栃木県総合文化センター メインホール
● 開演は午後2時。入場無料。昨年に続いて,お邪魔するのは今回が二度目。
● 踊る側にとってバレエとは何なのか? ぼくにはわからない。けれども,観る側にとってバレエとは何かと問われれば,上質なファンタジーだと答える。今のところは,だけど。
男性のダンサーもいるので何なんだけど,バレエって優雅に表現された女性美を愛でるものだというのが,目下の結論。
● 優雅な女性美っていったって,生身の女性は優雅じゃないわけですよ。少なくともぼくは,リアルの世界で優雅な女性に出合ったことなんて,ただの一度もないからね。優雅なんかやってたんじゃ,女商売張ってけないだろうしさ。
だから,バレエってファンタジーだよね。長くレッスンを続けて,初めて表現できるものですよね。自然界には存在しないものを表現するわけだから。
● まずは,「MK.School of Ballet」の生徒さん。
まったく個人的な好みなんだけど,観ていて一番面白いのは,小学校高学年から中学生にかけての女の子が踊るダンス。少女から大人への移行期にある乙女たちの踊り。ちょっと背伸びしている感じがとてもいい。化粧映えもするしね。
「くるみ割り人形」第3幕の世界各地の踊りの場面は,そういう意味で大いに満喫。かわいいもんですな。
● 2番目の「安達千恵バレエ研究所」はシンデレラ。
プロコフィエフ作曲のこの楽曲のCDは持っているんだけど,聴いたことはない。バレエ音楽って音楽だけ聴いても,なんだかねぇ。チャイコフスキーだって,組曲の方は数えきれないほど聴いてるけど,本体?はまだ聴いたことがない。
ともあれ。ぼく的には,ポワントで立って安定を保っていられるってだけで,なんだか信じられないわけですよ。支点は極小で重心があがるんだから,指先でちょっとつつかれたらぐらつくはずだよねぇ。力学的にそうなるよねぇ。
この不自然さは何事か。ただ,それがきれいなことは確かで,美を身体的に表現するには,過酷な負荷をかけなければならないんですね。
● 3番目は「ヒロコ ダンス スタジオ」の生徒さん。
バレエの華は群舞だと思っている。「コッペリア」のマズルカは軽快なダンス。「パキータ」は見応えがあった。一切の反論を許さない説得力。
踊り手はとんでもない緊張と集中を要求されながら,一方でその緊張と集中を客席に見せてはいけない。軽々とにこやかにやっているように見えなければならない。緊張と集中を生で出してしまっては,優雅さから遠ざかるからね。
そのためのレッスンは相当に泥臭いものにならざるを得ないでしょうね。
● 次は,「タカハシ ワカコ バレエ スタヂオ」の生徒さん。
「海賊」の「花の庭」は絵的には最もきれいだったと思う。衣装の色とかにも気を配るんだろうな。
● 5番目は「橋本陽子エコール ドゥ バレエ」の生徒さん。
クラシックヴァリエーションに登場したダンサーたちは,バレエをやるために生まれてきたような体型の持ち主たち。手足が長い。
そして上手い。ぼくにもわかるくらい上手い。
● 最後は「クラシカルバレエアカデミーS.O.U」の皆さん。ここまではクラシックが多かったけれども,ここはコンテンポラリーを持ってきた。
「Progress」はラインの変化の妙とキレのある動きを堪能すればいいものでしょうか。迫力充分。踊ってる子たち,ダンスが好きなんだろうなぁ。
「ジャルダン・ドゥ・フルール」は,一転して,明るく軽やかな舞。
「Concert symphonique」は,衝突事故が起きないのが不思議なほどに,ラインが大きく素早く変化する。バレエダンスのほとんどすべてが盛り込まれている。運動量がハンパない。これもインパクトが大きかった。
● 最後に全国バレエコンクール入賞者によるエキシビションがあって,3人が踊った。最後は男性ダンサーだった。
何だかねぇ,ほんとに今の女の子たちのパワーはすごいものだと感じいった。
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