東京文化会館大ホール
● 大晦日の「ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏会2011」に行ってきた。
午後1時の開演だったのだが,9時前に家を出た。余裕を見過ぎるというか,慎重過ぎるのがぼくの通弊。わかっているんだけれども,ここは治らない。
ヨメが「青春18きっぷ」を用意しておいてくれた。普通に切符を買った方がちょっと安いんだけれども,ありがたく使わせてもらうことにして,11時に上野に着いた。
● 昼食を入れておこうと思ってウロウロしてみたのだが,立喰い蕎麦スタンド以外の店には入れなくなっている自分を発見。もともと,知らない店にブラッと入っていくのはあまり得意な方ではなかったけれども,年とともにその傾向が増している。
外食もほとんどヨメと行くようになっていて,しかもぼくは彼女のあとをついて行くというスタイルだから,自立度が落ちているのだと解釈している。ヨメへの依存度が高くなっているといっても同じことだ。
結局,改札を出て,駅前の立喰い蕎麦スタンドでカレーとかけ蕎麦のセットを食べた。あぁぁ,ですね。
● 東京文化会館に入るのは初めて。栃木の総合文化センターや那須野が原ハーモニーホールも素晴らしいホールだと思うけど,東京文化会館はさすが老舗のドッシリ感があった。昔からステージの音や客席の拍手,ロビーのざわめきを吸い込んできたのだなぁと思わせる。殿堂といった趣がある。日本の音楽文化を担ってきたのだっていう。
ぼくは地元沈潜を目指してきたけれども,こうして都会のホールの空気に触れてみると,時々は東京に出なきゃダメだよなぁとも思ってしまうねぇ。
● さて,「ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏2011」。その名のとおり,ベートーヴェンの交響曲を1番から順に演奏していくもの。
座席はC席(5千円)。ヤフーオークションで9千円で落とした。2万円のS席はまだ空席があったのに,お金を惜しんでそのようにしたわけだが・・・・・。
これは失敗だったことにすぐに気がついた。指定された席は4階の左翼。ステージから遠すぎた。奏者の表情や細かい動きがわからないのだった。したがって,奏者が音を紡ぎだす様子が窺えない。目を閉じて音だけ聴いているのとあまり変わらない。かくもあるかと思ったので,オペラグラスを持ってくるつもりでいたのだが,見事に忘れてしまった。
指揮者の小林研一郎さんの後ろ姿が,骸骨の操り人形のように見えた。糸で吊されていて,カクカクと動かされているといった印象になる。しかも,ステージのすべてが視界に入るわけでもない。左側の一部が切れてしまう。これはけっこうなストレスになる。
● ここは大枚をはたいてS席を取るべきだった。演奏する「岩城宏之メモリアル・オーケストラ」は全日本選抜チーム,あるいはオールスターチームだ。国内で望みうる最高水準の演奏であるはずだ。
であれば,S席で聴いてこそ。その方が格安感を味わえるはずだ。でなければ一番安いD席(2千円)でいい。中間のA,B,Cは選択肢に入れないことだ。
● 当日はすべてのチケットが完売になったらしく,当日券はなかった。しかし,S席にもけっこう空きがあった。チケットは買ったものの,都合が悪くて来られなかった人がこんなにいるのか,大晦日だものなぁ,にしてももったいないなぁ。2万円をパーにするんだからねぇ。
が,時間の経過とともに,空席が減ってきた。5番,6番の演奏が始まる頃には空席はグッと少なくなっていた。マイナーな初期作品はパスして5番が始まる頃にやってくるのだろう。その辺の勝手がわかっているんだから,リピーターなんでしょうね。そうだとしてももったいないと思うけど。
それでも最後まで空いたままの席もあった。あぁ,あそこに移りたい。ダメだけどね。
● 男女を問わず,ひとりで来ている人が多かった。ぼくの両隣もひとりで来ていた男性。さらにその隣も。若者も多かった。
文字どおりの半日のコンサート,しかも大晦日に開催されるコンサートにわざわざ足を運ぶのは,究極のクラシックファンなのかもしれない。
のだが。居眠りしているのもいるんですよ,けっこうね。これも空席と同じで,時間の経過とともに減ってきたけれどもね。
● プログラムは別売で2千円。迷った末に購入(迷うってのが情けない)。A4で75ページの堂々たるプログラム。
この演奏会にはトヨタをはじめ12社がスポンサーになっている。それでも,これだけの演奏会をやるには資金不足なのだろう。チケットを値上げするのが本筋だと思うが,それをやって観客が減ってしまっては困る。主催者は色々と考えを巡らせているはずだ。プログラムも収益をあげる手段のひとつ。
休憩時間にプロデューサーのひとりである三枝成彰さんのトークや奏者の苦労話なども披露された。これもプログラムの販促のためといっては嫌味が過ぎるだろうか。ぼくも半ばは寄付のつもりで購入した。
● とにかく,ベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するのだから,演奏する側も途中で人の入替えがあるのだろうと思っていた。が,ないんですね。楽器にもよるが,ほとんどの奏者はずっと出ずっぱりで演奏する。とんでもないスタミナ。
● 演奏は素晴らしいに違いない。のだが,困ったことに,演奏が上書き保存されてしまうんですよ。2番を聴くと,それが1番の上に上書き保存される。1番は消去されてしまう。3番を聴くと2番が消去される。
というわけで,最後に聴いた9番しか憶えていないことになる。ま,これは極端に言っているわけだけれども,9つ聴いて,9つの記憶が脳内に並列することはない。
もちろん,だからダメというのではない。2番にしろ3番にしろ,それを聴いている時間は間違いなく至福を味わっているわけで。
● 再び次回はS席にしようと思った。これだけの演奏を聴きながら,心が飛んでいかないのだ。ずっと客席に張りついたままなのだ。ステージとの距離がありすぎるからだと思う。ステージの臨場感をたっぷり感じられる席がいいと何度も思った。
● 休憩時のトークについて上に書いたけれども,そこで誰かが言っていたこと。この長丁場を演奏できるのは,奏者もベートーヴェンから元気をもらっているからだ,と。なるほど。そういうことはあるに違いない。
それと,ナマは静かな場面が印象に残るということ。これも言葉にされるとその通りと頷きたくなる。CDとナマの違いはまずはここにあるのだろう。CDで聴くと,静かなところ(たとえば6番の出だし)はたんに静かなだけだが,生演奏だとその静かさがくっきりとした味わいになる。
● すべての演奏が終わって上野駅に向かう途中で日付が変わった。静かなものでしたねぇ,新年を迎えたときの上野界隈。閑散としていた。歩いているのは東洋系の外人。寛永寺に初詣に向かう人の流れができているかと思いきや,そんな気配は微塵もなかった。上野公園にある清水観音堂もまた然り。
● 日が経つごとに,この「ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏会」はほんとに凄かったなと思えてくる。今年の暮れもぜひ行きたい。何度も書いたが,今度は2万円を払ってS席で。
大晦日の夜は教育テレビでN響の「第九」が放送される。その後はこの1年間の音楽界のニュースも。ベルリンフィルの定期演奏会を指揮した佐渡さんのインタビュー放送もあるようだった。
正直言うと,わざわざ東京まで出かけるよりこのテレビ番組を見ている方が利口なのじゃないかとも思った。今のテレビは大画面だし。
けれども,実際に行ってみれば,テレビなど吹っ飛ぶ。途方もないコンサートなのだった。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2011年12月31日土曜日
2011.12.23 古河フィルハーモニー管弦楽団第6回定期演奏会
小山市立文化センター大ホール
● 23日(金)は小山市立文化センターで古河フィルの定期演奏会(チケットは千円)。昨年の春から年に2回の定期演奏会を楽しみにしている。とても真面目な楽団という印象を持っている。指揮者の高山健児さん(読売交響楽団のコントラバス奏者)の性格が反映されているのだろうと思っている。
● 3月の震災で多くの楽団がコンサートを中止にしたけれど,ここだけは4月に予定どおり開催した。的確な判断だったと思うし(無難に流れれば中止したところだろう),それがとてもありがたくもあった。わずかながら義捐金も出せたし。
というわけで,ぼくとしては真岡市民交響楽団に次いでシンパシーを抱いているアマチュアオーケストラである。
● 曲目はベートーベンのヴァイオリン協奏曲ニ長調とベルリオーズの幻想交響曲。ソリスト(ヴァイオリン)は小森谷巧さん。読売交響楽団のコンサートマスターを務めている。指揮者の高山さんが引っぱってきたわけだろう。ちなみに,小森谷さん,古河市出身とのこと。
● このヴァイオリン協奏曲は11月の末に宇都宮シンフォニーオーケストラの演奏で聴いたばかりだけれども,玄人受けする曲なのかもしれない。つまり,ぼくにはいまいちピンと来ないのだね。
幻想交響曲はCDで聴こうと試みたことはあるんだけれども,その都度,途中でやめてしまっていた。最後まで聴き通せたのは,CDも含めて今回が初めて。否応なしに聴くしかないというのも,ライブのいいところ。
● 曲の意図するところをパネルで表示するというサービスが付いた。うるさいようなありがたいような。教えてもらわないとわかりようがない場面転換が続くんだけれども,作曲家の意図とは無関係に,自分のイマジネーションで楽しみたいってのもあるだろう。作者に縛られたくないっていうね。
でも,まぁ,ぼくのような初心者にはありがたい方が勝るだろうね。
● 23日(金)は小山市立文化センターで古河フィルの定期演奏会(チケットは千円)。昨年の春から年に2回の定期演奏会を楽しみにしている。とても真面目な楽団という印象を持っている。指揮者の高山健児さん(読売交響楽団のコントラバス奏者)の性格が反映されているのだろうと思っている。
● 3月の震災で多くの楽団がコンサートを中止にしたけれど,ここだけは4月に予定どおり開催した。的確な判断だったと思うし(無難に流れれば中止したところだろう),それがとてもありがたくもあった。わずかながら義捐金も出せたし。
というわけで,ぼくとしては真岡市民交響楽団に次いでシンパシーを抱いているアマチュアオーケストラである。
● 曲目はベートーベンのヴァイオリン協奏曲ニ長調とベルリオーズの幻想交響曲。ソリスト(ヴァイオリン)は小森谷巧さん。読売交響楽団のコンサートマスターを務めている。指揮者の高山さんが引っぱってきたわけだろう。ちなみに,小森谷さん,古河市出身とのこと。
● このヴァイオリン協奏曲は11月の末に宇都宮シンフォニーオーケストラの演奏で聴いたばかりだけれども,玄人受けする曲なのかもしれない。つまり,ぼくにはいまいちピンと来ないのだね。
幻想交響曲はCDで聴こうと試みたことはあるんだけれども,その都度,途中でやめてしまっていた。最後まで聴き通せたのは,CDも含めて今回が初めて。否応なしに聴くしかないというのも,ライブのいいところ。
● 曲の意図するところをパネルで表示するというサービスが付いた。うるさいようなありがたいような。教えてもらわないとわかりようがない場面転換が続くんだけれども,作曲家の意図とは無関係に,自分のイマジネーションで楽しみたいってのもあるだろう。作者に縛られたくないっていうね。
でも,まぁ,ぼくのような初心者にはありがたい方が勝るだろうね。
2011.12.18 宇都宮大学管弦楽団第72回定期演奏会
宇都宮市文化会館大ホール
● 18日(日)は文化会館で宇大管弦楽団の定期演奏会。同じ日に栃響の「第九」が総合文化センターであったのだが,これは最初から宇大に行くことに決めていた。
総合文化センターの「第九」と競合するわけだから,お客さんは少ないだろうなぁと思ったのだが,そうでもなかった。2階席は空きが目立ったが,1階席はちゃんと埋まっていた。
でも,できれば1日前にして欲しかったなぁ。そうすれば両方聴けたのに(昨年はそうだった)。地方では1回の比重が大きいからね。
● 以前の宇大管弦楽団のサイトでは,百名超の部員を抱えている宇大最大のサークルだと自己紹介していた。現在は80人になっているらしい。今回の演奏ではOB・OGの賛助がけっこう多かった。
● 曲目は次の3曲。
ボロディン 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
エルガー チェロ協奏曲 ホ短調
ドヴォルザーク 交響曲第5番 ヘ長調
● ソリスト(チェロ)は遠藤真理さん。指揮は曽我大介さん。
昨年3月に文京シビックホールで,ユーゲント・フィルハーモニカーの演奏を聴いて巧いなぁと感じいったものだった。そのときの指揮者が曽我さんだったような気がする。
気がしていたのだが,当日,実物を拝見したら,どうも見覚えがない。どうやらぼくの記憶違いらしい。こういうことはしばしば起きる。人の記憶なんてあてにならない。
● 満足できる演奏会だった。ドヴォルザークの5番はそんなに聴ける機会はない。
次回は来年の七夕の日。シューマンの第1番をやるらしい。
2011.12.05 間奏22:支払った税金を回収する
● 「日経おとなのOFF」の今月号が「第九」を特集している。そこに佐渡裕さんのインタビュー記事がある。佐渡さんが,「第九」をCDで聴くのとライブに足を運ぶのとでは,ベルサイユ宮殿を写真で見るのと実際に宮殿の内部に入ってみるくらいの差があると語っている。
ほんとにそうだよなぁと思う。もちろん「第九」に限った話ではない。
● ぼくも3年前からライブに行くようになった。そうなってみると,それまでは何をしていたのかと思えてくる。
ベルリン・フィルだウィーン・フィルだと言わなければ,チケットはだいたい5千円以下ですむ。アマチュアオーケストラなら千円以下で聴けるコンサートも県内にたくさんある。
ぜひ一度ライブを聴いてみてと言いたいんですねぇ。
● 演奏の途中で寝てしまったのなら,縁がなかったのだと思えばいい。別段恥ずかしいことではない。音楽を聴かなくても,あなたの人生はビクともしないと証明されただけなのだから。
しかし,以前のぼくのように,CDを聴きかじっただけで音楽は自分には無縁なものと思っているとすれば,それはあまりにもったいない。一度だけライブに足を運んでみませんか,と言いたいなぁ。
● それで思うところがあったのなら,CDも聴くようにする。CDは図書館で借りればいい。パソコンさえあればCDの中身はいくらでも取りこめる。費用はかからない。
あなたはしっかりと住民税を払っているのだから,地元の図書館を徹底的に利用して,払った税金を回収するべきだ。
● その費用ゼロで構築できる環境のなんと豊穣なことか。ただし,その豊穣さもライブに行くという前提があってのことだ。そして,その前提を敷くことにもさほどのお金は要しないのだ。
お金をかけないでいかに人生を楽しむか,というゲームに参加してみませんか。
2011.12.03 第31回宇都宮第九合唱団演奏会
宇都宮市文化会館大ホール
● 月が変わって12月の3日(土)。宇都宮市文化会館で行われた「第九」の演奏会を聴いてきた。栃響ではない方の「第九」。管弦楽は日本フィルハーモニー交響楽団。指揮は飯森範親さん。声楽のソリストは,半田美和子(ソプラノ),井坂惠(メゾ・ソプラノ),鈴木准(テノール),山下浩司(バリトン)。
● チケットはS席が5,500円。2年前はチケットは発売日に完売。とても買えるどころではなかった。それもあって,この「第九」のチケットは手に入らないものと諦めていた。
けれど,ヤフーオークションを眺めていたら,このチケットが売りに出されているのを発見。神さまが聴きに行けと言っているのだと思うことにして,入札した。5,000円(ほかに送料80円)で落札。わずかながら安い料金で聴くことができた。
曲目は露払いがモーツァルトの交響曲第9番。モーツァルト,13歳のときの作品。そして「第九」。1時間半のコンサートだった。
● 栃響の「第九」は2回聴いているが,今回はプロのオーケストラ。その違いをぼくの耳が知覚できるかどうか。そこがわれながら不安だった。
しかし,知覚できたのだった。最初からピンと緊張感が張りつめる。ステージの緊張感が客席を包みこむ。自分も砂のひと粒になって,その緊張感のうえに乗り,音の波間に漂う心地よさ。
● 客席はほぼ満席。ぼくの前後左右もひとつの空席もなかった。
問題は,しかし,ある。小学校の運動会のノリで来ている人もいるのだ。客席での飲み食いは禁止だとアナウンスしている最中に,ペットボトルのお茶を回しあっているグループもいた。それと,小さな子ども連れ。
ぼくが他人のマナーについて注文をつけられるほどにマナーを弁えている客でないことはわかっている。
しかし,小さな子どもにとってここは快適な空間だとは思えない。小さいうちから本物の音楽に接するようにすれば,子どもになにがしかの良い効用があると考えるのは,たぶん浅知恵である。
でも,まぁ,さほど邪魔にもならず,演奏開始後はステージに集中することができたんだけど。
● 飯森さんの指揮ぶりを見るのは,これが三度目。去年の東京交響楽団(8月:那須野が原ハーモニーホール)と山形交響楽団(10月:総合文化センター)以来。
彼が上半身をはだけてフィジカルトレーニングをしている写真を見たことがある。指揮者にはそれも大切なことなのだろう。
バイタリティーがある。そして,彼もまた人を呼べる指揮者のひとりなのだろうね。
来年はまた西本智実さんが指揮をとるようだ。チケット入手は無理だろうな。
● このプログラム冊子で大晦日にベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するコンサートがあることを知った。「ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏2011」ってやつ。かなり有名な大晦日恒例のコンサートらしいから,知らなかったのはぼくくらいなものかもしれない。
故岩城宏之氏が始めたもので,今年の指揮者は小林研一郎。管弦楽は「岩城宏之メモリアル・オーケストラ」。主催者のサイトには「日本を代表するオーケストラで活躍するコンサートマスターや首席奏者クラスによる特別編成です。コンサートマスターは篠崎史紀(NHK交響楽団第1コンサートマスター)が務めます」とある。
会場は東京文化会館で,S席(20,000円)とA席(15,000円)はまだチケット入手可能。中身からすると安いよなぁ。行きたいんだけど,ヨメの許可が出るかどうか。
● 月が変わって12月の3日(土)。宇都宮市文化会館で行われた「第九」の演奏会を聴いてきた。栃響ではない方の「第九」。管弦楽は日本フィルハーモニー交響楽団。指揮は飯森範親さん。声楽のソリストは,半田美和子(ソプラノ),井坂惠(メゾ・ソプラノ),鈴木准(テノール),山下浩司(バリトン)。
● チケットはS席が5,500円。2年前はチケットは発売日に完売。とても買えるどころではなかった。それもあって,この「第九」のチケットは手に入らないものと諦めていた。
けれど,ヤフーオークションを眺めていたら,このチケットが売りに出されているのを発見。神さまが聴きに行けと言っているのだと思うことにして,入札した。5,000円(ほかに送料80円)で落札。わずかながら安い料金で聴くことができた。
曲目は露払いがモーツァルトの交響曲第9番。モーツァルト,13歳のときの作品。そして「第九」。1時間半のコンサートだった。
● 栃響の「第九」は2回聴いているが,今回はプロのオーケストラ。その違いをぼくの耳が知覚できるかどうか。そこがわれながら不安だった。
しかし,知覚できたのだった。最初からピンと緊張感が張りつめる。ステージの緊張感が客席を包みこむ。自分も砂のひと粒になって,その緊張感のうえに乗り,音の波間に漂う心地よさ。
● 客席はほぼ満席。ぼくの前後左右もひとつの空席もなかった。
問題は,しかし,ある。小学校の運動会のノリで来ている人もいるのだ。客席での飲み食いは禁止だとアナウンスしている最中に,ペットボトルのお茶を回しあっているグループもいた。それと,小さな子ども連れ。
ぼくが他人のマナーについて注文をつけられるほどにマナーを弁えている客でないことはわかっている。
しかし,小さな子どもにとってここは快適な空間だとは思えない。小さいうちから本物の音楽に接するようにすれば,子どもになにがしかの良い効用があると考えるのは,たぶん浅知恵である。
でも,まぁ,さほど邪魔にもならず,演奏開始後はステージに集中することができたんだけど。
● 飯森さんの指揮ぶりを見るのは,これが三度目。去年の東京交響楽団(8月:那須野が原ハーモニーホール)と山形交響楽団(10月:総合文化センター)以来。
彼が上半身をはだけてフィジカルトレーニングをしている写真を見たことがある。指揮者にはそれも大切なことなのだろう。
バイタリティーがある。そして,彼もまた人を呼べる指揮者のひとりなのだろうね。
来年はまた西本智実さんが指揮をとるようだ。チケット入手は無理だろうな。
● このプログラム冊子で大晦日にベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するコンサートがあることを知った。「ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏2011」ってやつ。かなり有名な大晦日恒例のコンサートらしいから,知らなかったのはぼくくらいなものかもしれない。
故岩城宏之氏が始めたもので,今年の指揮者は小林研一郎。管弦楽は「岩城宏之メモリアル・オーケストラ」。主催者のサイトには「日本を代表するオーケストラで活躍するコンサートマスターや首席奏者クラスによる特別編成です。コンサートマスターは篠崎史紀(NHK交響楽団第1コンサートマスター)が務めます」とある。
会場は東京文化会館で,S席(20,000円)とA席(15,000円)はまだチケット入手可能。中身からすると安いよなぁ。行きたいんだけど,ヨメの許可が出るかどうか。
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