2014年6月30日月曜日

2014.06.29 宇都宮音楽集団第22回吹奏楽演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 宇都宮音楽集団,名前は前から知っていた。のだけれども,他の演奏会と日程が重なっていたり,こちらの家庭の事情とかで,聴きに行くのは今回が初めて。
 開演は午後2時で,終演は4時40分。かなり盛り沢山な内容だったということ。
 が,退屈を感じることはなかった。曲目がバラエティに富む。客席を乗せるサービスが随所に盛りこまれる。観客参加の色彩が管弦楽よりも濃い。吹奏楽の特徴なんでしょうね。
 チケットは800円(当日券は1,000円)。は

● 退屈知らずだったもうひとつの理由は,司会を担当した新理恵子さんの存在。プロのアナウンサーだった人。押しすぎず,引きすぎず,出すぎず。ちょうどいいほどの良さ。
 たまに,司会が自己主張を始めちゃうのに出くわすことがあって,それってわりと興を冷ますもんな。

● まず,「ジュビランス-祝典のための序曲」(ベンジャミン・ヨー)。ファンファーレから始まる。演奏によって重厚にも軽快にもできそうな感じ。1曲目にもってくるのにピッタリなんでしょうね。
 「最果ての城のゼビア」(中西英介)と「斎太郎節の主題による変奏」(合田佳代子)。この2曲は吹奏楽コンクールの課題曲になっているらしい。「斎太郎節の主題による変奏」は,5月にマーキュリーバンドの演奏会でも聴いている。

● このあとはテレビや映画の主題歌など,バラエティ的な曲目。
 「雨のち晴レルヤ」「川の流れのように」「愛燦燦」「ふな ふな ふなっしー」「レット・イット・ゴー」の5曲。
 知っている曲だと能動的に聴けるっていいますかね。NHKの連ドラも映画「アナと雪の女王」も見たことがないっていう人も多いと思うけど(ぼくもその一人),番組や映画は見たことがなくても,どこかで聴いてるってことは,けっこうありそうだ。
 「川の流れのように」と「愛燦々」は名曲といっていいんでしょうねぇ。琴線に触れてくる。これ,外国に持っていっても,受け容れてもらえそうな気がする。っていうか,もうとっくに出てってるんだろうけどね。

● 休憩後の第2部。音楽物語「長靴をはいたねこ」。指揮者の鈴木太志さんも仰っていたけど,「長靴をはいたねこ」って,タイトルは聞いたことがあっても,ストーリーは知らない。こういう話だったのかと,今回,初めて知った。とんち(あるいは悪知恵)で,自分が属する階級をひっくり返すという話。
 17世紀に出版されていたんですね。話じたいはもっと前からあったのだろう。で,当時は痛切な風刺だったのかもしれない。けっ,貴族ったってこの程度のもんだよ,っていう。
 が,今となっては,寓話以上のものとして受けとめるのは難しい。

● だから,こういうものは作り方が大事。どう演出するかという。かといって,メインは吹奏楽であるわけだから,他の部分はパターン化されているだろう。語りと映像だ。
 となると,語りと映像の完成度が客席に何が届くかを決める。

● その語りを務めたのは新さん。司会と語りは別物。要求される声質も違うだろうし,抑揚や間のとり方もまるで違うはず。けれども,一方を極めていれば,応用が利くんでしょうねぇ。巧いものだと思った。場数を踏んでるのも大きいのか。
 スクリーンに映される静止画は団員が描いたことが紹介された。形成外科の女医さん。勤務医らしかったから,忙しくないはずがない。それでもって,吹奏楽団に属してホルンやサックスを吹き,こうして絵まで描いてしまう。才人というか,生きることに貪欲な人というか。いるんですなぁ,こういうマルチな人。

● お二人の功績もあって,スッキリと楽しむことができた。ひっかかるところがない。ストーリーが奇想天外で単純なのもいい。
 要は,口を開けたまま楽しめるっていうか。ステージの方からこちらに来てくれるんで,こっちは動かなくていいっていう気楽さだね。

● そのあとは,聴かせる曲が2つ。リードの「吹奏楽のための第三組曲(バレエの情景)」と片岡寛晶「鳥之石楠船神-吹奏楽と打楽器群のための神話」。
 最後に,「花は咲く」(菅野よう子)を演奏して終了。
 最もソロの出番が多かったと思えるフルートの一番。彼女のフルートが印象に残りましたかね。数ある楽器の中で,フルートの音色が一番好きなんだと思うんですけどね,ぼく自身が。

● 東日本大震災の義援金の受付も行われていた。寄付するというより,面白かった演奏のお礼の意味で,わずかな額を募金箱に投入。
 次回はクリスマス・コンサートになる。12月14日。栃響の「第九」と重なる。さてどっちに行こうか,ということになる。

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