約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2010年9月30日木曜日
2010.09.12 栃木県交響楽団特別演奏会
栃木県総合文化センター メインホール
● 9月12日。総文センターで栃響特別演奏会があったので出かけてきた。前年度のコンセール・マロニエの1位入賞者をソリストに招いてのお披露目コンサートだ。今年はピアノの小瀧俊治さんとフルートの井坂実樹さん。
小瀧さんは細面のイケメンで,オバサンたちから人気が出そうなルックスの持ち主。井坂さんは2位だったのだが,1位入賞者が辞退したのかもしれない。芸大の3年生でまだまだノビシロがあることを感じさせる。1年前より女っぷりがあがったような感じも。
● まず,栃響がJ.シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲を演奏。次いで,井坂さんが登場。モーツァルト「フルート協奏曲 第2番二長調」を。最後の終わり方がやや残念だったか。
休憩のあと,ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番」。ぼくの席から小瀧さんの指の動きがよく見えたのだけれど,まさしく繊細というか,鍵盤を慈しむかのように,けれども素早く,彼の細い指が踊り続けた。
最後は,栃響だけでブラームスの「大学祝典序曲」を演奏して終わった。
● コンセールマロニエ入賞者のお披露目だ。できるだけ多くのお客さんに来てほしい,というわけかどうかわからないけれども,入場は無料だ。整理券は必要なのだが,短時日でなくなってしまうので,受付開始日に申し込んでおいた方がいい。
つまりは,人気の演奏会で,総文センターのメインホールがほぼ満席になる。したがって,賑々しいお披露目になる。
● 指揮は荻町修さん。定期演奏会では東京からプロの指揮者を招いて演奏するのだが,この特別演奏会と12月の第九は,団員の荻町さんが指揮する慣わしになっているらしい。
指揮者コンクールがあるくらいだから,指揮ぶりは外から判定できるものなのだろうが,指揮の上手下手は,ぼくにはまったくわからない。
けれど,一生懸命にやっていることはわかる。真面目な感じを受ける。斜に構えていない。愚直に指揮に向き合っている。団員からの受けも悪くなさそうだ。
プログラムのプロフィールによれば,宇大の教育学部音楽科で学んだ。指揮法,作曲,ピアノ,声楽を大学で習っている。定期演奏会ではクラリネットを吹いているのだが,若いときに一定以上に深く音楽の何かを勉強した人は,少しの努力でどんな楽器でもこなせちゃうんだろうね。
卒業後,イタリアとドイツで1年間修行した。が,この程度で喰っていけるほどこの道は甘くない。県立高校の教員になって,アマチュアオーケストラの指揮者になった。
けど,ぜんぜん悪い人生ではないよなぁ。本人はどう思っているか知らないけれど,ぼくには立派な成功者に見える。留学までして自分の人生を賭けた音楽をちゃんと掴まえていて,演奏する側に廻っているんだもんなぁ。
● チェロ奏者のひとりが,次の演奏が始まるまでの短い待ち時間の最中,ステージで欠伸をしていた。集中を切って,次の集中に入るまでの短いリラックスタイムだ。酸素を補給しておきたくなるだろうし,ふっと気を抜きたくもなるだろう。
もっとも,聴いているぼくの方も居眠りが出そうになったからね。前の晩,きちんと寝ておかないといけないねぇ,お互いに。
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