栃木県総合文化センター メインホール
● 前年度のコンセール・マロニエ21の入賞者を迎えて,栃響が管弦楽を務める演奏会。開演は午後4時。
2時開演だと勘違いしてた。だいぶ早く着いてしまった。休日昼間の演奏会はたいてい午後2時開演,と勝手に思い込んでいたのがいけない。この演奏会も昨年は2時開演だったんだけどね。
● 昨年までは入場無料。今年から有料になった。1,000円。
昨年,「ぼく一個は有料にしても構わないと思う。そうしてもお客さんの3分の2は残るのじゃないか」などと書いているんだけど,3分の2どころかほとんどのお客さんが残ったようだ。
この演奏会のために会場まで足を運ぶお客さんっていうのは,8月のN響公演に来ていたお客さんより,聴き手としてのレベルは数段上だと思われる。というのが大げさならば,聴き手としての粒が揃っていると言い換えてもよい(おまえ以外はな,と自分で突っ込んでおこう。人に言われる前に)。
ビッグネームだから聴いておこうという手合いがいないわけだからね。好きだから来ている人たちだと思うので。
● まず,栃響だけでモーツァルトの「魔笛」序曲。栃響の腕前を披露するのと同時に,場を整える効果があるんでしょうね。
● そうしておいて,次にフンメル「トランペット協奏曲」。トランペットを吹くのは刑部望さん(男性)。坊っちゃん坊っちゃんした童顔の持ち主で,ルックス的にはいじられキャラっぽい。
おそらく,このあとに打ちあげがあるんだろうけど,その席では栃響のおば様方に人気絶賛なのではあるまいか。
● フンメルのトランペット協奏曲を生で聴ける機会など,そうそうないだろう。それがまた,この演奏会のありがたいところだ。
刑部さんのアンコールは,バジーニ「カンタービレ」。リラックスして楽に演奏していた(ように見えた)。こういう演奏をコンセール・マロニエのときにできていれば,2位ではなくて1位になっていたか。そういうものではないか。
● ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。ピアノは井村理子さん。
前年度のコンセール・マロニエのファイナルはぼくも聴いている。技量といい舞台捌きといい,井村さんは他の出場者を圧倒していた。
ただ,ここまでになっていると,コンセール・マロニエに出てはいけない人なのじゃないかと思ってしまった。彼女にはもっと彼女に相応しい舞台があるのではないか。
● コンセール・マロニエは新人発掘の場だ。ところが彼女はすでにベテランの域に達しているように見えた。ゆえに,コンセール・マロニエの審査員もあえて彼女を(入賞から)外してくるのではないだろうかと思っていた。
が,彼女が優勝。あれこれ考えないで,出来映えだけで判断すれば,それが当然の結果ではある。ぶっちぎりの優勝だったはずだ。
● で,今回の演奏。やはり,井村さんからは功成り名を遂げた人のオーラが出ているようなんだよなぁ。不思議な人だなぁ。
演奏は優雅にして正確無比。ミスタッチがまったくなかったわけではないのかもしれないけれど,聴衆に気づかれるようなものじゃない。
● 井村さんのアンコールは,シューベルトの「即興曲」から。しっとりと聴かせてくれて,ため息のだめ押し。
腕を後ろに組んでお辞儀をする。これ,かなりいいと思った。彼女のトレードマークにできるのじゃないか。こういった仕草にも磨きをかけるといいよねぇ。舞台に立つ人だもの。
● 最後に栃響だけでヨハン・シュトラウス「皇帝円舞曲」。アンコールも同じヨハン・シュトラウスの「こうもり序曲」。
重厚さを表現する方が,軽快さを表すのに比べれば,楽なのかもしれない。ヨハン・シュトラウスは軽さが身上で,じつはこの曲を演奏するのはかなり難しいのかも。ベートーヴェンの5番の方がやりやすかったりするのかもね。
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