2013年12月7日土曜日

2013.12.07 オペラ鑑賞入門講座

栃木県総合文化センター 特別会議室

● 宮本哲朗さんによるレクチャー。午後2時から2時間。入場無料。

● 受講前はこんなことを考えていた。
 オペラに限らず,何ものかを鑑賞する場合に,こういうふうにしなさいというガイドラインをまず求めてしまうヤツはダメなヤツ。
 そういう人って,おそらく,効率信仰があるんだと思う。無駄を省きたい。効果的に鑑賞したい,っていう。効率だけで人生を埋めて,どこが楽しいのか。

● 鑑賞の仕方に正しいものと間違ったものがあると考えているのかもしれない。だから,その道の権威に正しいものを教えてらもらいたい,と。
 これも何だかなぁ。間違ってたっていいじゃないかと思ってしまう。間違いだって遠回りだってかまわないから,まず自分に尋ねてみたらいいと思う。

● てなことを言いながら,そういうところが自分にもあることを認めざるを得ない。でなければ,わざわざこうした「入門講座」なんてものを聞きに行ったりしませんよね。大丈夫なのか,オレ。

● 講師の先生も,オペラの鑑賞の仕方に方程式なんかないと言いたいと思う。どんな見方をしたっていいんですよ,人それぞれですよ,ここではそのためのヒントをいくつかお話ししましょう。
 というような話になるんだろうな,と思ってたんですけど。

● が,そうではありませんでした。鑑賞のしかたをガイドするというのではなく,まずはオペラが総合芸術(音楽的,文学的,演劇的,美術的,舞踏的,の5つの総合)であることの説明。声の種類によって役柄が決まること。パルランド形式についてのざっくりとした解説。
 あとは,オペラに興味を持つ契機について御自身の体験を語った。ラジオから流れてきた序曲が興味を持つキッカケだったというようなこと。

● 実際にいくつかのアリアや重唱を聴かせた。ソプラノ,メゾ・ソプラノ,バリトン,バス,テノールの代表的なアリアとか,合唱が入っている華やかな場面とか。
 実際に聴かせてみて,それ自体をオペラに興味を持つキッカケにしてもらいたいということのようだった。

● 高いところから,こういうふうに聴きなさい,こういうふうに観なさい,と教えを垂れるという話ではなかったわけですね。
 オペラファンを増やしたいという思いが伝わってきましたね。オペラは総合芸術だから,興味を持つ「とっかかり」も様々あるはずだ。どんなところから興味を持ってもいい。そして,実際に聴いてみてほしい。そういうことでした。

● 言葉の意味などわからなくても,声で観客のハートをつかむのがオペラの醍醐味だと,宮本さんは語った。彼は演じる側の一員でもあるから,その手応えを感じると,相当以上に嬉しいものなんでしょうね。
 実際,鑑賞の手引なんぞというものはあるはずもなくて,オペラは結局,歌を聴くもの。つまりはそういうことかと思われる。総合芸術とはいっても,音楽成分が圧倒的に多いわけだから。

● 受講者の中に若い人は少なかった。若い人の総体がどんどん小さくなっているのだから,音楽でも演劇でもカルチャーセンターでも,お客さんの平均年齢は高くなる一方だと思う。それが道理だ。仕方がない。
 それだけに,若い人の争奪戦がシビアになっていくわけだろう。

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