すみだトリフォニーホール 大ホール
● 東京に演奏会を聴きに行くのは,久しぶりな感じがする。と思ったんだけど,7月に聴いてたんでした。さほどに久しぶりでもないのか。
東京は大好きな街だ。おかげでニューヨークにもロンドンにもパリにもシンガポールにも,あまり行ってみたいとは思わなくなった。東京に住んでいる人の中には,田舎に引っ越したいと思っている人も少なくない数,いるのかもしれないけれど。
● 田舎に住んで,たまに東京に出る。その東京体験はけっこう贅沢なものになる。
といって,東京に住むのはどうもね,とは思っていない。住む機会があれば住んでみたいものだ。
が,東京で働きたいとは思わないね。それだけはイヤだ。何がいやかといえば,通勤時の電車だ。あれに毎日乗ることの消耗を考えたらね。東京で働いている人たちは偉いと思う。
● 8日から今日まで,上野の藝大の大学祭(藝祭)が開催中。今まで二度ほど行ったことがある。もっぱら音楽の方なんだけど,さすがは藝大で,藝大版ジュルネといいたいほどにメニューが豊富だ。
けど,整理券が必要だったり,抽選で入場できるかどうかが決まったり,手続きが面倒になった。それだけ人気があるということ。
ただね,それが面倒なのと,ロートルが紛れこんでは申しわけないと思うのとで,しばらく行っていない。今年も結局,見送ることにした。
● で,東京は錦糸町,すみだトリフォニーホールに参りましたよ,と。グローバル・フィルハーモニック・オーケストラの定期演奏会。ぼくは初めて拝聴する。
毎度の感想だけれども,東京のアマチュアオーケストラの層の厚さを痛感する。これ,ただものじゃない。田舎に住んでいると,ホントそう思う。
人口も大学も経済も文化も東京に集中しているからだと頭ではわかるんだけど,その頭を越えて圧倒される思いがする。
● 開演は午後1時半。チケットは2千円。当日券を購入。
曲目は次のとおり。指揮は三石精一さん。
R.シュトラウス 交響詩「ドン・ファン」
R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」
● シュトラウスの2曲は木管が活躍する。オーボエ,フルート,クラリネット,ファゴット。それぞれ凄いんですわ。
弦もそうなんだけど,音大出が相当いるんでしょうね。あるいは音大ではなくても,○○大学の△△学部ではなくて○○大学管弦楽団の卒業生だ,というような人。
● ぼくごときがこの演奏に対して,あそこで小さな事故があったとか,終曲のところでやや足並みが乱れたとか,やれ縦の線がどうのっていうのは,チャンチャラおかしい。われながらそう思う。
もともとパワーがあるプレイヤーが,心をこめている。その結果として生まれる演奏に,多少の事故など疵にもならない。そういうものをはね飛ばすだけの,何というのか,ギュッと詰まった高密度な演奏だったと思う。
● 指揮者の三石精一さん。東大オケの演奏会をはじめ,三石さんの指揮には何度か接している。
85歳になる。客席から見る分には,とてもその年齢には見えない。まだ60代なのじゃないかと思える。
暗譜で指揮をし,身体は柔らかく十全に動く。動作も敏捷。舞台袖を往復するときの表情の豊かさも印象的(指揮中の表情は見えないわけだけども)。
演奏家や指揮者に長命な人は多いし,高齢になっても現役で活躍している人も少なくないから,そのこと自体には格別驚くこともないんだけれども,三石さんはルックスが若い。いわゆるひとつの奇跡を見ているような気分になった。
● もうひとつ。プログラム冊子で三石さんの経歴を見て,羨ましいと思うことがあった。芸大の指揮科一期生。しかも,指揮科の学生は三石さんただ一人。つまり,上がガラガラに空いているから,スイスイと上がっていけた。
今の若い指揮者は空きがないから,食べていくための労働量が,三石さんの頃とはだいぶ違うのじゃないかと思う。
もちろん,上に重石がないという理由だけじゃなくて,三石さんの才能や資質が与って力あったんだろうけれど。
● コンサートホールで婆さまの集団が隣に来た。婆さまに限らないんだけど,女の集団というのはねぇ。
あとから来る人のために席取りをする。あとから来た人を見つけると,大きな声で呼びかける。○○さん,こっちこっち。うるさい。べつに固まって聴かなくてもいいじゃないか。
0 件のコメント:
コメントを投稿