栃木県総合文化センター メインホール
● どうなんだかなぁ,こういうコンサート。と思いながら,勢いでチケットを買ってしまっていた。全席指定で一律4,000円。
1階の両翼席と2階席にはけっこう空席があった。開演は午後3時。
● プログラムは次のとおり。
ビゼー 「アルルの女」第2組曲より“ファランドール”
ヨハン・シュトラウス ポルカ「あれか,これか!」
ヨハン・シュトラウス 入江のワルツ
ヨハン・シュトラウス ポルカ「狩り」
ヅーツィンスキー ウィーン,わが夢の町
ヨハン・シュトラウス 皇帝円舞曲
ブラームス ハンガリー舞曲第1番
(休憩)
リスト ハンガリー狂詩曲
ワルトトイフェル シャブリエの狂詩曲に基づくワルツ「スペイン」
キアーラ ラ・スパニョーラ
E.シュトラウス ポルカ「粋に」
ヨハン・シュトラウス ポルカ「雷鳴と雷光」
フバイ ヘイレ・カティ
レイモンド 喜歌劇「青い仮面」より“ブダペストのユリスカ”
ヨハン・シュトラウス ワルツ「美しく青きドナウ」
アンコールは次の3曲。
ヨハン・シュトラウス ラデツキー行進曲
ビゼー 「カルメン」より第1幕前奏曲
ヨハン・シュトラウス トリッチ・トラッチ・ポルカ
● 指揮はサンドロ・クトゥレーロ。プログラムのメンバーリストを見ると,スラブ系の名前が多いようなんだけど,パッと見た目,だいぶ多国籍。
● 演奏開始早々に,男女二人ずつのダンスが入った。こちらの希望としては,演奏中は指揮者と奏者だけを見ていたい。
ダンスが凡庸ならば,ダンサーなど無視して,演奏する様を見ていればすむ話なんだけど,何気に高度な技を見せてくれるものだから,ひじょうに困る。取扱いが厄介だ。
● 「ウィーン,わが夢の町」にはソプラノも入った。ミレーナ・アルソフスカさん。声楽が入ると,どうしたってそちらに気が向く。しかも,呆れるほどの美人。これもひじょうに困る。
● 後半には,クラリネットがとんでもなく長いフレーズを吹いて,見せ場を作る場面もあったんだけど,前半ではフルートの女性奏者に注目。闊達でしなやか。絵になっていた。
彼女に限らず,腕前については,ぼくがどうこういう余地はない。
● 観客を楽しませるための演奏だ。黙って俺たちの演奏を聴きやがれ,というのではない。そうである以上,こちらもそれに乗るのがマナーというものだ。
むしろ,こちらが奏者の背中を押すくらいでありたいわけだけど,これも迂闊に乗ると,演奏の流れを無視して,ダンサーに拍手しそうになったりする。結局,最後まで自重した感じ。
ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートをテレビで見ていても,観客はちょっと固くなっているじゃないですか。あれとこれとを一緒にするわけにはいかないけれども,ほどよいリラックスで楽しむって,意外に難しいのかもしれないな,と。
● 後半ではダンスが白熱した。演奏と五分を張る存在になっちゃった。「指揮者と奏者だけを見ていたい」なんて気持ちは,雲散霧消。
「ラ・スパニョーラ」と「ブダペストのユリスカ」では,再び,アルソフスカさんが登場。いるだけで場が華やぐ。ラストでは,器楽の演奏が彼女の声を消してしまっていたんだけど,これは場面的にやむを得ないんでしょうねぇ。
● 「ヘイレ・カティ」ではヴァイオリン首席の見せ場もあり,指揮者がエンタテナーの役を買ってでて,ダンサーや歌手と絡んだり,日本語のあいさつをはさんだり。アンコールの「ラデツキー行進曲」も流れ的に必然。
結局,終わってみれば小粋を維持した2時間になっていた。エンタテインメントに徹しましたよ,と。
● こうまでしてくれると,終演後のCDやDVDの売上げが確実に増えるね。
勢いで買ったチケットだけれども,勢いには乗ってみるもんだなぁ。こういう楽しみ方もいいものだと思った。
客席からも始終,大きな拍手が起こっていたけれど,「楽しませてくれてありがとう」が成分の8割を占めていたように思われる。
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