鹿沼市民文化センター 大ホール
東日本大震災が起きたときにはこれで日本は変わる,変わらざるを得ない,と言う人がいたけれども,喉元過ぎれば・・・・・・という諺が,あれほどの大災害であっても妥当したように。
どうしたって元に戻したいというベクトルが働く。元に戻れば,近過去は水に流そう,忘れよう,となるものだろう。
● オーケストラの演奏会も中止や無観客での開催を余儀なくされた。それによってネット配信が増えるなど,聴くだけの人間にはありがたい動きもあった。
紙のチケットから電子チケットへの移行も進んだ。悪いことばかりではなかったのだ。こうした動きはコロナ禍が収束した後も残って欲しいものだ。
● 鹿沼ジュニアフィルは2021年の第32回定期演奏会は通常どおり開催している。感染者数の波がちょうど下がっているときだったのだろう。あと1ヶ月早いか遅いかしていたらどうなっていたかわからない。このあたりは運もあった。
第33回はたぶん,関係者のみを入場させて実施したのではなかったか。ぼくは聴いていない。
● 今年は完全に旧に復して通常開催。開演は午後2時。入場無料。
曲目は次のとおり。
ヨハン・シュトラウス2世 喜歌劇「こうもり」序曲
ハイドン 交響曲第104番「ロンドン」
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
● ぼくのようなロートルには,少年少女たちの演奏を浴びることによってエネルギーをチャージする的なところがあって,演奏そのものについてどうこう言うつもりは最初からない。
が,この言い方は鹿沼ジュニアにははっきりと無礼だ。鑑賞に耐えるというレベルを大きく超えている。「新世界より」をここまで仕上げてくるのだから。
● それ以上にハイドンの「ロンドン」に驚いた。質朴ながらも典雅な古典派の香気がホールに満ちた。
木管を中心に見ていたのだが,大したものだ。特にオーボエとフルート。この2つが目立ったのは出番が多かったからなのだが,とりわけオーボエの技量に感服した。ひょっとして,彼は賛助出演だったのか。
● 今日は1日雨。傘をさして出かけた。JR鹿沼駅から会場まではちょうどいい散歩になる距離なのだが,傘をさして歩くのは鬱陶しい。
が,鬱陶しさを我慢して,雨の中を出かけて正解だった。正解であることを予めわかっていたので出かけたというのが,事の順序ではあるけれど。
● 唯一の疑問は,これほどのものがなぜ鹿沼に? ということだけ。
来月17日にはオケフェスが開催される。休憩時間にホール事務室で整理券をもらってきた。
● 鹿沼市民文化センターがフランチャイズで,毎回ここで催行しているのだが,一度宇都宮でやってみたらどうかと思う。県総合文化センターでも宇都宮市文化会館でも。
これまでとは違った観客が来るのではないか。つまり,保護者や知合いではない,大勢の赤の他人。ここまでの腕を持っているのであれば,アウェイを体験するのも悪くないのではと。
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