約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2013年2月3日日曜日
2013.02.02 千年の響き天翔る音色にのせて-シャオ・ロンとその仲間たち
さくら市氏家公民館
● 中国琵琶と二胡の演奏。主催はさくら市教育委員会となっているが,栃木県健康いきがいづくり協議会というのがあって,その会員(つまり,お年寄りということです)がスタッフを務めていた。
開演は午後2時。入場無料。
● 出演者は3人。中国琵琶がシャオ・ロンさん(女性)で,「その仲間たち」の2人は男性。二胡がソウ・セッショウさん。ピアノが堀越昭宏さん。
内容は3部構成。第1部は中国琵琶が主役。ソロであるいは合奏で,「見上げてごらん夜の星を」とか「川の流れのように」といったポピュラーな曲を8つほど演奏。
もちろん,中国の曲も。「十面埋伏」と「春江花月夜」を。最後はおなじみの「蘇州夜曲」と「夜来香」。
「十面埋伏」と「春江花月夜」を続けて演奏したのは,中国琵琶の演奏法,出せる音色の幅を教えてくれようとしたものかと思う。前者は激しく速く,後者はゆっくりと淑やかに。
中国琵琶ってのは,日本の琵琶とはまったく別の楽器なんですな。音色はチェンバロに近い。モダンな感じの楽器。この楽器だけでオーケストレーションができるっていうか,いろんな音を出せる。
● シャオさん,スパンコールの入ったチャイナドレスで登場。何ともセクシー。ゾクッとするほど色っぽい。
ま,客席にいた男性は全員,同じことを思ったはずだけれども,それをわざわざ書くのはいかがなものか。でも,書いてしまったわけですけどね。
ちなみに申しあげれば,色っぽさは遠くからながめるに限ると思っている。
● 第2部は「さくら市少年少女合唱団」がステージに登場して(ただし,登場したのは少女だけだった),日本の歌曲を3つ歌った。シャオさんはじめ3人が伴奏を務める。
当然にして,主役は彼女たち。人間の生の声と歌詞の持つ説得力には,器楽は対抗できないもの。
● 第3部は二胡を中心に5曲。
二胡はチェロのように床に立てて弓で弾く弦楽器。これに相当するものは和楽器にはないと思うし,音色がこれに近い楽器も思い浮かばない。ヴァイオリンよりずっと柔らかい音。ふくよかといってもいいかもしれない。強いていうと,尺八の音色に近いか。
ただね,この音色,子どもの頃に何度も聴いているような気がするんですよ。既視感という言葉があるけれども,既聴感っていうんですか,懐かしい感じがした。二胡の音色がもたらす錯覚なんだと思うんですけどね。
細身で華奢な楽器ですね。2本の糸が張ってある。弓は蛇の皮と白馬の尻尾でできているとのことだったけど,それで柔らかい音が豊かに表現される。
中国琵琶もそうだけれども,奏者が名手であることは,素人が聴いてもわかる。
● というわけで,とてもいいものを聴かせてもらったって感じ。ちょうど2時間の演奏会だったんだけど,大いに満足。
運営の仕方に関しては,ちょっとどうなのよと思うことがいくつかあった。のではあるけれど,今回のスタッフを務めたお年寄りの方々が,この後,同じことをすることはたぶんないだろうから,課題を整理して云々というのは,する必要のないことでしょうね。
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