2014年4月21日月曜日

2014.04.20 フレッシュアーティスト ガラ・コンサート

栃木県総合文化センター サブホール

● 栃木県ジュニアピアノコンクールとコンセール・マロニエ21の前年度の優勝者を迎えて行われるコンサート。入場無料。開演は午後2時。

● まず,ジュニアピアノコンクールの大賞受賞者の須藤麻衣さん。演奏したのは次の2曲。
 ドビュッシー 「映像第1集」から「水の反映」
 シューマン アレグロ ロ短調

● 須藤さん,この4月に大学生になった。が,まだ少女のあどけなさを残す容貌。普段は普通にキャピキャピした女子大生なのだと思う。そういう女の子がステージに立つと,あたりを払うがごとき演奏をする。それ自体が心地いい。

● 次は,コンセール・マロニエ21のピアノ部門で第1位になった青木ゆりさん。昨年のコンセール・マロニエ21のファイナルはぼくも聴きにいってるんだけど,彼女の1位は審査員の全員一致によるものだったに違いない(と推測する)。
 コンセール・マロニエ21でも演奏した,ベートーヴェンの「6つのバガテル」を今回も。あと,ショパンの「スケルツォ第4番 ホ長調」。

● ベートーヴェンの頭に浮かんできたいくつかの断片。相互に関連はないはずだ。その短い断片がそれぞれに際立ってくる。
 すでに大人(たいじん)の風格。技術的にはとっくに究めていて,あとは芸風にどう色をつけていくか,どう磨いていくか,そういう段階に達しているように思われた。

● これが私のベートーヴェンで,これが私のショパンだ,っていう押しだしが素晴らしい。聴き手に四の五の言わせない。瞬時にトップギアに入れるモード変換の速さも魅力だ。
 圧倒される快感っていうのが,こうしたコンサートの醍醐味なのだろう。その醍醐味を存分に味わわせてもらった。

● 木管部門の第1位になったのはフルートの浅田結希さん(木管部門ではオーボエの山本楓さんが1位かなと思ったんだけど,見事に大はずれ)。
 演奏したのは,吉松隆「デジタルバード組曲」とフランツ・ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」。生で聴く機会はなかなかないと思われる曲だ。そういう意味でもこのコンサートはありがたい。ピアノ伴奏は安部可菜子さん。

● ていねいな演奏。よほどていねいに扱わないと言うことを聞いてくれない楽器なのかもしれない。が,ていねいに扱って,しかも奏者の腕がよければ,ふくよかな音を響かせてくれる。

● 15分間の休憩のあと,ゲスト演奏。ヴィオラの大島亮さんが登場。8年前のコンセール・マロニエ21の優勝者。
 シューマン「アダージョとアレグロ 変イ長調」とブラームス「ヴィオラ・ソナタ第1番 ヘ短調」を演奏した。もう名人芸というしかありませんね。聴き巧者ならもっといろんなことを言えるのかもしれないけれども,ぼくのボキャブラリーではこれが限界。

● ブラームスのこの曲はCDでも聴いたことがない。クラリネット・ソナタをブラームス自身がヴィオラ用に書き換えたというのは,知識として知ってはいたけれども,聴いたことはないっていう。
 こういうのを聴かないでいたのか,オレ,と思った。まったくお粗末な聴き手だ。こういうふうに蒙を啓いてもらえるのも,このコンサートの功徳のひとつだ。

● ところで。ピアノ伴奏は草冬香さん。コンセール・マロニエ21でもこの人のピアノ伴奏を聴いているはずだ。次はソロで聴きたい。たぶん,東京まで出張れば機会はあるんだろうけど,栃木では無理,でしょうね。

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