栃木県総合文化センター メインホール
● 29日は総合文化センターのメインホールで宇都宮ジュニア合奏団の演奏会があった。今年で31回目になるのだが(昨年は東日本大震災のために開催中止になっている),ぼくはこの合奏団の存在をずっと知らないでいた。
今年も栃響の定期演奏会のチケットを買うために総文センターのプレイガイドに行ったときに,並んでいるチラシを丹念に見てて,たまたま見つけたものだ。
● 入場料は500円。当日券を買った。メインホールの入りは4割程度。おそらく,子供たちの保護者が多いのだろう。当然にして,団員の弟や妹たちを連れてくることになる。中には乳幼児もいる。
したがって,演奏中に泣き声が聞こえたりもするんだけれども,これは致し方ないものだろう。演奏中にデジカメのフラッシュがたかれることもあったんだけど,これも受忍限度の範囲内ということになるだろう。
● この合奏団は「スズキ・メソードの子供たちによるストリングオーケストラ」と紹介されている。スズキ・メソードなるものがぼくにはよくわからない。Webで調べると,鈴木鎮一氏が創設したもので,小さい子供が母語を覚えるのと同じように,小さい頃からよい演奏を聴かせ,生活の中に音楽が溢れる環境を作ることが大事だということらしい。独特な練習法があるのかと思ったんだけど,そういうものではないようだ。
つまるところ,よくわからない。ま,わからなくても,鑑賞の妨げにはならないでしょ。
● この合奏団は,中2~高3のAオーケストラと小5~中1のBオーケストラからなる。
まず,Aオケがヴィヴァルディの「四季」を演奏。指揮者が指揮棒を振りおろした瞬間に,濁りのない弦の響きがホールいっぱいに広がった。オォッと思った。いい時間を過ごせることを確信させるに充分な音色だった。
「四季」の最初の旋律は中学校の音楽の授業で聞いている。ほとんどの人が知っているはずだ。その馴染みの旋律が心地よく展開する。中学生と高校生が巧みに弓を操る。
生で「四季」の全部を通して聴ける機会が,これから先もそんなにあるとは思えない。いいものを聴かせてもらった。
● 15分間の休憩後,今度はBオケがモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を演奏。これまた誰でも知っている旋律を,小学生が自分の体に合わせた小さなヴァイオリンで演奏している様は可愛らしくもあるけれど,ステージ上の彼らは小なりといえども紳士淑女の佇まいを感じさせた。
普段はごく普通の小学生に違いない。けれども,演奏会用の制服をまとい,ネクタイを締めてステージに立てば,いうなら結界の中にいるようなものだもんね。
小さなミスはあったものの,まずは立派な演奏。
● 次はAB合同でバルトークの「ルーマニア民族舞曲」と林光の「弦楽のためのアレグロ」を演奏。子供たちのほかに指導者やエキストラが加わっているから,弦だけなのにフルオーケストラほどの人数になった。なるほど,これでは観客の多寡に関わらず,メインホールでなければならないわけだ。
これもね,充分に素晴らしいものだった。特に林光「弦楽のためのアレグロ」はCDで聴きなおしてみたいと思った。入手できるのだろうか。
● というわけで,満足して帰途につけた。今までこの合奏団の演奏を聴きのがしていたことが残念でもあり,今回気づいてラッキーでもあった。
今までもゴールデンウィーク中の演奏だったのだろうから,この時期,ぼくは家族とディズニーランドなんぞへ遊びに行っていたに違いない。でも,この演奏会を聴いてしまった以上は,来年も聴きに来ることになるんでしょうね。
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