約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2013年2月18日月曜日
2013.02.17 栃木県立図書館 第135回クラシック・ライヴ・コンサート
栃木県立図書館ホール
● 一昨年の東日本大震災を機に,栃木県立図書館に耐震工事を施すことにされた。で,今月13日まで図書館が閉鎖されていた。っていうか,別の場所で営業はしてたんだけど,その間,一度も行ったことはなかった。自由に閲覧できる開架書庫はないらしかったので。
「クラシック・ライヴ・コンサート」も開催されることはなかった。そのスペースもなかったわけでね。
● が,やっと耐震工事が終了して,今月14日から元の場所に戻って,営業を再開した。
県立図書館を利用することは,じつはあまりない。利用しずらいってことは一切ないんだけど,県立図書館を必要とするほどの水準に,こちらが達していないってことでしょうね。今,達していないんだから,たぶん,死ぬまで達することはないだろうね。
ただし,視聴覚室にあるCDは利用させてもらうことがある。世にいわれる名盤というのも,ここで探せばかなりの確率で見つかるのではないか。が,近年は予算削減が厳しいせいか,新しいものはあまり入らないようだ。
● ともあれ。17日には再開第1弾の「クラシック・ライヴ・コンサート」が開催された。開演は午後2時。
この「クラシック・ライヴ・コンサート」,入場料を取らないし,数十人しか収容できないし,あらかじめ設えられたステージがあるわけではないし,要するに本格的なホールで行われるコンサートとは違う。
けれども,なめちゃいけない。他では聴けない,ここならではの企画だなと思わせるものがあるし,かなり以上に本格的な水準の演奏が聴ける。むしろ,あまり知られていないだけに穴場的で,このまま穴場であり続けて欲しいと思わないでもない。
何よりいいのは,奏者と観客の距離が(物理的に)近いこと。奏者の息づかいまで感じられる。
● 今回は斎藤享久さんが中心になっての,モーツァルト・プログラム。
オーボエ四重奏曲 ヘ長調 KV370
ピアノ四重奏曲第第2番 変ホ長調 KV493
ディヴェルティメント ヘ長調 KV138
交響曲第29番 イ長調 KV201
● 斎藤さんはオーボエ奏者。芸大を卒業後,ドイツに渡り,ハンブルグ音楽大学を卒業して,ドイツで活動した後に帰国。鹿沼市にエルベ音楽院を開設,各地で音楽活動を展開。
というのが略歴だけれども,栃木県音楽界のキーパーソンのひとりだろう。
● 前半の2曲は,その斎藤さんとヴァイオリン,ヴィオラ,チェロのアンサンブル。ピアノ四重奏曲では斎藤さんがピアノを弾いた。
ディヴェルティメントではドンと楽器が増えて,弦楽合奏。当然にしてヴァイオリンが多くなる。企んでこの人数になったわけではないと思うけど,ヴァイオリンの音が厚いのはいいですなぁ。それだけで説得力が増す感じ。
ただし,この辺は好みでしょうかねぇ。ディヴェルティメントで弦を合奏にすると,せっかくの旋律がおたふく風邪をひいたようになってしまうじゃないか,と見る向きもあるかと思う。ぼくは合奏の妙をとりたいけれども。
● さらに,クラリネットとホルンが二人ずつ加わって,交響曲第29番。モーツァルトの交響曲だったら,この陣容で充分すぎるのかもしれない。
すぐそばで演奏してるんだからね。県立図書館のコンサートでこれだけの人数が演奏するのは初めてじゃないかと思うんだけど,この迫力は相当なもの。
っていうかですね,音楽ってこうやって聴くもんだよなぁと思わされるっていうか,とんでもなく贅沢な聴き方をしているなぁと思いましたね。
● 全員がそうだったわけではないけど,奏者の多くは栃響の団員。苦しいときの栃響だのみ,ではないと思うけれども,栃響主催の演奏会ではないところで,栃響メンバーの演奏を聴く機会がけっこうある。アマオケとしてはハンパない,栃響の活動量って。
実際,どうなんだろう,終演後の客席からの拍手ってのは,その苦労を埋めてくれるものなんだろうか。あるいは,拍手なんかなくても,音楽や演奏への思い入れだけで,続けることができるものなんだろうか。
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