約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2012年3月31日土曜日
2012.03.20 第15回少年の自立を支える会コンサート
宇都宮市文化会館大ホール
● 20日(春分の日)は宇都宮市文化会館で「青少年の自立を支える会」のチャリティーコンサート。チケットの売上げは,寄る辺ない青少年のためのグループホームである「星の家」の運営費に充てられる。
ステージに立つのは倉沢大樹(エレクトーン,ピアノ),島田絵理(フルート),浅香薫子(ボーカル)の3人。昨年は東日本大震災のために中止になったが,倉沢さんは10年連続でこのチャリティーに参加(無料出演)。あとのふたりもずっとこのコンサートを支えてきた。しかし,10年を機に3人とも退くことにしたようだ。ファイナルコンサートと銘打っての開催となった。
● 終了後,3人への感謝状の贈呈式などのセレモニーが行われた。お客さんも同じ気持ちで拍手を送った。
倉沢さんは,自分もこのコンサートで学ぶものが多くあったと語っていたが,おそらくいろんな試みをこのコンサートでは行ったはずで,自分を成長させる糧にしていたのだろうね。一所懸命だったから学びもあったのだろうね。ぼくは今回が2回目なので,過去の様子はわからないのだが。
● 誰でもできるってことじゃないからねぇ。文化会館小ホール→教育会館→総合文化センター→文化会館大ホールと,だんだん大きなホールで開催するようになった。それだけの人が集まるわけで,集められるだけのステージを作れる力量の持ち主ってことだもんね。
頭が下がる。評論家には誰でもなれるけれども,実際にできる人は滅多にいないものだろう。
● お客さんにしたって,チャリティーだからチケットを買うのではない。千円(以上)の価値があると思うから,チケットを買って会場に足を運ぶのだ。少なくともぼくはそうで,島田絵理さんのフルートをまた聴きたくてやってきた。
その思いは充分に満たされた。倉沢さんのエレクトーンと共演した「カルメン幻想曲」。「カルメン幻想曲」ってサラサーテが作曲したヴァイオリン曲しか知らなかったんだけども,それとは別にフランソワ・ボルヌという人が,ビゼーの「カルメン」の旋律をフルート用に編曲したものがあるんだそうですね。
2012.03.14 NHKミヤ・ジャズPREMIUM
栃木県総合文化センター メインホール
● 14日は午後7時から総合文化センターのメインホールで「NHKミヤ・ジャズPREMIUM」。NHK宇都宮放送局の主催。NHKが4月から栃木県域テレビ放送を開始するのを記念して開催したもので,入場は無料。
その県域テレビで放送するので,テレビカメラが入った。公開録画。
● 出演者がすごい。まず,渡辺貞夫クインテット。
ナベサダについてはぼくがどうこう言うまでもない。宇都宮が生んだ日本の誇りとでもいうしかないジャズミュージシャンだ。1933年の生まれだそうだから,もうすぐ80歳になるわけだ。司会者の紹介によれば,今日まで九州で公演して宇都宮まで移動,そして夜もこうして公演。信じられるか,諸君。ぼくには信じられない。信じられないんだけども,でもその人が目の前のステージで躍動している。この若々しさと活力は何ごとか。ルール違反ではないか。
● ほかに,クラリネットの花岡詠二さん,ピアノの前田憲男さん,ヴォーカルの五十嵐はるみさん,それから,野口久和ザ・ビッグバンド。
このメンバーのジャズコンサートが無料ですよ。
と,わかったふうに書いているけど,ぼくはジャズにはまったく疎い。花岡さんも前田さんも五十嵐さんも野口さんも,昨日まではまったく知らなかったくらいだから。猫に小判とはこのことだね。
● コンサートは二部構成。第一部は渡辺貞夫クインテットの単独演奏と,そこに少女合唱団(上三川少年少女合唱団&横川中学校合唱部)とやはり少年少女のタイコ隊(エスコーラ・ジャフロ)が参加しての演奏。
エスコーラ・ジャフロに目を見張った。子どもたちでも(子どもたちだからか)ここまでできるんだねぇ。しかも,楽しそうにやっている。客席を魅了するに充分。
第二部は,野口久和ザ・ビッグバンドを核に,花岡さん,前田さん,五十嵐さんが参加。地元のアマチュアバンドであるスウィンギング・ハード・オーケストラが前座を務めた。
● お客さんの平均年齢が高かった。オバチャンたちが多かった。ジャズファンっていうと,立ちあがって頭の上で手を打ちながら踊っているというイメージがあるんだけど,そういうものでもないのか。
● スウィングしながら聴くといいのだと五十嵐さんに教えてもらったが,回りを気にしてしまうのが良くも悪くも日本人の常ですよね。ステージと自分だけの世界を作ってしまえばいいのだけれど,これがなかなかできない(少なくともぼくはそう)。
唯一,残念だったのは割りあてられた座席が実質4階席だったこと。が,これは仕方がない。ここに文句をつけるわけにはいかない。
● 14日は午後7時から総合文化センターのメインホールで「NHKミヤ・ジャズPREMIUM」。NHK宇都宮放送局の主催。NHKが4月から栃木県域テレビ放送を開始するのを記念して開催したもので,入場は無料。
その県域テレビで放送するので,テレビカメラが入った。公開録画。
● 出演者がすごい。まず,渡辺貞夫クインテット。
ナベサダについてはぼくがどうこう言うまでもない。宇都宮が生んだ日本の誇りとでもいうしかないジャズミュージシャンだ。1933年の生まれだそうだから,もうすぐ80歳になるわけだ。司会者の紹介によれば,今日まで九州で公演して宇都宮まで移動,そして夜もこうして公演。信じられるか,諸君。ぼくには信じられない。信じられないんだけども,でもその人が目の前のステージで躍動している。この若々しさと活力は何ごとか。ルール違反ではないか。
● ほかに,クラリネットの花岡詠二さん,ピアノの前田憲男さん,ヴォーカルの五十嵐はるみさん,それから,野口久和ザ・ビッグバンド。
このメンバーのジャズコンサートが無料ですよ。
と,わかったふうに書いているけど,ぼくはジャズにはまったく疎い。花岡さんも前田さんも五十嵐さんも野口さんも,昨日まではまったく知らなかったくらいだから。猫に小判とはこのことだね。
● コンサートは二部構成。第一部は渡辺貞夫クインテットの単独演奏と,そこに少女合唱団(上三川少年少女合唱団&横川中学校合唱部)とやはり少年少女のタイコ隊(エスコーラ・ジャフロ)が参加しての演奏。
エスコーラ・ジャフロに目を見張った。子どもたちでも(子どもたちだからか)ここまでできるんだねぇ。しかも,楽しそうにやっている。客席を魅了するに充分。
第二部は,野口久和ザ・ビッグバンドを核に,花岡さん,前田さん,五十嵐さんが参加。地元のアマチュアバンドであるスウィンギング・ハード・オーケストラが前座を務めた。
● お客さんの平均年齢が高かった。オバチャンたちが多かった。ジャズファンっていうと,立ちあがって頭の上で手を打ちながら踊っているというイメージがあるんだけど,そういうものでもないのか。
● スウィングしながら聴くといいのだと五十嵐さんに教えてもらったが,回りを気にしてしまうのが良くも悪くも日本人の常ですよね。ステージと自分だけの世界を作ってしまえばいいのだけれど,これがなかなかできない(少なくともぼくはそう)。
唯一,残念だったのは割りあてられた座席が実質4階席だったこと。が,これは仕方がない。ここに文句をつけるわけにはいかない。
2012.03.11 東京フィルハーモニー交響楽団演奏会 vol.2
宇都宮市文化会館大ホール
● 3月11日。1年前にあの災害が発生した日。わが家でも相当な被災を受けたが,1年経過したのだね。
この日は午後3時半から宇都宮市文化会館で東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会があった。
● 去年のこの時期にも文化会館で東京フィルの演奏があった。どうやら定期化される気配あり。もちろん,歓迎だ。
曲目は次の4つ。
スメタナ 我が祖国から「モルダウ」
ドップラー ハンガリー田園幻想曲
チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
ソリストも前回と同じ。フルートのさかはし矢波。チェロの宮田大。ふたりとも地元ゆかりの人。指揮者は井﨑正浩さん。
● 今回もB席。去年は千円だったが,今回は2千円。去年はKEIRINNの後援があったのだけど,今回はそれがない。競輪も売上げが激減してて,なかなか厳しいのだろう。
3階席の中央だった。まぁまぁ。もちろんS席がいいに決まっているが,そこは時々の所持金との相談になる。
当日券もあったようだが,会場はほぼ満員だった。奏者を乗せるための第一条件は満たされた。あとは惜しみない拍手を注ぐだけ。
● 今回の演奏会には「3.11へのオマージュ」と副題が付けられていた。
すべての曲目の演奏が終了したあとに,指揮者の井﨑さんが,亡くなられた方々の魂が一番帰りたかったところは「ふるさと」に違いない,皆さんで「ふるさと」を合唱して追悼に替えたい,と挨拶した。
この人,品のあるいい声をしている。高すぎず,低すぎず,ふくらみがあって,落ち着いた声だ。いい声はそれだけで説得力が違う。羨ましい。
日本人が一番泣ける曲って「ふるさと」ではないだろうか。有無を言わさない歌詞とメロディ。この歌詞に出てくるような「ふるさと」を持っている人は,じつはあまりいないのかもしれないけれども,日本人が考えるあるべき「ふるさと」はまさにこれだっていう。これで来られたら参りましたと言うしかないっていう。
● もちろん,義援金の募金箱も設置された。所持金のすべてを寄付した。ただし,そのとき,ぼくの財布には1,500円しか入ってなかった(すみません)。
● 3月11日。1年前にあの災害が発生した日。わが家でも相当な被災を受けたが,1年経過したのだね。
この日は午後3時半から宇都宮市文化会館で東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会があった。
● 去年のこの時期にも文化会館で東京フィルの演奏があった。どうやら定期化される気配あり。もちろん,歓迎だ。
曲目は次の4つ。
スメタナ 我が祖国から「モルダウ」
ドップラー ハンガリー田園幻想曲
チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
ソリストも前回と同じ。フルートのさかはし矢波。チェロの宮田大。ふたりとも地元ゆかりの人。指揮者は井﨑正浩さん。
● 今回もB席。去年は千円だったが,今回は2千円。去年はKEIRINNの後援があったのだけど,今回はそれがない。競輪も売上げが激減してて,なかなか厳しいのだろう。
3階席の中央だった。まぁまぁ。もちろんS席がいいに決まっているが,そこは時々の所持金との相談になる。
当日券もあったようだが,会場はほぼ満員だった。奏者を乗せるための第一条件は満たされた。あとは惜しみない拍手を注ぐだけ。
● 今回の演奏会には「3.11へのオマージュ」と副題が付けられていた。
すべての曲目の演奏が終了したあとに,指揮者の井﨑さんが,亡くなられた方々の魂が一番帰りたかったところは「ふるさと」に違いない,皆さんで「ふるさと」を合唱して追悼に替えたい,と挨拶した。
この人,品のあるいい声をしている。高すぎず,低すぎず,ふくらみがあって,落ち着いた声だ。いい声はそれだけで説得力が違う。羨ましい。
日本人が一番泣ける曲って「ふるさと」ではないだろうか。有無を言わさない歌詞とメロディ。この歌詞に出てくるような「ふるさと」を持っている人は,じつはあまりいないのかもしれないけれども,日本人が考えるあるべき「ふるさと」はまさにこれだっていう。これで来られたら参りましたと言うしかないっていう。
● もちろん,義援金の募金箱も設置された。所持金のすべてを寄付した。ただし,そのとき,ぼくの財布には1,500円しか入ってなかった(すみません)。
2012.03.03 狂言(大蔵流山本会)公演
さくら市氏家公民館
● 昨年の2月5日に続いて,今年(3月3日)もさくら市の氏家公民館で狂言(大蔵流山本会)の公演があった。
公演は2番。「素袍落」と「蝸牛」。その後,山本会の総帥である山本東次郎氏の講話があった。昨年も同じ話を聞いているはずなのだが,今回の方が熱心に聞けた。芸に関しては当然厳しいのだろうし,不合理な習慣も多々残っている世界だろうし,偏屈なところもある人なのかもしれないが,少なくとも観客に対するときはしごく穏やかな人。サービス精神も十全に発揮していた。一芸を極めた人はこうなのかとほれぼれした。
● 歌舞伎のように大がかりな舞台設えもないし,登場人物も少ないから,その分費用も安くつくのだろうが,これを無料で開催してくれるさくら市に感謝。いい気分で帰ることができた。これだけでもありがたいものだ。
能も一度鑑賞してみたいという欲も出てきた。事前に知識を入れないで,まず鑑賞したい。
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