宇都宮市文化会館 小ホール
● 開演は午後2時。終演は4時35分だった。途中の休憩時間は15分だったから,かなりミッシリと中身の詰まった演奏会だった。
チケットは1,500円。当日券を購入。
● 国立音楽大学というと,声楽を主力にしているというイメージがある。この大学の出身者で活躍中の声楽家は,佐藤しのぶさんや錦織健さんをはじめ,数多いから。
ジャズの山下洋輔さんを逸するわけにはいかない。声楽だけではもちろんない。
あと,フジテレビのカトパンこと加藤綾子アナウンサーがこの大学の出身じゃなかったでしたっけ。多士済々。そんなに大きな大学ではないはずだけどね。
● この演奏会でも声楽が多かった。大西千恵子さん,荒井雪乃さん,折原亜矢子さん。いずれもソプラノ。
そんな中で唯一の男性が永山智宏さん(バリトン)。トスティの「薔薇」とヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」から“君が微笑み”。
真面目というか律儀な感じの歌いっぷり。プログラムの「出演者プロフィール」によれば,現在は地元の役場に勤務しているらしい。なんか(もし,失礼の響きがあったらご容赦願いたいのだけれども)こういう人生っていいなぁと思った。その道のプロになるのだけが,音楽との付き合い方じゃないものな。
● 声楽以外では,新井啓泰さんのピアノ。ショパンのバラード第3番。新井さん,4月に行われた藝大同声会栃木県支部演奏会でもバラキレフの「イスラメイ」を演奏した。学部は藝大,院は国立ということ。
西園文美さんのフルート。クーラウ「オイリアンテの主題による序奏と変奏曲」。横田郁美さんのマリンバ。一柳慧「源流」。木主里絵さんのクラリネット。ドビュッシー「クラリネットのためのラプソディ第1番」。
● ピアノ以外は,いずれも初めて聴く曲(だと思う)。マリンバなんか何気にやっているけれども,難易度高そう。この程度はできてあたりまえだよってことなんだろうか。何カ所かウルトラCがあったような気がするんだけど,そのへんのところも含めて,ぼくにはよくわからない。
クラリネットの伴奏ピアノは稲生亜沙子さん。じつはこのピアノが一番印象に残っている。
● 休憩後の第2部は,この大学の先生方の演奏。
まずはピアノの花岡千春さん。ドビュッシー「子供の領分」。ぼくが言うのも失礼だけれども,まったく危なげがないですよね。
某ホテルの朝食のオムレツを思いだした。ベテランのシェフが目の前で作ってくれる。風味も食味も絶佳。熟達の調理人が作るシンプルなオムレツ。それを思いだした。
● ヴァイオリンの大関博明さん。花岡さんの伴奏で,モーツァルトのヴァイオリンソナタ(K301)。才能の固まりっていうんですかね。釣りの名人が,仕事を離れて,趣味としてしばしフナ釣りを楽しんでいる風情(いや,必死にやったよ,って言われると思うんだけど)。
● ソプラノの佐藤ひさらさん。これも花岡さんの伴奏で,山田耕筰「AIYANの歌」とプッチーニの「蝶々婦人」から“ある晴れた日に”。
“ある晴れた日に”は圧巻。陳腐な言い方だけど,トリを飾るに相応しい。瑞々しい。力がこもっているのに力みはない。こういう表現もできるんだなぁ,と。
● 以上。これで1,500円。
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