● 22日の夜は仲道郁代さんのピアノリサイタルがあった。場所は高根沢町町民ホール。夜の7時から2時間。
チケットはじつに千円。三井住友海上文化財団派遣コンサートという冠がついたコンサートなので,相当額を同財団が負担してくれているのだろう。
● 高根沢町町民ホールでは2月に自衛隊の音楽隊の定期演奏会があった。このときは無料だったこともあってか,文字通りの満席だったのだが,千円とはいえお金をだしてクラシック音楽のコンサートに来る人が果たしてどれくらいいるものか。
結果は,約8割の入り。これだけ入ってくれれば充分。高根沢町民のみならず近辺の人たちも来ていたようだ。主催者としては成功と考えているだろう。
● このホールのピアノはずっと眠りについていて,調律師が驚いていたと仲道さんが語っていたのだが,田舎町のホールではどこも同じようなものだろう。かつての好況時にハードは造ってみたものの,ほとんど活用されることなく朽ちてきている。
しかし,これではいかんという危機感が高根沢町でも萌してきたのか,町民ホール自主事業運営委員会というのが設置されたらしい。12月には真岡市民交響楽団を招聘して特別演奏会を開催する。ぼくとしてはちょっとワクワクしながら頑張れと応援したい気分。
ただし,このホールには音楽を演奏するにはまったく適していないと思われるところがいくつかある。ハードの限界を乗りこえて自主事業を充実させていくのも,なかなか難儀だろうね。
● 仲道さんのリサイタルはこれが2回目。去年の文化の日に宇都宮の総文センターで,彼女のオールベートーヴェンプログラムのリサイタルを聴いた。B席で2千円だった。だいぶ後ろの方の席だった。
今回は前の方の席,しかも右側の席だったので,演奏中の彼女の表情もよく見えた。当然,印象も今回の方が強い。
今回はショパン。演奏された曲目は次のとおり。ワルツ第2番「華麗なる円舞曲」,バラード第3番,12の練習曲第1番「エオリアンハープ」,スケルツォ第2番,マズルカ第13番,バラード第1番,幻想即興曲,ワルツ第6番,第7番,24の前奏曲第15番「雨だれ」,12の練習曲第12番「革命」,第3番「別れの曲」,ポロネーズ第6番「英雄」。
● 前回もそうだったけれど,演奏の前に仲道さんが曲の解説をする。その喋りが上手だ。声質もいい。サービス精神も旺盛と思えた。腕の確かさは言うまでもないとして,そこに喋りの巧さが加わると,ステージ上にエンタテインメント性が立ってくる。
ステージに立つ者として外見を整えることに抜かりはない。解説を終えて,椅子に座ってから鍵盤に手を下ろすまでの時間がごく短い。呼吸を整える間も取らない。その瞬発力が印象的。
夜の9時まで演奏してから,たぶん東京に帰るのだろう。タフネスも持ち合わせている。あの小柄な体に,良きものがギッシリ詰まっている感じ。
● 彼女はこの3ヶ月,NHK教育テレビの趣味講座の講師も務めていた。ぼくも視聴者だった(トビトビにしか見なかったけれども)。それで彼女とは知り合いのような気分になっていた。
感情移入しやすくなっていたようです。
0 件のコメント:
コメントを投稿