那須野が原ハーモニーホール 小ホール
● プログラムによれば,「昴21弦楽四重奏団」は2002年に桐朋の学生だった4人で結成された。三又治彦さん(ヴァイオリン),佐久間聡一さん(ヴァイオリン),御法川雄矢さん(ヴィオラ),玉川克さん(チェロ)。
日本を代表する中堅どころにさしかかっている人たち。
● 開演は午後3時。チケットは全席指定で2,000円。当日券があった。
玉川さんが,お花見に行かずに,このコンサートに来てくださってありがとうございます,と挨拶した。
しかし,だ。花見に行くようなノリでこのコンサートに来た人もけっこういたと思うぞ。観客(ぼくも含まれる)のテンションはあまり高いとはいえなかったように思うね。
● ともあれ,曲目は次のとおり。
ハイドン 弦楽四重奏曲第74番 ト短調
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲〈大フーガ〉変ロ長調
ボロディン 弦楽四重奏曲第2番 ニ長調
● 弦楽四重奏というと,玄人好みというか,ぼくには少々敷居が高い。以前ほどではないと思いたいんだけど,まだまだ身構えてしまうところがある。
CDでもネットに転がっている音源でも,交響曲や協奏曲だけで聴ききれないほどある。その間隙を縫って弦楽四重奏曲まで聴くとなると,言うは易く行うは難し。なかなか聴けないでいる。
● CDを聴かないから生演奏を味わえないなんてことはまったくないはずだけど,馴染みが薄いという気配が濃厚に(ぼくの場合は)ある。
せめてベートーヴェンの四重奏曲くらいは聴こうよというわけで,複数のCDを取り揃えてはみたものの,ひとつをひと通り聴いただけで,頭の中に霞がかかったような気分になった。
● そういう人間が〈大フーガ〉を聴くんだからね。正直,味わえるところまで行っていませんね。
この曲はベートーヴェンの作品中,最もヘンテコリンなものという紹介もあったんだけど,昔は否定一色だったでしょ。今は先駆的なものと評価されているようだけど。
ぼくにわかるわけはないよなぁと,妙に納得している。
● ただね,弦楽四重奏はアンサンブルの精妙さが命だろうとは思うわけですよね。そこを味わえればいいかなぁ,と。
で,そこのところはね,こちらから味わいに行かずとも,ステージから勝手に届いてくるわけでね。
● 〈大フーガ〉に比べると,ボロディンの方がずっと聴きやすい。とっつきやすい。こういうところから入っていけばいいかなぁと思った。背伸びしてベートーヴェンにとっかからなくてもいいかなぁ,と。
● アンコールはシューマンの「トロイメライ」ほか3曲。最後のアイネ・クライネ・ナハトムジーク変奏曲(?)は大変なサービス。この弦楽四重奏団の水準の高さが最もわかりやすく伝わってきた。
アンコールになると客席もグッとくだけてきた。いい意味でね。柔らかくなった。
自分に引き寄せて,これでいいんだよなと思いましたね。わかるとかわからないとか,堅苦しく構えるなよ,まずは楽しめる曲を聴こうよ,って思いましたよ。
● 演奏ぶりを見ながら,四人それぞれの性格を推測してみるのも楽しいものだね。たいてい外れるんだろうけどさ。別に個人的にお付き合いするわけじゃないから,こいつはこんな性格だなと勝手に決めつけるって,けっこう面白いもので。
● こちらにも家庭の事情や個人の事情がいろいろあって(たいしたもんじゃないんだけど),その「いろいろ」が雑念になって押し寄せてくる。
それを払いのけて聴くことに注意を集中させようとするんだけど,今日はそれがうまくいかなかった。せっかく演奏してくれてるのに,申しわけない。
そういうところを含めて,演奏を聴くという単純なことが十全にはできていない。修行が足りない。
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