2016年4月27日水曜日

2016.04.23 東京農業大学農友会管弦楽団 第105回定期演奏会

パルテノン多摩 大ホール

● 立川から多摩モノレールに乗った。多摩モノレールに乗るのは久しぶり。子どもが小さかった頃は,多摩動物公園に連れて行ったり,モノレールに乗るためにモノレールに乗って多摩センターまで往復したりしたものだったが。
 久しぶりに乗るモノレール,ずいぶん遅いなぁ。直角に近いカーブがあったりするから,そうそうスピードは出せないんだけど,ひょっとして“ゆりかもめ”より遅くない?

● 終点の多摩センターに到着。人工的に街が作られてからずいぶん年月が経つと思うんだけど,街としてのしっくり感はなかなか出てこない。同じことは筑波学園都市に行っても感じる。
 開放的なんだけど,妙に軽い。スーパーもデパートも銀行も食事処も揃っている。ホテルもある。これから行くんだけれど,立派な音楽ホールもある。生活に必要なものはすべてある。文化施設もある。
 それらが狭いエリアにギュッと圧縮されて存在する。このエリアに籠もったまま生きていける。なんだけど,それはしたくないと思わせる何かがある。

● さて,東京農業大学農友会管弦楽団の演奏会。初めて聴く。
 開演は午後2時。入場料は600円。当日券を購入。指揮は内藤佳有さん。曲目は次のとおり。
 シベリウス 交響詩「フィンランディア」
 シベリウス カレリア組曲
 ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調

● 内藤さんの指揮を見るのは,たぶん,これが二度目だと思う。この大学にはOBOG管弦楽団もあって,2012年7月に行われたその演奏会でも内藤さんが指揮をしていた。
 ひじょうにユニークというか力強い経歴の持ち主。それについては,彼の出身高校である筑波大学附属駒場中学校・高校の同窓会(若葉会)に載っている記事が詳しくて面白い。

● ベートーヴェンの5番。「暗から明へ」と言われる。あるいは,苦悩を通して歓喜に到る,と。
 こう言われると,この曲に対してはそれ以外の聴き方ができなくなる。第4楽章の弾けるような,何か吹っ切れたような,あの始まり方は歓喜に到った瞬間か。
 が,第1楽章も第2楽章も「暗」かと言われれば,どうもそうでもない。

● 第4楽章まで出番のない,トロンボーン陣は第3楽章の途中で入場。
 弦-木管-金管-打楽器という順ではなく,弦が中央に陣取り(最後列にコントラバス),両翼に管を配するという陣容だったので,途中からの入場でも動線は短く抑えられていた。

● その5番,重厚でダイナミックな曲であるわけだけれども,その重厚さやダイナミックな動きが充分に表現されていて,第1楽章の出だしから終曲まで一気呵成に駆け抜けたという感じ。
 この曲は,何といっても第1楽章の出だしで印象が決まってしまう。その初発がピタッと決まった。ここが決まれば,聴く側に期待を持たせる。その期待を裏切らず,歓喜のうちに終演。何本かのブラボーが飛んだ。

● アンコールは「カレリア」序曲。
 地味ながら真面目な楽団で,大学オケの中で一定の位置を占めているのだろう。こういうオケが東京にはたくさんありますなぁ。
 ぼくは地元(栃木)に沈潜して,栃木県内で開催される管弦楽や室内楽などをできるだけ小まめに追っていきたいと思っているのだけども,案に相違して,だんだん東京にでかける頻度が高まっている。

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