合香さんが担当。現在はニューフィル千葉の奏者を務めているけれども,それまではこの楽団のコンミスだった人ですね。
それと,この曲,木管が大変なんですねぇ。フルートもファゴットもフォルンも,よく健闘。
プログラムの「ごあいさつ」に,「リムスキー=コルサコフは初めての挑戦でしたが,とても魅力的であると同時に,私たちには大変挑戦し甲斐のある(あり過ぎる!)難曲でした。今日お越しの皆様方から合格点がいただけるかどうかとても心配です」とあるけれども,充分すぎるんじゃないでしょうか,ここまでできていれば。3楽章の軽ろやかさ,華やかさもよく出ていたと思いますし。
むしろ,演奏した側の自己採点では何点になるのか知りたいところですね。
● 映画1本分より安い料金でオーケストラのライブを聴くことができる。そうして,演奏を聴いている間は,世間の憂さを忘れることができる。それだけでも,演奏してくれてありがとうってことですよね。
ぼくが感じている憂さなんて,たぶん世間のアベレージをずっと下回るものでしかないだろうし,演奏する側にだって当然ながら憂さや嫌なことはあるはずでね。
そういうものと戦いながら練習し,本番に臨んでいるんだと思うんでね。なおさらありがたいなぁというか,申しわけないなぁというか。
● オーケストラのライブを聴き始めた頃は,演奏が始まると脳内に見たこともない風景が広がった。音楽の進行にしたがって,その風景がどんどん変わっていく。その酔ったような気分が心地よかった。
いつの頃からか,それがなくなった。慣れたってことなんだと思うんですけどね。ではライブの楽しみがその分減ったかといえば,そんなこともない。
● 家に戻ってから,この日聴いた曲をCDで聴き直してみた。ライブで初めて聴いた曲をCDで聴き直す。これって,けっこう,幸せを感じる体験だったりする。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2012年5月27日日曜日
2012年5月20日日曜日
2012.05.20 峰ヶ丘フィルハーモニー管弦楽団(宇都宮大学OB・OGオーケストラ)第1回演奏会
宇都宮市文化会館大ホール
● 20日は峰ヶ丘フィルハーモニー管弦楽団(宇都宮大学OB・OGオーケストラ)の創立記念演奏会に行ってきた。午後2時開演。チケットは1,000円。指揮者は井崎正浩氏。
● コンマスは,昨年10月に創立記念演奏会を開催したマロニエ交響楽団でもコンマスを務めていた人。ほかにも,両者のメンバーはだいぶ重なっている。
マロニエ交響楽団も主体は宇大のOB・OGなんですね。宇大管弦楽団が栃木のオーケストラの人材供給源ということでよろしいか。
● プログラムの「ごあいさつ」には,「曲に秘められた愛,光の明暗や音色の変化を皆様にお伝え出来るかが,テーマの一つです」とあるのだが,それを感じ取れる耳をこちらが持ち合わせていないってのが問題なんだよなぁ。
● まずは,昨夜,真岡市民交響楽団の演奏で聴いたばかりの,ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲。次いで,ドビュッシー「小組曲」。最後はブラームスの交響曲第1番。
ブラームスって展開がやたら細かくて,よほど気をつけて入らないと,そこここで裂け目ができそうな印象。もちろん,今回の演奏に裂け目があったということではありませんよ。
● 演奏終了後,年配の男性ふたりが迫力ありましたねぇと感に堪えた様子で話しているのを聞いた。
アンコールの二曲目がヨハン・シュトラウスの「ハンガリー万歳」だったんだけど,その印象が強烈だったのかもしれない。演奏会の印象を決めるのは,案外アンコール曲だったりするから,アンコールに何を選ぶかは,どの楽団も頭をしぼっているんでしょうね。
● 20日は峰ヶ丘フィルハーモニー管弦楽団(宇都宮大学OB・OGオーケストラ)の創立記念演奏会に行ってきた。午後2時開演。チケットは1,000円。指揮者は井崎正浩氏。
● コンマスは,昨年10月に創立記念演奏会を開催したマロニエ交響楽団でもコンマスを務めていた人。ほかにも,両者のメンバーはだいぶ重なっている。
マロニエ交響楽団も主体は宇大のOB・OGなんですね。宇大管弦楽団が栃木のオーケストラの人材供給源ということでよろしいか。
● プログラムの「ごあいさつ」には,「曲に秘められた愛,光の明暗や音色の変化を皆様にお伝え出来るかが,テーマの一つです」とあるのだが,それを感じ取れる耳をこちらが持ち合わせていないってのが問題なんだよなぁ。
● まずは,昨夜,真岡市民交響楽団の演奏で聴いたばかりの,ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲。次いで,ドビュッシー「小組曲」。最後はブラームスの交響曲第1番。
ブラームスって展開がやたら細かくて,よほど気をつけて入らないと,そこここで裂け目ができそうな印象。もちろん,今回の演奏に裂け目があったということではありませんよ。
● 演奏終了後,年配の男性ふたりが迫力ありましたねぇと感に堪えた様子で話しているのを聞いた。
アンコールの二曲目がヨハン・シュトラウスの「ハンガリー万歳」だったんだけど,その印象が強烈だったのかもしれない。演奏会の印象を決めるのは,案外アンコール曲だったりするから,アンコールに何を選ぶかは,どの楽団も頭をしぼっているんでしょうね。
2012.05.19 真岡市民交響楽団第46回定期演奏会
真岡市二宮文化会館
● 昨年3月の震災で,栃木県内で最も大きな被害を受けたホールは真岡市民会館だろう。現在に至るもなお使用できる状況にない。復旧するのは25年度になるらしい。
その真岡市民会館を根拠地にして活動している真岡市民交響楽団も,したがって大きく活動を制約されているだろう。年2回の定期演奏会も,昨年は10月に芳賀町民ホールを使って開催したにとどまった。演奏会の中止は他でもあったけれども,団員にとってはやるせなかったに違いない。
● その10月の定演にぼくは行けなかった。今回は旧二宮町の二宮文化会館での開催。チケットは500円。開演は夕方の6時。
● 早めに家を出て,二宮金ちゃんゆかりの桜町陣屋跡に立ち寄った。こういうのって意外に見ないものでしょ。わざわざ行こうって気にもなりにくいし。思いついたときに行っておかないと,死ぬまで行かないで終わりそうだ。
二宮尊徳資料館をザッと見た。いるのは職員だけ。あとは人っ子一人いなかった。広い駐車場もあるんだけれども,土曜の午後は閑散。
● 金ちゃんはこの陣屋に住んでいた。陣屋って役所と官舎を兼ねたようなものですね。今の目線で見れば,質素な家屋だ。冬は寒かったろうねぇ(でも,昨年の震災でも倒れなかったんだよなぁ。耐震構造のはずもなかろうに)。
現代とは比較にならないほどに貧しかったろう。モノが希少だったから,少ないモノを大切に使った。スッキリしたもんだったろうねぇ。今だと,家中にモノが溢れているのはむしろ貧乏人の特徴だなんて言われるけどね。
何が言いたいのかっていうと,ぼくらはいろんなものに恵まれているけれども,その恵みを不要なモノや不要な関係を築くことに割いてしまってて,せっかくの恵みを活かしてないかもしれないよなってこと。
わが家も震災ではかなりの被害を受けた。それを機にいろんなことを考えさせられた。けれど,結局,何も変わってないんですよね。
● ぼくはこれから音楽を聴きに行くけれど,金ちゃんには音楽なんて無縁なものだったはず。衣食住を含めて,金ちゃんよりぼくの方がずっと恵まれているはずなんだけれども,どうにも幸せの実感が薄い。
不足感があるんじゃないんですよ。ぜひとも欲しいってほどのモノはない。大金を手にしたいとも思わない。偉くなりたい? とんでもない。愛人が欲しい? 欲しいわけないじゃないか。であるなら,今の生活はパレート最適を達成しているはずなんだけどねぇ。
でも,幸せの実感が薄い。こういうのって何でなんだろうねぇ。どこかで自分をごまかしているのかなぁ。本当は愛人欲しいぞって思ってんのか,オレ。
● 曲目は次のとおり。
ワーグナー 歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
ウォーロック カプリオール組曲(フルオーケストラ版)
ラヴェル 古風なメヌエット
メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」
● 初めて聴いたライブがこの真岡市民交響楽団だったことは本当に幸運だったと,あらためて思える。弦が伸びやか。ヴァイオリンもヴィオラも。演奏中の奏者の姿も美しい。真面目な人たちなんだなぁと思える。
● ウォーロックだのカプリオール組曲だのってのは,初めて聞く名前だ。こういうマイナーな曲をやろうと言う人が団員の中にいるってのもいい。
聴く側にしても,そうしてくれなければ,たぶん聴く機会を持てなかったはずだしね。でも,この曲,CDを入手するのもけっこう難しそうだな。
● メンデルスゾーンの3番はCDで何十回と聴いている。ライブでは初めて。そうか,ここはこんなふうに演奏していたのか,ってわかるのがライブの恩恵のひとつですね。音を聴いただけで演奏の様子をイメージできるところまでは,至っていないもので。
クライマックスの第4楽章では,クラリネットやフルート,オーボエなど管楽器の見せ場が続く。緊張もするんだろうけど,快感もひとしおなんだろうなぁ。
ティンパニはTさんが担当。彼女のバチ捌きを見にきているお客さん,けっこう多いんじゃないかと思ってるんですよ。演奏終了後に,指揮者がパートごとの奏者を紹介したときも,彼女への拍手はひときわ大きかったしね。
● 休憩時間にオバサンたちの話を聞いていると,指揮者の佐藤和男さんのファンもいることがわかる。ちょっと痩せたんじゃない?とか,佐藤話で盛りあがっていたりするからね。
● 唯一残念だったのは,開演後に入ってくるお客さんが多かったこと。休憩後もしかり。「スコットランド」の3楽章が終わろうかという頃に戻ってくるヤツもいたもんなぁ。そのたびに扉を開けるから,そこから音が漏れてしまうんだよねぇ。
特に,演奏が始まる前-奏者が着席して指揮者が入ってくるのを待ってる時間-のこれから始まるぞっていう緊張感を客席も共有できるのが,ライブの醍醐味のひとつだと思ってるんだけど,それが台なしになってしまうんだなぁ。
でも,あれだ,演奏会じゃなくて村祭りに来たんだと思っているお客さんもいるのだと考えればいいのだ。村祭りなのだとすれば,彼らのふるまいにも得心がいく。
● 二宮文化会館は満席。この楽団の演奏会を容れるには小さすぎるようだ。音響の問題もある。
上に述べた観客の問題も,その一端は会場じたいが引き起こしているのかもしれない。早く真岡市民会館の大ホールが使えるようになってほしいねぇ。
● 昨年3月の震災で,栃木県内で最も大きな被害を受けたホールは真岡市民会館だろう。現在に至るもなお使用できる状況にない。復旧するのは25年度になるらしい。
その真岡市民会館を根拠地にして活動している真岡市民交響楽団も,したがって大きく活動を制約されているだろう。年2回の定期演奏会も,昨年は10月に芳賀町民ホールを使って開催したにとどまった。演奏会の中止は他でもあったけれども,団員にとってはやるせなかったに違いない。
● その10月の定演にぼくは行けなかった。今回は旧二宮町の二宮文化会館での開催。チケットは500円。開演は夕方の6時。
● 早めに家を出て,二宮金ちゃんゆかりの桜町陣屋跡に立ち寄った。こういうのって意外に見ないものでしょ。わざわざ行こうって気にもなりにくいし。思いついたときに行っておかないと,死ぬまで行かないで終わりそうだ。
二宮尊徳資料館をザッと見た。いるのは職員だけ。あとは人っ子一人いなかった。広い駐車場もあるんだけれども,土曜の午後は閑散。
● 金ちゃんはこの陣屋に住んでいた。陣屋って役所と官舎を兼ねたようなものですね。今の目線で見れば,質素な家屋だ。冬は寒かったろうねぇ(でも,昨年の震災でも倒れなかったんだよなぁ。耐震構造のはずもなかろうに)。
現代とは比較にならないほどに貧しかったろう。モノが希少だったから,少ないモノを大切に使った。スッキリしたもんだったろうねぇ。今だと,家中にモノが溢れているのはむしろ貧乏人の特徴だなんて言われるけどね。
何が言いたいのかっていうと,ぼくらはいろんなものに恵まれているけれども,その恵みを不要なモノや不要な関係を築くことに割いてしまってて,せっかくの恵みを活かしてないかもしれないよなってこと。
わが家も震災ではかなりの被害を受けた。それを機にいろんなことを考えさせられた。けれど,結局,何も変わってないんですよね。
● ぼくはこれから音楽を聴きに行くけれど,金ちゃんには音楽なんて無縁なものだったはず。衣食住を含めて,金ちゃんよりぼくの方がずっと恵まれているはずなんだけれども,どうにも幸せの実感が薄い。
不足感があるんじゃないんですよ。ぜひとも欲しいってほどのモノはない。大金を手にしたいとも思わない。偉くなりたい? とんでもない。愛人が欲しい? 欲しいわけないじゃないか。であるなら,今の生活はパレート最適を達成しているはずなんだけどねぇ。
でも,幸せの実感が薄い。こういうのって何でなんだろうねぇ。どこかで自分をごまかしているのかなぁ。本当は愛人欲しいぞって思ってんのか,オレ。
● 曲目は次のとおり。
ワーグナー 歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
ウォーロック カプリオール組曲(フルオーケストラ版)
ラヴェル 古風なメヌエット
メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」
● 初めて聴いたライブがこの真岡市民交響楽団だったことは本当に幸運だったと,あらためて思える。弦が伸びやか。ヴァイオリンもヴィオラも。演奏中の奏者の姿も美しい。真面目な人たちなんだなぁと思える。
● ウォーロックだのカプリオール組曲だのってのは,初めて聞く名前だ。こういうマイナーな曲をやろうと言う人が団員の中にいるってのもいい。
聴く側にしても,そうしてくれなければ,たぶん聴く機会を持てなかったはずだしね。でも,この曲,CDを入手するのもけっこう難しそうだな。
● メンデルスゾーンの3番はCDで何十回と聴いている。ライブでは初めて。そうか,ここはこんなふうに演奏していたのか,ってわかるのがライブの恩恵のひとつですね。音を聴いただけで演奏の様子をイメージできるところまでは,至っていないもので。
クライマックスの第4楽章では,クラリネットやフルート,オーボエなど管楽器の見せ場が続く。緊張もするんだろうけど,快感もひとしおなんだろうなぁ。
ティンパニはTさんが担当。彼女のバチ捌きを見にきているお客さん,けっこう多いんじゃないかと思ってるんですよ。演奏終了後に,指揮者がパートごとの奏者を紹介したときも,彼女への拍手はひときわ大きかったしね。
● 休憩時間にオバサンたちの話を聞いていると,指揮者の佐藤和男さんのファンもいることがわかる。ちょっと痩せたんじゃない?とか,佐藤話で盛りあがっていたりするからね。
● 唯一残念だったのは,開演後に入ってくるお客さんが多かったこと。休憩後もしかり。「スコットランド」の3楽章が終わろうかという頃に戻ってくるヤツもいたもんなぁ。そのたびに扉を開けるから,そこから音が漏れてしまうんだよねぇ。
特に,演奏が始まる前-奏者が着席して指揮者が入ってくるのを待ってる時間-のこれから始まるぞっていう緊張感を客席も共有できるのが,ライブの醍醐味のひとつだと思ってるんだけど,それが台なしになってしまうんだなぁ。
でも,あれだ,演奏会じゃなくて村祭りに来たんだと思っているお客さんもいるのだと考えればいいのだ。村祭りなのだとすれば,彼らのふるまいにも得心がいく。
● 二宮文化会館は満席。この楽団の演奏会を容れるには小さすぎるようだ。音響の問題もある。
上に述べた観客の問題も,その一端は会場じたいが引き起こしているのかもしれない。早く真岡市民会館の大ホールが使えるようになってほしいねぇ。
2012年5月13日日曜日
2012.05.13 宇都宮ジュニアオーケストラ第16回定期演奏会
栃木県総合文化センター メインホール
● 13日は総合文化センターのメインホールで宇都宮ジュニアオーケストラの定期演奏会。14時開演。入場無料。このオケの存在を知ったのは,迂闊にも昨年のこと。
が,プログラムの「団長あいさつ」によると,このオケが単独で演奏会を開催したのは昨年が初めてで,それまでは「宇都宮市ジュニア芸術祭ジョイントコンサートとしての合同演奏会を定期演奏会と位置付けてきました」とあるから,それほど迂闊でもなかったのかも。
● 指揮は水越久夫氏。このオケの設立時から常任指揮者を務めてきたそうだ。宇都宮市教育委員会の教育長でもある。役人(教員)としても成功した人ってことですね。目の前の仕事を一所懸命にやってきた人なんでしょう。
メインホールは2階に空席が目立ったけれども,7割は入っていたのではないだろうか。
● 可愛らしい小学生もステージ上にいた。ジュニアとはいえ,年齢幅はかなりある。そこがいいんですよね。団員にとっては,小さくてもひとつの世間になっているに違いない。世間の中にちゃんといるってのは,それ自体が大切なことだもの。
● 曲目は次のとおり。いずれもメジャーな曲。
シベリウス 交響詩「フィンランディア」
グリーグ ピアノ協奏曲 イ短調
ベートーヴェン 交響曲第7番 イ長調
● 「フィンランディア」は最近,CDを何度も聴いている。特段の理由があるわけではないんだけどね。ちょっと聴きたいときにちょうどいい長さってのもある。
少し落ちこんだときに聴くと,効き目がある曲だと思いますね。本格的に落ちこんじゃったら,この曲を聴くことじたいが苦痛になるだろうけどね。
この曲を生で聴くのはこれが三度目。ぼくの耳には充分すぎるジュニアの演奏。
● グリーグのピアノ協奏曲もこれが三度目になる。ソリストは地元出身の羽石道代さん。彼女のピアノをタダで聴けるんですからね。
ぼくの席から,羽石さんの指の動きがよく見えた。魔法使いの指。ピアノの鍵盤の端から端までが短く見えた。
● ベト7はこれが七回目。ずっとフルートの一番奏者を見ていた。ジュニアだから当然なんだけど,うら若き乙女。
ベト7で一番フルートを務めるって大変でしょ。緊張するでしょ。彼女はきちんと務めあげ,この大作の演奏を成功に導いた。
● 1stヴァイオリンの可愛らしい女の子も,堂々の演奏。小学生がベト7をやるんだからねぇ。曲の解釈とかってどうやってるんだろう,と思いませんか。
でもね,たぶんできるんですよ,小学生でも。小学生なりの解釈ができているはずだと思う。自分なりのイメージをちゃんと持って演奏しているに違いない。楽譜どおりに演奏しなきゃって,それだけではないと思いますよ。彼女が意識しているかどうかは別だけれども,彼女なりのベト7解釈があって,それに乗ってヴァイオリンを操っているはず。
● 被災地に楽器を贈るための募金も併せて行われていた。これだけの演奏をタダで聴かせてもらっては,入場料相当分は募金しなきゃ,神さまに叱られるだろうね。
● 家に帰ってから,この日の3曲をCDで聴き直してみた。最近は家でもスマホ+イヤホンで聴くことが専らなんだけど,この日はパソコンにスピーカをつないで聴いた。
ベト7はカルロス・クライバー指揮,バイエルン国立管弦楽団のライブ録音。これを自宅で何度でも聴けるってのは,ありがたいことこのうえないけれど,でも,ジュニアの生演奏を聴けることは,たぶん,それ以上に幸せなことなのだ。
● 13日は総合文化センターのメインホールで宇都宮ジュニアオーケストラの定期演奏会。14時開演。入場無料。このオケの存在を知ったのは,迂闊にも昨年のこと。
が,プログラムの「団長あいさつ」によると,このオケが単独で演奏会を開催したのは昨年が初めてで,それまでは「宇都宮市ジュニア芸術祭ジョイントコンサートとしての合同演奏会を定期演奏会と位置付けてきました」とあるから,それほど迂闊でもなかったのかも。
● 指揮は水越久夫氏。このオケの設立時から常任指揮者を務めてきたそうだ。宇都宮市教育委員会の教育長でもある。役人(教員)としても成功した人ってことですね。目の前の仕事を一所懸命にやってきた人なんでしょう。
メインホールは2階に空席が目立ったけれども,7割は入っていたのではないだろうか。
● 可愛らしい小学生もステージ上にいた。ジュニアとはいえ,年齢幅はかなりある。そこがいいんですよね。団員にとっては,小さくてもひとつの世間になっているに違いない。世間の中にちゃんといるってのは,それ自体が大切なことだもの。
● 曲目は次のとおり。いずれもメジャーな曲。
シベリウス 交響詩「フィンランディア」
グリーグ ピアノ協奏曲 イ短調
ベートーヴェン 交響曲第7番 イ長調
● 「フィンランディア」は最近,CDを何度も聴いている。特段の理由があるわけではないんだけどね。ちょっと聴きたいときにちょうどいい長さってのもある。
少し落ちこんだときに聴くと,効き目がある曲だと思いますね。本格的に落ちこんじゃったら,この曲を聴くことじたいが苦痛になるだろうけどね。
この曲を生で聴くのはこれが三度目。ぼくの耳には充分すぎるジュニアの演奏。
● グリーグのピアノ協奏曲もこれが三度目になる。ソリストは地元出身の羽石道代さん。彼女のピアノをタダで聴けるんですからね。
ぼくの席から,羽石さんの指の動きがよく見えた。魔法使いの指。ピアノの鍵盤の端から端までが短く見えた。
● ベト7はこれが七回目。ずっとフルートの一番奏者を見ていた。ジュニアだから当然なんだけど,うら若き乙女。
ベト7で一番フルートを務めるって大変でしょ。緊張するでしょ。彼女はきちんと務めあげ,この大作の演奏を成功に導いた。
● 1stヴァイオリンの可愛らしい女の子も,堂々の演奏。小学生がベト7をやるんだからねぇ。曲の解釈とかってどうやってるんだろう,と思いませんか。
でもね,たぶんできるんですよ,小学生でも。小学生なりの解釈ができているはずだと思う。自分なりのイメージをちゃんと持って演奏しているに違いない。楽譜どおりに演奏しなきゃって,それだけではないと思いますよ。彼女が意識しているかどうかは別だけれども,彼女なりのベト7解釈があって,それに乗ってヴァイオリンを操っているはず。
● 被災地に楽器を贈るための募金も併せて行われていた。これだけの演奏をタダで聴かせてもらっては,入場料相当分は募金しなきゃ,神さまに叱られるだろうね。
● 家に帰ってから,この日の3曲をCDで聴き直してみた。最近は家でもスマホ+イヤホンで聴くことが専らなんだけど,この日はパソコンにスピーカをつないで聴いた。
ベト7はカルロス・クライバー指揮,バイエルン国立管弦楽団のライブ録音。これを自宅で何度でも聴けるってのは,ありがたいことこのうえないけれど,でも,ジュニアの生演奏を聴けることは,たぶん,それ以上に幸せなことなのだ。
2012年5月7日月曜日
2012.05.06 マイクロソフト管弦楽団第8回ファミリーコンサート
大田区民ホール・アプリコ 大ホール
● マイクロソフトにはお世話になっている。MS-DOSの時代からマイクロソフトのOSを使ってきた。富士通のFM-TOWNSでMS-DOSと格闘していた頃がなつかしい。
以来,現在までずっとWindowsを使っている。WordやExcelも,仕事ではもちろん,プライベートでもなくてはならないソフトになっている。
● 成功しすぎたためか,マイクロソフトがひとりでIT業界の悪役をかっていた時期もあったし,Windowsがダサさの象徴のように言われていた時期もあった。
Windowsなんてドブネズミのサラリーマンが使うもの,ちょっと気がきいた人やクリエイティブな生き方を指向する人なら,MacやLinuxを使うものだよ的な言われ方もした。
正直にいうと,ぼく自身もMacに憧れた時期はある。PowerBookって圧倒的に格好良かったからね。けれども,結局はWindowsを使い続けた。
● 昔はパソコンが夢を与えてくれた。パソコンがあれば生産性が飛躍的にあがる,できるビジネスマンになれる,秘書を3人付けたようなもの,とかね。だから,Macに替えたら自分の生活が変わるかもしれないという夢想に浸ることもできた。
けれども,今やパソコンはあたりまえの道具になってしまったよね。誰もがパソコンを使っているしね。
間違いなくぼくもインターネットの恩恵を受けている。こんな駄文を見知らぬ何人かの人に読んでもらえるのも,インターネットのおかげだ。それに,ぼくが聴く楽曲はすべてパソコンのハードディスクに収まっているわけで,パソコンを取りあげられたら相当な打撃を被ることになる。
それを承知で言うんだけれども,インターネットもパソコンももう夢は見させてくれないよね(夢の多くが実現されたのだともいえる)。
● だからというんじゃなく,これからもWindowsを使い続けると思う。だって,別段,不満はないもの。
パソコンはThinkPadを使っているんだけど,とても気にいっている。ThinkPadでWindowsを動かすというスタイルでいい。
● そのマイクロソフトの社員ってどんな人たちなんだろう? 毎日お世話になっているソフトをどんな人たちが開発してるんだろう? っていう好奇心から,5月6日に開催されたマイクロソフト管弦楽団の演奏会に行ってみた。
場所は大田区民会館アプリコ。開演は午後1時半。入場無料。
● 「どんな人たちなんだろう?」といっても,特にデジタル顔(どんな顔だ?)というわけもなく,礼儀正しい人たちだった。団員の全員がマイクロソフトの社員というわけでもないらしいのだが。
団員の平均年齢は若い。おそらく30歳代の前半。マイクロソフトの社員じたいの平均年齢もそんなに高くはないんだろうけど。
男性奏者が多いのも特徴。1stヴァイオリンでも男性の方が多い。そういうアマオケって珍しいのじゃあるまいか。
● ファミリーコンサートと銘打っているとおり,観客の年齢制限はなし。
また,進行はプログラムに語らせて,楽団は無言で演奏するというスタイルではなく,司会者(三輪田真澄さん)がいて,これから演奏する曲を紹介した。指揮者の山口琢也さん(マイクロソフトの社員であるらしい)も参加して,サービス満点の演出。
● 曲目は次のとおり。
ベートーベン 「エグモント」序曲
メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」
モーツァルト フルート協奏曲第1番
ニールセン 交響曲第2番「4つの気質」
● 「エグモント」序曲の演奏が始まった瞬間に,この楽団の実力が並々ならぬものであることが理解できた。指揮者の山口さんは,なんといったらいいのか,マイクロソフトの社員ってのは仮の姿で,本業は指揮者なのじゃないかと思えるようなオーラがあった。
モーツァルトのフルート協奏曲のソリストを務めたのは,団員の土屋伸一郎さん。高校生の頃からフルート吹きとして全国に知られる存在だったらしい。たまたま頭も良かったので,音大ではなく東大に進んだんでしょう。
プログラムによれば,「日進月歩のIT業界においては,休日と言えどもなかなか全員が揃って練習することもままならず,今回も少ない練習回数の中でアマチュアオーケストラではなじみの薄いニールセンの独特の語法に慣れるのも大変苦労した」らしいのだが,それでもこの曲をここまで仕上げてくるのは,地力があるからだろう。ある,というよりも,その地力がハンパナイんですね。
● マイクロソフトといえば,たぶん日本でも有数の知的水準の高い社員が揃っているんだろうし,相当なハードワークを社員に課しているに違いない(と,部外者は想像する)。
指揮者の山口さんにしても,フルートの土屋さんにしても,この管弦楽団以外にも活発に音楽活動を続けている。ハードワークをこなして,そのほかにこれだけの音楽活動もできるってのは,ぼくなどには驚きでしかない。世の中に才人というのはいるものだ。
● 生命活動が活発というか旺盛というか。もって生まれたものなのか,何かコツがあるのか。おそらく前者なんでしょうね。
彼らの所作を見ていると,旺盛な生命活動を支えるもののひとつは集中力ではないかと思われた。ひとつのことに深く入りこむというのはもちろんだけれど,引きずらない,切り換えるってことが巧いのではないかと思えたんですけどね。
この演奏会にしたって,たぶん引きずらないのだろうな。パッと切り換えて仕事に戻るのだろう。
● この演奏会,毎年満席になるらしいのだけれど,今回は空席が目立った。黄金週間の最終日ってのが効いたかもね。
山口さんが立ちあげた Klivia Philharmoniker という楽団がある。昨年12月にはリムスキー=コルサコフの「クリスマス・イヴ」とストラヴィンスキーの「バレエ音楽 火の鳥」,さらにマーラーの交響曲第1番を演奏している。これでチケットは1,000円。次回は8月。行かずばなるまい。
● マイクロソフトにはお世話になっている。MS-DOSの時代からマイクロソフトのOSを使ってきた。富士通のFM-TOWNSでMS-DOSと格闘していた頃がなつかしい。
以来,現在までずっとWindowsを使っている。WordやExcelも,仕事ではもちろん,プライベートでもなくてはならないソフトになっている。
● 成功しすぎたためか,マイクロソフトがひとりでIT業界の悪役をかっていた時期もあったし,Windowsがダサさの象徴のように言われていた時期もあった。
Windowsなんてドブネズミのサラリーマンが使うもの,ちょっと気がきいた人やクリエイティブな生き方を指向する人なら,MacやLinuxを使うものだよ的な言われ方もした。
正直にいうと,ぼく自身もMacに憧れた時期はある。PowerBookって圧倒的に格好良かったからね。けれども,結局はWindowsを使い続けた。
● 昔はパソコンが夢を与えてくれた。パソコンがあれば生産性が飛躍的にあがる,できるビジネスマンになれる,秘書を3人付けたようなもの,とかね。だから,Macに替えたら自分の生活が変わるかもしれないという夢想に浸ることもできた。
けれども,今やパソコンはあたりまえの道具になってしまったよね。誰もがパソコンを使っているしね。
間違いなくぼくもインターネットの恩恵を受けている。こんな駄文を見知らぬ何人かの人に読んでもらえるのも,インターネットのおかげだ。それに,ぼくが聴く楽曲はすべてパソコンのハードディスクに収まっているわけで,パソコンを取りあげられたら相当な打撃を被ることになる。
それを承知で言うんだけれども,インターネットもパソコンももう夢は見させてくれないよね(夢の多くが実現されたのだともいえる)。
● だからというんじゃなく,これからもWindowsを使い続けると思う。だって,別段,不満はないもの。
パソコンはThinkPadを使っているんだけど,とても気にいっている。ThinkPadでWindowsを動かすというスタイルでいい。
● そのマイクロソフトの社員ってどんな人たちなんだろう? 毎日お世話になっているソフトをどんな人たちが開発してるんだろう? っていう好奇心から,5月6日に開催されたマイクロソフト管弦楽団の演奏会に行ってみた。
場所は大田区民会館アプリコ。開演は午後1時半。入場無料。
● 「どんな人たちなんだろう?」といっても,特にデジタル顔(どんな顔だ?)というわけもなく,礼儀正しい人たちだった。団員の全員がマイクロソフトの社員というわけでもないらしいのだが。
団員の平均年齢は若い。おそらく30歳代の前半。マイクロソフトの社員じたいの平均年齢もそんなに高くはないんだろうけど。
男性奏者が多いのも特徴。1stヴァイオリンでも男性の方が多い。そういうアマオケって珍しいのじゃあるまいか。
● ファミリーコンサートと銘打っているとおり,観客の年齢制限はなし。
また,進行はプログラムに語らせて,楽団は無言で演奏するというスタイルではなく,司会者(三輪田真澄さん)がいて,これから演奏する曲を紹介した。指揮者の山口琢也さん(マイクロソフトの社員であるらしい)も参加して,サービス満点の演出。
● 曲目は次のとおり。
ベートーベン 「エグモント」序曲
メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」
モーツァルト フルート協奏曲第1番
ニールセン 交響曲第2番「4つの気質」
● 「エグモント」序曲の演奏が始まった瞬間に,この楽団の実力が並々ならぬものであることが理解できた。指揮者の山口さんは,なんといったらいいのか,マイクロソフトの社員ってのは仮の姿で,本業は指揮者なのじゃないかと思えるようなオーラがあった。
モーツァルトのフルート協奏曲のソリストを務めたのは,団員の土屋伸一郎さん。高校生の頃からフルート吹きとして全国に知られる存在だったらしい。たまたま頭も良かったので,音大ではなく東大に進んだんでしょう。
プログラムによれば,「日進月歩のIT業界においては,休日と言えどもなかなか全員が揃って練習することもままならず,今回も少ない練習回数の中でアマチュアオーケストラではなじみの薄いニールセンの独特の語法に慣れるのも大変苦労した」らしいのだが,それでもこの曲をここまで仕上げてくるのは,地力があるからだろう。ある,というよりも,その地力がハンパナイんですね。
● マイクロソフトといえば,たぶん日本でも有数の知的水準の高い社員が揃っているんだろうし,相当なハードワークを社員に課しているに違いない(と,部外者は想像する)。
指揮者の山口さんにしても,フルートの土屋さんにしても,この管弦楽団以外にも活発に音楽活動を続けている。ハードワークをこなして,そのほかにこれだけの音楽活動もできるってのは,ぼくなどには驚きでしかない。世の中に才人というのはいるものだ。
● 生命活動が活発というか旺盛というか。もって生まれたものなのか,何かコツがあるのか。おそらく前者なんでしょうね。
彼らの所作を見ていると,旺盛な生命活動を支えるもののひとつは集中力ではないかと思われた。ひとつのことに深く入りこむというのはもちろんだけれど,引きずらない,切り換えるってことが巧いのではないかと思えたんですけどね。
この演奏会にしたって,たぶん引きずらないのだろうな。パッと切り換えて仕事に戻るのだろう。
● この演奏会,毎年満席になるらしいのだけれど,今回は空席が目立った。黄金週間の最終日ってのが効いたかもね。
山口さんが立ちあげた Klivia Philharmoniker という楽団がある。昨年12月にはリムスキー=コルサコフの「クリスマス・イヴ」とストラヴィンスキーの「バレエ音楽 火の鳥」,さらにマーラーの交響曲第1番を演奏している。これでチケットは1,000円。次回は8月。行かずばなるまい。
2012年5月4日金曜日
2012.05.04 宇都宮北高等学校吹奏楽部第26回定期演奏会
宇都宮市文化会館 大ホール
● 宇都宮北といえば吹奏楽,吹奏楽といえば宇都宮北。栃木県ではね。吹奏楽をやりたいから北高に入学したという生徒も多くいると聞いたことがある。
では,その実力のほどは。というわけで,4日は宇都宮北高校吹奏楽部の定期演奏会を聴きに行った。OB・OG会の主催で,チケットは自由席が800円(当日券は1,000円)。
● 音楽大学のいくつかがプログラムの広告に出稿している。東京音大,洗足学園大,昭和音大。北高からこれらの音大に進んだOB・OGがいるんでしょうかね。
ともあれ,高校吹奏楽部の演奏会プログラムに音大が広告を出すって,すごくないですか。
● 演奏は3部構成になっていて,第1部は普通に吹奏楽の演奏。「さくらさくら」に始まって,外山雄三「吹奏楽のためのラプソディ」,歌劇「蝶々夫人」より抜粋。
ところが,ぼくがミステイクを犯した。どういうわけか,13:30開場の14:00開演と思いこんでいたんですね。実際は12:30開場,13:30開演だった。
13:30をちょっと回った頃に入ったんだけど,会場の中に入れてもらえなかった。13:30開場と言っているのに入れないってのは,どういう理由かわからないけれど,ちょっとまずいんじゃないの,と思ってたんだからねぇ。どうにもなりませんな。
というわけで,ぼくが聴いたのは「蝶々夫人」から。
● 上が白,下が黒のユニホームをまとっている。女子も含めて全員が蝶ネクタイを結んでいる。プロっぽい。
で,外見だけじゃなかった。巧い。楽器に触れてきた時間の長さを感じさせる。悪戦苦闘していない。楽しそうに吹いている。実際はいっぱいいっぱいなのかもしれないけれど,傍目にはそうは思わせない。余裕がある。どうだい,俺たちの演奏は,って感じ。
自分たちがやってきたことに自信を持っているっていうか。打楽器奏者の立ち姿も美しかった。
自分のミスで失った最初の30分がとても大きなものに思えてきた。
● 第2部はソリストに井上康一氏(トロンボーン)を迎えて,アッペルモントの「カラーズ」を演奏した。ここでも安心して聴いていられる演奏。演奏前の音合わせもプロっぽかった。
大ホールの座席が8割方埋まっていたが,それもわかる。高校の吹奏楽部の演奏会って,無料のところが多いんだと思うけど,これなら有料チケット制にしても,一切苦情は出ないだろうね。
● 唐突ながら,「ステーキハウス クローバー」を思いだした。那須烏山市にあるレストランなんですけどね。ぼくも時々食べに行く。安いランチしか食べたことがないんだけど,最初にサラダが出て,次にメインのステーキとご飯(orパン),味噌汁が出る。食後はコーヒーかアイスクリームを選べる。わが家はたいていアイスクリームにする。と,その後に中国茶のおまけが付く。
その中国茶に至るまで手抜きがないんですよ。これはすごいと,行くたびに唸らされる。値段以上のものを返してもらっていると思わないわけにはいかない。
北高吹奏楽部のこの定期演奏会も,演奏はもちろん,プログラムの仕上がり具合から場内アナウンス,スタッフの観客誘導などを含めて,演奏会としての完成度の高さは相当なものだ。高校生がここまでのイベント運営ができるのかと思いましたね。
ぼくのように,1年365日,朝から晩まで手抜きで生きているような者は,粛然として襟を正さしめられる思いがする。
● 第3部はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」(もちろん,そのすべてを演奏したわけではない)。しかも,ダンス付き。奏者とダンサーを兼ねる部員もいるわけだ。ダンスも専門の先生の指導を受けている。さすがに,演奏ほどの水準には達していないけれども。
が,訓練の跡はちゃんと見えるし,エンタテインメントとしてきちんと成立している。
抜きんでて巧い女性ダンサーがいたけれど,まさか生徒じゃないんでしょうね。
● すべての演奏が終わって,出口に向かうぼくらを,ステージ衣装の部員たちがドヤドヤと追い抜いていった。お客さんを見送るためだ。整列して,ありがとうございましたと声をかけながらお客を見送る。最後までプロっぽいのだった。
参りましたというしかない。お客に媚びているだけでは,ここまでできない。自分たちの演奏に自負するところがあるからできる。
他校の演奏を一切聴かないままでこういうことを言うのはフライングになるかもしれないのだが,彼らは吹奏楽のエリートたちに違いない。
● 宇都宮北といえば吹奏楽,吹奏楽といえば宇都宮北。栃木県ではね。吹奏楽をやりたいから北高に入学したという生徒も多くいると聞いたことがある。
では,その実力のほどは。というわけで,4日は宇都宮北高校吹奏楽部の定期演奏会を聴きに行った。OB・OG会の主催で,チケットは自由席が800円(当日券は1,000円)。
● 音楽大学のいくつかがプログラムの広告に出稿している。東京音大,洗足学園大,昭和音大。北高からこれらの音大に進んだOB・OGがいるんでしょうかね。
ともあれ,高校吹奏楽部の演奏会プログラムに音大が広告を出すって,すごくないですか。
● 演奏は3部構成になっていて,第1部は普通に吹奏楽の演奏。「さくらさくら」に始まって,外山雄三「吹奏楽のためのラプソディ」,歌劇「蝶々夫人」より抜粋。
ところが,ぼくがミステイクを犯した。どういうわけか,13:30開場の14:00開演と思いこんでいたんですね。実際は12:30開場,13:30開演だった。
13:30をちょっと回った頃に入ったんだけど,会場の中に入れてもらえなかった。13:30開場と言っているのに入れないってのは,どういう理由かわからないけれど,ちょっとまずいんじゃないの,と思ってたんだからねぇ。どうにもなりませんな。
というわけで,ぼくが聴いたのは「蝶々夫人」から。
● 上が白,下が黒のユニホームをまとっている。女子も含めて全員が蝶ネクタイを結んでいる。プロっぽい。
で,外見だけじゃなかった。巧い。楽器に触れてきた時間の長さを感じさせる。悪戦苦闘していない。楽しそうに吹いている。実際はいっぱいいっぱいなのかもしれないけれど,傍目にはそうは思わせない。余裕がある。どうだい,俺たちの演奏は,って感じ。
自分たちがやってきたことに自信を持っているっていうか。打楽器奏者の立ち姿も美しかった。
自分のミスで失った最初の30分がとても大きなものに思えてきた。
● 第2部はソリストに井上康一氏(トロンボーン)を迎えて,アッペルモントの「カラーズ」を演奏した。ここでも安心して聴いていられる演奏。演奏前の音合わせもプロっぽかった。
大ホールの座席が8割方埋まっていたが,それもわかる。高校の吹奏楽部の演奏会って,無料のところが多いんだと思うけど,これなら有料チケット制にしても,一切苦情は出ないだろうね。
● 唐突ながら,「ステーキハウス クローバー」を思いだした。那須烏山市にあるレストランなんですけどね。ぼくも時々食べに行く。安いランチしか食べたことがないんだけど,最初にサラダが出て,次にメインのステーキとご飯(orパン),味噌汁が出る。食後はコーヒーかアイスクリームを選べる。わが家はたいていアイスクリームにする。と,その後に中国茶のおまけが付く。
その中国茶に至るまで手抜きがないんですよ。これはすごいと,行くたびに唸らされる。値段以上のものを返してもらっていると思わないわけにはいかない。
北高吹奏楽部のこの定期演奏会も,演奏はもちろん,プログラムの仕上がり具合から場内アナウンス,スタッフの観客誘導などを含めて,演奏会としての完成度の高さは相当なものだ。高校生がここまでのイベント運営ができるのかと思いましたね。
ぼくのように,1年365日,朝から晩まで手抜きで生きているような者は,粛然として襟を正さしめられる思いがする。
● 第3部はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」(もちろん,そのすべてを演奏したわけではない)。しかも,ダンス付き。奏者とダンサーを兼ねる部員もいるわけだ。ダンスも専門の先生の指導を受けている。さすがに,演奏ほどの水準には達していないけれども。
が,訓練の跡はちゃんと見えるし,エンタテインメントとしてきちんと成立している。
抜きんでて巧い女性ダンサーがいたけれど,まさか生徒じゃないんでしょうね。
● すべての演奏が終わって,出口に向かうぼくらを,ステージ衣装の部員たちがドヤドヤと追い抜いていった。お客さんを見送るためだ。整列して,ありがとうございましたと声をかけながらお客を見送る。最後までプロっぽいのだった。
参りましたというしかない。お客に媚びているだけでは,ここまでできない。自分たちの演奏に自負するところがあるからできる。
他校の演奏を一切聴かないままでこういうことを言うのはフライングになるかもしれないのだが,彼らは吹奏楽のエリートたちに違いない。
2012年5月3日木曜日
2012.05.03 日本舞踊ワークショップ(藝○座宇都宮公演)
栃木県総合文化センター サブホール
● 月が代わって,5月の3日。豪雨の中を総合文化センターに出かけた。サブホールで「とちぎ舞台芸術アカデミー2012 日本舞踊ワークショップ」が開催されたので,それを見に。
演ずるのは「藝○座」。芸大邦楽科の卒業生が結成した一座で,モットーは「まるく,楽しく,わかりやすく」とのこと。
● 日本舞踊と聞いてまずぼくの頭に浮かぶイメージは,着物姿の女性たちの群舞だ。えも言われぬセクシーさがある。舞台芸術の核心はセクシーさだよなぁと決めつけていたきらいがある。
いや,舞台芸術の核心がセクシーさにあるってことは,まだ撤回の必要を認めていないんだけれども,「日本舞踊=群舞」ではないってことは,2年前に芸大の大学祭(藝祭)で邦楽科の学生たちのいくつかの実演を見て,よくわかったつもり。
● ぼくは日本舞踊については何も知らないに等しいってことね。正直,「知る」なんてたいしたことじゃないとも思っている。要は,舞台をただ楽しめばいいのだ。もし,楽しめないのなら,自分には無縁なものだったと思い決めて,撤退すればいいだけのこと。
楽しめるようになるためにまず勉強するなんてのは,そもそも楽しみ方の道にはずれたことだ,と勝手に思っている。そんなことをしていられるほどあなたの人生,長いのですか。
● 今回のワークショップは,しかし,そんな初心者に対して,日本舞踊の楽しみ方を教えてあげようという試みで,実演を中心に,どうです,面白いものでしょ,って教えてくれるプレゼンのようなものだ。
で,面白かったんです,これが。
● プログラムは3部構成。まず第1部は,清水一朗氏による「日本舞踊の変遷と歴史」と題する「おはなし」。何も知らない者には何もかもが新鮮。三味線が安土桃山時代に琉球から入ってきたものだってことも,日本舞踊が歌舞伎から分離したものだってことも。
続いて,長唄「老松」の演奏。芸大邦楽科の卒業生であれば,それだけで技術は信頼するに値するものと,ぼくなどは思ってしまう。しかも若々しい。若々しさってのはそれだけで価値がある。老練の技ってのもあるに違いないと思うけれども,若いときにしか表現できない技もまたあるに違いない。
ただ,若い彼らがこの表現をするのにどれほどの鍛錬を重ねたか,それを慮れるほどの鑑賞眼はぼくにはないのだった。
● 第2部がワークショップ。楽器と舞踊についての実演付き解説。これを知っているのと知らないのとでは,はやり舞台を味わえる度合いが違ってくるものだろう。
舞踊についての「舞(まい)」と「踊(おどり)」と「振(ふり)」の3要素の話などは,実演付きで解説してもらうのでなければ,なかなか理解できないものではあるまいか。
● 15分間の休憩をはさんで第3部。藝○座の創作劇「四季」の実演。笑いあり,ファンタジーあり。
この分野で生き残れる新作を作りあげることはなかなか容易なことではないと思われる。古典の存在が圧倒的だから。落語と同じだ。
ド素人の感想だけれども,息長く演じていけば,大事に育てていけば,これは生き残れるんじゃないでしょうか。
● 若いとはいえ,観客あっての舞台だということは,彼らはよく理解している。舞台を職業にすると,サービス精神は自ずと身につくものなのだろうか。あるいは,先輩や師匠に厳しく叩きこまれるのかもしれないけれど。
客に媚びてはいけないけれども,ファンサービスに手抜きがあってはならない。その辺の勘所もよく心得ているようなのは,さすがというべきでしょう(って,何を偉そうに語ってるんだか)。
● こうした催しを無料で開催してくれるとは,とちぎ未来づくり財団さん,ありがとう。
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