栃木県総合文化センター メインホール
● 開演は午後6時半。チケットは800円。けれども,今回は招待状で入場。
チケットで入場する人と,招待状(ハガキ)で入場する人の入場口は分けられている。招待状で入場する人が圧倒的に多い。これはどこでもそうなんでしょうね。
● 年末も押しせまった平日の夜にもかかわらず,総合文化センターのメインホールがほぼ満席。明日から年末年始の休みに入る会社が多くて,その切替えポイントにちょうどいいってのもあるんだろうか。
だとしてもなかなかのものだ。切替えポイントとして最も多く採用されるのは,“飲みに行く”だろうから。
● クラシック音楽の大衆化はもう行くところまで行っていると思っていたんだけど,そうではなくさらに拡大する余地があって,それが徐々に徐々に進行しているのかもしれない。
ま,一番目は招待状の集客効果だろうけどね。
● 曲目は次のとおり。指揮は井﨑正浩さん。
フンパーディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲
ハチャトゥリアン 組曲「仮面舞踏会」
シベリウス 交響曲第2番 二長調
● ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」を聴くのは,今年3回目。かつ今月3回目。続くときには続くものだな。何度聴いてもいいものはいいので,続くから不満というわけではまったくない。
1曲目の「ワルツ」はけっこう抑え気味という印象。井﨑さんの解釈なのだろうか。「ノクターン」でもコンミスが静かに弓を操る。
● シベリウスの2番は,昨年の後半に何度か聴く機会がまとまってあった。が,今年になってからは初めてじゃないかと思う。
で,今回のシベリウスは今まで聴いたものとは違っていたような印象だった。シベリウスの2番ってこういう曲だったっけ,という。
違っていたといっても,楽譜は同じなのだから,何なのだろう,間の取り方とかそういうところが,独特だったのだろうか。
● 聴きながら,何なんだこれは,と思い思いしたのだけれど,自分の記憶の中にあるシベリウスと何が今回は違っていたのか,突きとめることはできなかった。情けない。
井﨑流のシベリウスなのだろう。が,何が井﨑流なのかはわからなかったということ。
● ただ,井﨑流を表現するのは学生の団員たちだ。巨匠と若い学生たちが向き合っているわけだけれども,そこに上下関係はたぶんない。
染めるのは井﨑マエストロで,染められるのは学生たち。しかし,染めるのが才能ならば,染められるのもまた才能である,と言ってみたい。
● そうでなければこういう演奏にはならない。若さと“溌剌”や“清新”は相性がいいのだろうけれど,イコールではない。が,この楽団の演奏は,“溌剌”であり“清新”である。しかもときに“無邪気”であり,ときに“爛熟”も見せる。
学生オーケストラの世界においては,栃木に宇都宮大学ありと言っていいだろう。学生オケの枠をはずしても,宇都宮大学管弦楽団は栃木県の有力なオーケストラであるように思われる。
0 件のコメント:
コメントを投稿