那須野が原ハーモニーホール 大ホール
● ぼくも栃木県に,しかも県北に住んでるんで,弦楽亭の存在は当然知っている。存在を知っているだけにとどまるけれど。玄人向けの渋い活動をしているんだよね,と(たぶん実際とは違っているんだろうな)。
室内オーケストラの演奏も2012年1月の「那須野が原ハーモニーホール New Year Concert」で一度聴いている。そのときとメンバーは同じではないと思うんだけど,ともかく二度目の機会を得た。
● 開演は午後2時。チケットは1,500円。指揮は柴田真郁さん。曲目は次のとおり。
シェーンベルク 浄夜(弦楽合奏版)
プロコフィエフ ピーターと狼
サン=サーンス 交響曲第2番
● 「普段あまり演奏の機会のない,珠玉の名作ばかり」とあるとおり,いずれも生演奏で聴くのは初めてだ。しかも,CDで聴こうと思えば聴ける状態にあるにもかかわらず,CDでも聴くことなく今日に至っている。
特に,シェーンベルクは音楽史の画期となった無調音楽だとか現代音楽だとか,あまりわかりたくもない色んなものをまとっている,難解かつ厄介な作曲家っていうイメージ。敬して遠ざけておきたい作曲家だと思っていた。
● けれど,「浄夜」はそうじゃなかった。ぼくでもとっかかりはつけられる曲だった。「深い森」と言われれば,なるほどそうかと思えるっていうか。
けれど,演奏する側は忙しそうだ。気を抜けない曲なんでしょうね。聴いてる方はけっこう遊べるんだけど。
デーメルの詩に触発されて作曲したっていうんだけど,その朗読は榊原徹さんが担当。演奏家であり指揮者でもあるんだけど,声もいいんですな。たぶん,こうした朗読も場数を踏んでいるのだろう。達者なものだったから。
● 「ピーターと狼」の語りも榊原さん。いよいよ巧さが際だつ感じ。オーケストラの演奏中にも語りが入るわけで,それでも声が通ってくるんだからね。江守徹を思いだしたんですけど。
● 演奏もあきれるほどの高水準。「プロ・アマ混合」とあったけれども,アマといっても栃響や那須フィルの精鋭たちが入っていたようだ。
姿もいい。耳をふさいで目で見ているだけでも鑑賞に耐えると思った。
このメンバーでこの曲で1,500円。タダみたいなものだろう。
● ぼく的には,サン=サーンスの2番を聴けたことが最大の収穫。最初から最後まで間然したところがなく,ピンと張りつめているのに多彩な表情を見せる。3番に比べれば小品ってことになるんだろうけど,質量が劣ることはないように思った。
これを聴かないできたのはバカでした。さっそく,リッピングしてスマホに転送した。こういう聴き方がいいのかどうか,われながら疑問もあるんだけど,こういう聴き方しかしていない。
● ただね,これを聴かなかったとは何と迂闊なという曲は,これ以外にも山ほどあるんだろうな。つまりは,迂闊なままで一生を終えることになるんだろうな。
● アンコールは「おもちゃのシンフォニー」。「お子様からクラシックに少し縁遠い皆様まで幅広いお客様にお楽しみいただけるよう考えました」という,これもその工夫の結果だろう。後味の良さにつながった。
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