宇都宮市文化会館 大ホール
● オーケストラを初めて生で聴いたのは,2009年の5月だった。その頃は,栃木県限定で聴いていこうと思っていた。まさかこんなに聴くことになるとは考えもしなかった。
そうなった理由は,このブログを始めてしまったことにある。わずかながら読んでくださる人がいるのが嬉しくて,ブログを書く(更新する)ために聴きに行くという,なんだか笑えない事態が出現してしまった。
● が,もちろん,それだけのはずもなくて,結局のところ,快楽原則にしたがった結果だ。生演奏を聴くことの快感に身を任せた結果,膨れるだけ膨れてしまった。
ひょっとして,いや,ひょっとしなくても,職業人としては落第だろう。家庭人としては合格かというと,それも怪しい。要するに,個の快楽を優先しているわけだから。
でも,自分でそれを許しているわけで,そこがどうもな。
そういったことも含めて,他方で捨てているものがあるはずだけれども,その自覚は薄い。
● もともと,ゴルフもスキーもパチンコもやらないし,物欲もあまりない(と自分では思っている)。車なんて走ればいいし(だいたい,実用以外で運転することはない),洋服もユニクロかシマムラで充分。一着をすり切れるまで着続ける。食べもののことでヨメにうるさく言ったこともないはずだ。
人付き合いも最小限。休日を友人と過ごした記憶はない。っていうか,友人がいない。
唯一,オーケストラの生演奏にだけは出かけているよ,と。
● で,今回は宇都宮大学管弦楽団。開演は午後2時。チケットは800円。
指揮は末廣誠さん。曲目は次のとおり。
シューベルト 歌劇「フィエラブラス」序曲
グノー 歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
ドヴォルザーク 交響曲第9番 ホ短調「新世界より」
● シューベルトがオペラをいくつか作曲したことは知っている。が,CDもDVDも見たことがない。当然,持っていないし,聴いたこともない。「フィエラブラス」序曲も初めて聴く。
この曲にしても,グノーの「ファウスト」にしても,あまり(というか,めったに)演奏されない曲を持ってきた。ほかにもあるんだろうね。一般受けはしないかもしれないけれども,演奏してみたい曲っていうのが。
● メインはおなじみの「新世界より」。率直に感想を申しあげれば,荒削りな印象があった。もっと細かく研磨をかける余地が,各パートともあったように思う。
しかし,だからダメかというと,ことはそう単純ではない。荒削りには荒削りの良さが,厳然としてあるから。
第4楽章のフィナーレに向けての怒濤の勢いは,荒削りなればこそ。立派にひとつの表現たり得ている。ここに細かな磨きを加えてしまうと,それによって失われるものが必ずある。
● ただし,これは目の前で演奏している様を目にしているからでもある。録音で聴いたら,また違った印象を持つことになるだろう。
曲との相性もある。アンコールはチャイコフスキーの“花のワルツ”だった。この曲と今回の演奏はミスマッチというか,ちょっとそぐわないように思えた。
● 運営スタッフの対応はほぼ完璧。宇都宮大学に限らないんだけど,今どきの学生はうまいよねぇ。ほんとにソツがない。サービス業に転身しても,明日から仕事になるんじゃないか。
0 件のコメント:
コメントを投稿