2025年5月19日月曜日

2025.05.18 宇都宮シンフォニーオーケストラ 第22回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は14時。入場料は1,000円。当日券を買った。2階右翼席に着座。
 曲目は次のとおり。指揮はいつもの石川和紀さん。
 モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調
 ブラームス 交響曲第4番 ホ短調
 
● ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」のソリストは佐山裕樹さん。新日フィルの若きチェロ首席。
 佐山さんの独奏でこの曲を聴くのは,今回が二度目。4年前の今月真岡市民交響楽団の定演で聴いている。

● そのときはどうだったか,詳しいことは忘れている。いや,聴いたことは憶えているが,聴いたことだけしか憶えていない。
 第1楽章が終わったところで拍手が起きた。拍手したくなるだろう,それが自然だろうと,ぼくも思った。
 オケも本気の熱演。ソリストに引っ張られるというよりは,ドヴォルザークの楽譜に引っ張られるんだろうか。

● ドヴォルザークは鉄道好きで,じつは機関車の音を音楽にしたのだと言う人がいる。たしかに言い得て妙なところがあって,「新世界」なんていたるところにそれがある。
 チェロ協奏曲も特に第3楽章にそれが多いような気がする。で,そういう気になると,曲中に機関車音を探してしまうことになる。まったく余計なことを教えてくれたものだ。

● 栃木県はチェリストを輩出する県だ。金子鈴太郎さん,玉川克さん,宮田大さん,そして佐山さん。
 ま,栃木県が輩出しているわけではなく,彼らはどこに生まれても,どこで育っても,チェリストになったと思うけど。選ばれた人たちだろうから。チェリスト以外の何になってもいけない,という人たちでしょ。

● ブラームスの4番はスィーティーなメロディーで始まるから,なるほどブラームスはメロディーメーカーなのだなぁと感心しているうちに終わってしまうのだが,もちろんスィーティーなだけの曲ではない。大変な質量がある。
 ということをわからせてくれる演奏で,仕事や家庭を抱えながら,こうした演奏活動を継続している貴方がたは大したものだ。

● 佐山さんもチェロの列に加わっていた。新日フィルの首席を賛助に迎えての演奏だったわけだ。
 アンコールは「ハンガリー舞曲」の6番。

● ひとつだけうっかりしたことがあって,開演前に宇都宮市民芸術祭(この宇都宮シンフォニーオーケストラの定演も,その一環とされている)の開会セレモニーがあったことだ。早めに行ったので,これに付き合うことになってしまった。去年の「第九」のときもそうだったな。
 あまり見たくもない顔がステージに並び,聞きたくもない挨拶を聞かされる。ぼくはウォークマンのイヤホンを耳に突っ込んで,スマホを見ながらやり過ごしたが,このセレモニーは必要なのかね。
 主催者の自己満足でしかないように思うが。いつまで昭和を引きずるうもりだ? 何よりいけないのは,開演の直前に,場の空気を思いっきり冷やしてしまうことだ。こちらは演奏を聴きに来ているのだ。

2025年5月14日水曜日

2025.05.11 課題曲演奏会 in 宇都宮

宇都宮市文化会館 大ホール

● 吹奏楽コンクールの課題曲をまとめて演奏しようという演奏会。今年の課題曲もあるし,過去の課題曲もある。
 聴きに来たのは,今年のコンクールに出場する吹奏楽部の中高生が多いのだろうが,ぼくのように聴くことを娯楽にしているロートルも多かったようだ。

● チケットは5日に開催された作新学院高校の演奏会で出張販売(?)していたので,そのときに買っておいた。
 入場時に半券を自分でもぎる。このやり方はコロナ禍で身体接触を避けるために始まった。コロナ禍が去ると元に戻ってしまったようなのだが,どう考えても入場者が自分でもぎる方が合理的だ。
 チケットの受渡しをしないのだから,入場に要する時間も短くできる。このやり方,定着してほしいと個人的には思っている。ちなみに,電子チケットは定着したようで,慶賀の至りだ。

● 一応,2部構成。ただし,休憩時間が短かった(15分間)こともあって,2部感はさほどしなかった。
 まずは,県南の中学生を中心とするメンバーの演奏。次の3曲。
 大島ミチル Rhapsody~Eclipse(2025)
 河野土洋 ブラジリアン・ポートレート(1998)
 後藤 洋 ステップ,スキップ,ノンストップ(順次進行によるカプリッチョ)(2025)

● 宇都宮文星女子高校と文星芸大附属高校を中心とするメンバーで次の2曲。
 伊藤士恩 マーチ「メモリーズ・リフレイン」(2025)
 岩井直溥 ポップス描写曲「メイン・ストリートで」(1976)

● さらに,宇都宮市立陽南中学校と宮の原中学校のメンバーで次の2曲。
 伊藤士恩 マーチ「メモリーズ・リフレイン」
 渡口公康 行進曲「勇気の旗を掲げて」(2024)

● 後藤洋さんがゲストに来ていて,中学生に直接指導。中学生がちゃんと喰らいついて行くんですね。確かに変わる。変わった後が前より良くなったのかどうかは,ぼくにはわからないが。いや,中学生を舐めてはいけない。
 こういう場面はその後もあった。聴きにきていた吹奏楽部の中高生にとっても,ワークショップのようなものだったでしょうかね。

● 最後に,社会人のシンフォニックウインドオーケストラ21が次の2曲。
 大島ミチル Rhapsody~Eclipse
 間宮芳生 マーチ「カタロニアの栄光」(1990)

● ここから第2部。まず登場したのは東海大学菅生高校。
 杉山義隆 祝い唄と踊り唄による幻想曲(2025)
 小長谷宗一 風と炎の踊り(1989)
 J.マッキー 吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」

● 杉山さんもゲストに来ていたので,作曲者が指揮をするという場面があった。
 が,そんなことよりも「ワインダーク・シー」が圧巻。何だ,これは,と思った。こういう演奏を高校生がするのか。
 ステージから圧縮された熱が放たれて,客席を覆う。身体がジーンとなる感じ。

● 次に地元の作新学院が登場し,次の2曲を演奏した。
 後藤 洋 ステップ,スキップ,ノンストップ(順次進行によるカプリッチョ)
 高橋宏樹 ストリート・パフォーマーズ・マーチ(2005)
 安心して聴ける演奏であるのは言うまでもない。何せ,演奏しているのが作新なのだ。たぶん,これが県内最高峰。

● 最後は埼玉栄高校。次の3曲を演奏。
 高橋宏樹 イギリス民謡による行進曲(2003)
 後藤 洋 ステップ,スキップ,ノンストップ(順次進行によるカプリッチョ)
 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」より “エルザの大聖堂への行列”

● 「エルザの大聖堂への行列」はオオトリに相応しかった。うぅむ,としか言えない。
 31日に大宮ソニックで定演があるらしい。大宮まで行くか,行かざるか。


(追記)

● 埼玉栄高校吹奏楽部のサイトを見たら,昼夜2回公演なんですね。定期演奏会がね。
 一定以上の認知をすでに獲得しているわけだねぇ。作新もそうなのだが,吹奏楽をやりたいから栄に入学したという生徒たちなんでしょうね。

● 当日券,あるかなぁ。夜公演ならあるんかな。
 と言うのは,前売券はセブンチケットで買うしかなさそうなんだけど,セブンチケットにアクセスできなくなっているんですよ。パスワードが撥ねられてしまう。以前は買えてたんですけどね。

2025年5月7日水曜日

2025.05.06 アウローラ管弦楽団 第33回定期演奏会

ミューザ川崎 シンフォニーホール

● 開演は13時30分。曲目は次のとおり。指揮は米津俊広さん。
 グリエール 序曲「フェルガナの休日」
 イッポリトフ=イワノフ 組曲「イヴェリア」
 リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」

● ロシアしか取り上げないこの楽団ならではのプログラムでしょ。「フェルガナの休日」も「イヴェリア」も,ぼくは音源を持っていない(ネットには転がっている)。
 フェルガナはウズベキスタンの東部,キルギスとタジキスタンの国境近くにある街らしい。キルギスとタジキスタンの国境には未画定区間があったようで,武力衝突も起こっている。昨年,一応,国境は画定したらしいのだが,これで安泰というほど楽観はできないのだろう。
 そのトバッチリをフェルガナも受けざるを得ない。昔は知らず,現在は地政学的に厄介なことになっているようだ。

● 「イヴェリア」は「コーカサスの風景」第2番とも言われるのだが,「コーカサスの風景」のCDは持っている。ただし,聴いたことはない。聴きたいと思った記憶もないから,何かと抱き合わせになってるのを入手したのだと思う。
 今日の演奏会で「イヴェリア」を聴いたことによって,「コーカサスの風景」も聴くことになるかな(ならないかな)。

● 以前は,聴いたことがない曲を生で聴く機会があると,音源を手当しなきゃと思ったものだ。が,最近では諦めムードだ。キリがないからだ。
 数多ある楽曲の中で自分が聴いたことのあるものなど,ほんのひと握りに過ぎない。永遠に生きられるならともかく,寿命の残りがリアルに感じられるお年頃になると,諦めるべきは諦めなきゃしょうがないと思うようになった。

● 女性奏者はカラフルなドレスをまとって登場。華やかで,文字どおり花が咲いたようになる。
 が,私はそんなのイヤだ,演奏するのにそんな恰好はしたくない,という人が一人くらいはいてもよさそうなものだ。ひょっとして,それを許さない同調圧力がこういうところでも効いてしまうのかと思ってたんですけどね。
 ちゃんといましたよ。黒の演奏服(?)の女性奏者が二人いた。

● 「シェエラザード」を取りあげるのは,今回が二度目になるそうだ。10年前の第10回定演で演奏している。
 そのときのアクシデントをコンミスが紹介している。直前に弓が折れてしまったこと。“号泣” したとあるのだが,弓が折れたことよりも号泣したことからの立て直しの方が大変だったのではないか。
 と,思うのは凡人の浅はかさのようで,ステージで待機している団員を待たせながら「舞台袖の鏡でマスカラが落ちていないか入念にチェックしていた」というのだから,相当な大者だ。それとも,女性はだいたいそんなものか。
 ちなみに,その演奏会はぼくも聴いたのだが,そんなアクシデントがあったことは,もちろん髪の毛一本ほども感じさせなかった。

● 演奏の水準は相当なもの。あまたあるアマチュアオーケストラの中でも,この楽団の水準は相当上位と思う。であればこそ,北関東の田んぼの村から川崎まで聴きに来ようとなるわけだ。
 ロシアを専ら取りあげるのは他にもあったと思うが,その代名詞的存在はこの楽団ということになる。

● こうした演奏を聴くというのは,単に耳で聴くにとどまらず,眼で観るものでもあるし,皮膚で感じる要素もある。
 “聴く” だけを取りあげても,CDで聴くのと生演奏を聴くのとでは,働く神経細胞と神経回路の数がかなり違ってくるように思うが,そこに眼や皮膚も加わるとなると,そもそもライヴとCDは並べるものではないのだろう。

● あとどのくらい自分の身体をホールに運んでいくことができるのか,と考えることがあるようになった。そういうお年頃。
 無理をすると他の観客に迷惑をかけることになる。これ以上は無理だと思う少し手前で退きたいと考えているが,願わくば,その時期が少しでも遅からんことを。

2025年5月6日火曜日

2025.05.05 作新学院高等学校吹奏楽部 フレッシュグリーンコンサート2025

宇都宮市文化会館 大ホール

● 連休中に行く演奏会の中でも,これがメインと勝手に位置づけている作新学院高校吹奏楽部のフレッシュグリーンコンサート。開演は14時だが,この演奏会はとにかく混む。席数以上にチケットを販売していることはないはずだが,空席を探すのに苦労したことはある。
 ので,開場時刻の13:15よりも前から行列に加わった。それでも,自分の定席と決めている2階右翼席の一番奥の席に座ることはできなかった。

● だいぶ早くに着座したわけだが,開演前のアンサンブル演奏があるので,時間をもてあますことはない。
 ちなみに,開演前の静かなホールの席に座って,ウォークマンで好きな曲を聴くのも,なかなか乙な体感になる。そのためだけにウォークマン(スマホでもいいが)を買うのもありだと思っている。

● 曲目は次のとおり。
 第1部。
 高橋宏樹 ストリート・パフォーマーズ・マーチ
 山田耕筰 この道
 後藤 洋 ステップ,スキップ,ノンストップ
 真島俊夫 吹奏楽のための音詩「漣の島」
 樽屋雅徳 マードックからの最後の手紙

 第2部。
 森田一浩編 ライオン・キング・メドレー
 C.ストラウス バンドとコーラスのためのTomorrow
 Ayase YOASOBIメドレー
 桑田佳祐 みんなのうた

● 「バンドとコーラスのためのTomorrow」では部員によるコーラス隊も入る。たとえば,オペラは総合芸術と言われるが,こういうのを聴いていると,吹奏楽も総合芸術にしやすい,少なくとも総合芸術と相性のいい形態なのだな,と思う。
 足し算がしやすい。第3部のドリルは典型的にそうだ。

● そのドリルが圧巻。圧巻も何も,こんなのは作新にしかできない。
 演奏技術の確かさがすべての基礎にあるのだろうが,それだけではない。ラインの取り方とその表現。立ち姿の見た目を保つ体幹の若さ。バトンやフラッグの取扱いの巧みさ。挙げだせばきりがない。

● 贅肉が付く前のしなやかな女子高校生の肢体自体が見どころになる。助平とかエロ爺とか言われるだろうけれども,絶対的にそれはある。大学生になってしまった後では,この表現はおそらく無理なのではないか。
 かと言って,大学生にしかできない表現もあるはずだから,大学生になってしまったからといって私はもう若くないと落胆するのは,まったく当たらない。今まで生きてきた中で只今現在が最高年齢だから,放っておくと容易に晩年意識に堕ちることになる。ご注意。

● このあと,事実上の第4部になる “野球応援ステージ” がある。
 加えて,今回は “石塚武男メモリアルバンド” による「76本のトロンボーン」「オブラディ・オブラダ」「ヘイ・ジュード」「オリーブの首飾り」の演奏があった。石塚武男とは何者? については,ぼくが語ることではない。
 たっぷり3時間の演奏会。この長丁場をダレ場を作らないでやりおおせるのだから,この吹奏楽団はただ者ではない。毎回感じることだが,今回も同じ印象を持った。

● この定演では過去の定演のCDや作新グッズを販売している。ガッツリ利益を上げて,活動の原資にしてもらいたいものだと思っているが,そうは言ってもなかなか協力するところまでには至らない。
 いつぞやの定演のときに,第54回定演の録音CDを買った。ウォークマンに入れて聴いているが,愛聴CDのひとつになっている。ただし,毎年のCDを買って聴き比べてみるというところまでは行かなくて,この1枚で満足しちゃってる。

● 音だけではなく,姿まで残しておくといいと思うが(特に第3部),仮にDVDがあったら買うかとなると・・・・・・。やはり1枚は買うと思うけど,毎年買うところまでは行かなそうだ。
 なのに,DVDも作ってください,とは言いにくい。主催者側はその必要性を感じていないのだろうし,費用の問題もあるしね。

● 今月の11日には「2025 吹奏楽コンクール課題曲演奏会 in 宇都宮」が,この会場で開催されることを,プログラム冊子と一緒に配られたチラシで知った。東海大学菅生高校と埼玉栄高校も登場する。
 実質的な事務局を作新学院が務めているのかもしれない。ロビーでチケットを販売していた。1枚,買っておいた。
 こういうのは自分から買いに行くと自動的に面倒が発生する。「ぴあ」を使おうものなら,手数料がかかるうえに日数も要する。売りに来てくれてるのを買えば,その種の手間が不要になる。

2025年5月5日月曜日

2025.05.04 第28回マーキュリーバンド定期演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 黄金週間のまっただ中。JR宇都宮駅から大通りを歩くと,まるで縁日のようになっている。日本全国に共通する現象だろう。
 毎日がこうでは辟易するが,たまにだから大目に見よう。というか,こういうのが嫌なら,この時期だけは外に出なければいいだけの話だもんね。

● 市民吹奏楽団のマーキュリーバンドの定演。開演は14時。入場無料。プレコンサートあり。
 まず,ヤン・ヴァン・デル・ローストのコンテスト・マーチ「マーキュリー」から始まって(これは恒例になっている?),リードの「アルメニアン・ダンス」全曲。

● アルメニアン・ダンスをCDで聴く場合,佐渡裕&シエナ・ウインド・オーケストラという人が多いのじゃないかと思う。ぼくもその例に漏れないが,機材のせいか耳のせいか,何だか・・・・・・。
 やっぱ生で聴きたい。全曲を聴ける機会なので,競合する演奏会を押しのけて,この演奏会を選んだ。

● 演奏の巧拙は,基本,問わない。ぼくのような聴き手でも足切り線は設けているらしい。それに届かないと???と思うのだが,足切り線を超えていれば,超え幅に関係なく同じに聴こえてしまう程度の耳しか持っていないからだ。
 で,この楽団は,ぼくが勝手に引いた足切り線は余裕で超えている。

● 後半は時代劇メドレー,バズリ曲メドレー。客席へのサービス。
 時代劇は「必殺仕事人」であれ「暴れん坊将軍」であれ,映像を見てしまっている。どういう内容で,この音楽はこの場面で流れるものだ,と知ってしまっている。
 それがいいことなのかどうか。使用される状況から切り離して,音楽だけを味わうことは難しい。セットで付いてくるものが多すぎる。

● 後半の後半は「スター・ウォーズ」。演奏されたのは次の4曲。
 メイン・タイトル
 レイア姫のテーマ
 ヨーダのテーマ
 ジェダイへの階段〜フィナーレ
 アンコールで「帝国のマーチ」も。

● と知ってるように書いているが,映画は観たことがない。まったくない。映画は Amazon Prime で見られるだろうか。サブスクはアマプラにしか入っていないのでね。
 ただし,映画を観てしまう前に,まず音楽だけを聴いておきたい。2月の栃響の演奏会でも「スター・ウォーズ」組曲を聴いている。今ではJ.ウィリアムズの代表作になっているのだろうから。映画を観るのはその後の方がいいかな,と。

● アンコールはもう一曲。石川一宏・内藤慎也「ミラクルショット」。

2025年5月4日日曜日

2025.05.03 浦和フィルハーモニー管弦楽団 第74回定期演奏会

さいたま市文化センター 大ホール

● 昨日の嵐とは打って変わった夏日。宇都宮発11:19の上野東京ライン平塚行きに乗った。南浦和に行こうとしてます。最寄駅からの運賃は1,690円です。
 田んぼの村から宇都宮までの電車は混んでいたが,こちらは普段と同じ。もっとも,宇都宮以北からの宇都宮行きは3両で,宇都宮以南に行くのは15両。

● いや,小山でだいぶ席がふさがった。いつもだと栗橋か久喜あたりまではガラガラが続くんで,GW中はお出かけする人が増えるというあたりまえの現象が展開されてますかね。
 が,子連れはあまりいないんですよね。

● ともかく,南浦和に着いた。この駅で武蔵野線に乗換える,京浜東北線に乗換える,
というのは何度かやったが,改札口を出るのは生涯初。

さいたま市文化センター
● 何ゆえ,南浦和に来たかというと,浦和フィルハーモニー管弦楽団の定演を聴くため。
 “浦和の第九 2025” と副題がつく。年末じゃなくても第九には特別感があって,聴けるものなら聴いておこうとなるじゃないですか。

● 開演は14時。指揮は佐藤寿一さん。第九なのにチケットは1,000円(当日券は1,500円)。TEKET で買っておいた。
 さいたま文化センターのホールは,宇都宮市文化会館と客席の構造が似ている。2階の左右両翼に空中席(?)がある。この空中席の奥(中央寄り)が好きで,自分の特等席だと思っている。
 前座に持ってきたのはロッシーニ「セビリアの理髪師」序曲。これを聴いて,第九への期待が膨らんだ。弦(特にヴァイオリン)は相当な技量の持ち主とお見受けした。

● その第九。合唱団とソリストは第3楽章の前に入場する,最も普通にあるスタイル。ここは演奏する側の都合もあるだろうから,客席からガタガタ言うことではないと思うのだが,可能ならば最初からスタンバっていてもらいたい。
 マーラーじゃあるまいし,第3楽章を始める前に5分以上空けろと,ベートーヴェンが指示しているわけではあるまい。ここでの長めの中断はテンションを下げる。
 奏者としてはここで小休憩が欲しいところなのかもしれないが。ひょっとすると,聴衆も。

● ソリストは西本真子さん(ソプラノ),牧野真由美さん(メゾソプラノ),村上公太さん(テノール),原田圭さん(バリトン)。
 合唱団はさいたま市合唱浦和の会。プログラム冊子に沿革の紹介がある。

● 第九の演奏が始まる前に,20代と覚しき男女の3人組がやって来て,ぼくの隣に着座した。スマホで自撮りを始めた。嫌な予感がした。
 演奏が始まってからも,スマホを客席に向ける。もちろん小声ではあるのだが,話をやめない。プログラム冊子をめくり,カサコソという音をたてる。あげくの果てに,演奏中にまた自撮りを始めた。

● こうなると,演奏を聴くどころではない。とまでは言わないにしても,集中はできなくなる。メンタルの消耗も始まる。これなら,家でCDを聴いてる方がずっといい。
 特に,第4楽章の “歓喜のテーマ” でヴィオラが演奏を始たところでお喋りを始められたときは,怒髪天を突く思いがした。ここは養豚所じゃないぞ,豚は来るな,と言ってやろうかと思ったよ。
 ここでのヴィオラは第九の中でも聴きどころのひとつと思っているからだ。これほど美しいヴィオラの音色をぼくは知らない。

● 高齢者のどうかと思われるふるまいには慣れているつもりだが,若者でこういうのにはまず出くわさないので,浦和には放し飼いの豚もいるのかと思ったことでしたよ。
 ただし,終演後に気がついたのだが,この豚君たち,日本人ではなかった。いたって気の良さそうな若者たちで,最初から知っていればメンタルの構えも違ったかもしれない。

● 第九の緩徐楽章は演奏が難しいんだろうか。ぼくは奏者側に回ったことがないので,聴いていても盲点だらけになっているはずだが,演奏を聴きながらそんなことを感じた。
 いや,くどくてすまぬが,豚さえいなければ。