● せっかく東京にいるのだからというわけで,本日はダブルヘッダー。渋谷から蒲田に移動。
アプリコは駅の近く。渋谷では散々迷ってしまったが,ここで迷うことはない。
開演は午後6時。当日券(2,000円)で入場。チケットのもぎりはここでもなし。コロナ・ウィルス対策で,ほとんどのところがそうしている(と思う)。
アプリコ |
ひょっとすると,誰もいない席は新型肺炎を怖れて聴くのをやめた人たちが取っていた席かもしれず,後から誰かが来る席なのかもしれなかった。
が,そうだとしても,この状況では,指定された席にこだわらずに,空いている席にバラけて座るよう,アナウンスがあってもよかったかもしれない。休憩後,ぼくは個人的にそのようにしたのだが。
● 指揮は柳澤寿男さん。ぼくはまったく存じあげなかったのだが,激動のコソボで精力的に活動してきた人。いや,今回のプログラム冊子のプロフィールで知ったばかりなのだが。
バルカン室内管弦楽団を設立し,その音楽監督を務める。そのバルカン室内管弦楽団の来日公演が今年7月9日に第一生命ホールで行われる。憶えておこう。
● 曲目は次のとおり。
シベリウス 交響曲第7番 ハ長調
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」
● 白眉だったのは,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリスト(中村大地さん)もすごいが,オケもすごい。いや,このオケ,ほんとすごい。
創立は1991年。「慶應義塾大学ワグネル・ソサィエティー・オーケストラの卒業生を中心に」結成されたらしい。現在は「ワグネルOBではないメンバーも加わって」いるようなのだけど,それでもワグネルOB・OG管弦楽団的な性格が濃いのだろうと,とりあえず推測しておく。
● 独奏ヴァイオリンに絡む役がらが多いフルートが,どうしたって目立つのだが,このフルートがほんと絶品。彼女もワグネルOGだとすると(違うのかもしれないが),音大は経ていないわけだ。それでここまでの演奏ができるのか。音楽に集中した数年間がなければできない演奏だと思えたのだが。
フルートだけではない。オーボエもクラリネットもファゴットも,木管陣の手堅さには1㎜の隙もない。この曲だから木管に気が行くけれども,木管だけが突出していて他はダメなんてことはあり得ないわけで,つまりは大変な水準の高さだ。
● ソリストのアンコールは,バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番から「3 Gavotte en rondeau」。もうね,ありがたくて涙が出る。
前半だけで2,000円は安いと思った。うぅむ,この2,000円は安いよ。
● 「シェエラザード」ではゲストコンサートマスターの青木尚佳さんが登場。たくさんあるコンマスのソロを彼女に委ねたというだけではないんでしょうけどねぇ。
しっとりと聴きましたよ。やっぱりね,木管だけじゃなかったですよね。金管もねぇ。ハープを弾いてた人も団員なんだろうか。
● ストップ&ゴーも決まるし,瞬発力もある。だものだから,リムスキー=コルサコフが仕掛けておいた(?)急カーブやクランクも,スピードを落とさずに駆け抜けてみせる。そういう印象を残す。何だか,いろいろすごい楽団ですよ。
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