栃木県総合文化センター サブホール
● 開演は午後3時。チケットは4,000円(指定席)。当日券もあったようだけれども,バルコニー席は別として,満席状態。
ぼくの隣もひとりで来てた中年のおっさん。男ひとりは別に珍しくないけど(ぼくもそうですしね),今回はそれがけっこう目立った感じ。理由は推測不可能。あるいは,グループかカップルで来たのに,連続した席が取れなかっただけなのかもしれない。
● 庄司紗矢香とくれば,ネームバリューは圧倒的だ。ぼくも正直,どんな人なのかひと目見たいっていうミーハーな部分があったかな。
ま,ともあれ。ふたりの天才がにこやかに登場して,音合わせもなくいきなり演奏が始まった。曲目は次のとおり。
モーツァルト ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 変ロ長調 K.454
シューベルト ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲 イ長調
シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番 ニ長調
ブラームス ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番 ト長調
● こういうリサイタルに来ると,そのたび感じることがある。この演奏を自分に聴かせることは,馬に念仏を聞かせることと何が異なるのか,ということだ。
ピアニッシモもちゃんと聞こえてくるとか,重心の移動がきれいだとか,そういうことは感じる。けれども,それって彼女に限らない。たいてい,プロの奏者はみんなそうでしょ。
庄司紗矢香を庄司紗矢香たらしめているもの。結局,ぼくにはわからない。
● ピアノのメナヘム・プレスラー氏は90歳を過ぎている。庄司さんとは爺と孫娘ほど(あるいはそれ以上)の年齢差がある。そのプレスラー氏が可愛らしかった。巧まざる可愛さ。
威厳も実直も踏みこえて可愛らしさに至ったのか,もとからそういうキャラクターだったのか。
ピアノにしても,壮年期に比べれば確実に技術は落ちているはずだと思うんだけど,この年齢に至らなければ出せない音がきっとあるんだろうなと思わせるんですよね。どうなんだろ。これまた,ぼくにはわかるはずもないんだけど。
● アンコールは4曲。
ドビュッシー 亜麻色の髪の乙女
ショパン 夜想曲第20番
ブラームス 愛のワルツ
ショパン マズルカ(作品17-4)
● ショパンは当然ながらプレスラー氏のソロ。説得力がある。彼の年齢を知ったうえで聴いたからというわけではなかったと思う。
何だか,無性に長生きをしてみたくなった。その年齢にならないとわからない何ものかがあるに違いないと思わされたから。
0 件のコメント:
コメントを投稿