瀧澤家住宅 鐵竹堂(さくら市櫻野)
● タイトルからはどんなコンサートなのか推測できない。“さくら市「生涯学習推進月間」オープニングセレモニー”という副題が付いている。さくら市主催の催しものだ。
教育長なんかのあいさつがあって,瀧澤家住宅がいかに価値の高い建築物かの説明があって,そのあとに,さくら市出身の海老澤栄美さんのクラリネットコンサートがある。
● 開会は18時30分。入場無料。少し遅れたので,あいさつは終わっていた。瀧澤家住宅についての説明から聞くことになった。もう少し遅れてもよかったかも。
瀧澤家住宅の鐵竹堂に入るのは,これが2回目になる。氏家には「氏家雛めぐり」という行事があって,その会場のひとつに鐵竹堂がなっていた。今年の2月に行っている。要するに,お大尽様の邸宅だ。
● さて,海老澤栄美さん。彼女のクラリネットを聴くのは,じつは初めてではない。宇都宮クラリネットアンサンブルの演奏会を二度聴いているので。その主宰者が海老澤さんではなかったか。
今回は,ステージも客席もない。同じ部屋でやっているわけだから,奏者との距離が近い。近いところから見ると,ホールから見る印象とはだいぶ違ってくるものだね。
● どんなふうに違うかといえば,ホールのステージに立っているところを見ると,どんな人だってある種の貫禄をまとっている。そういうふうに見える。気圧されるところがある。ステージと客席の構造の然らしめるところかもしれない。
けれども,これだけの距離で眺めると,そういう妙なものが立ち現れてくることがない。等身大というか,栃木で育った人だなというところまで伝わってくる。
● 演奏した曲目は次のとおり。
ホールニューワールド
ちいさい秋見つけた 夕焼け小焼け 花(喜納昌吉)
クラリネットポルカ トロイメライ(シューマン)
青春の輝き(カーペンターズ)
リベルタンゴ(ピアソラ)
秋桜(さだまさし)
タイム・トゥ・セイ・グッバイ
● 鐵竹堂は典型的な日本家屋。木と紙でできた家だ(その木がとんでもなく素晴らしいわけだが)。壁や天井に行った音はすべて通過するか吸収されて,跳ね返ってくることはない。
したがって,届いてくるのは直接音だけになる。これだけ奏者が近いとそれで充分。
● クラリネットも歌うんだってことをあらためて知った。日本の歌曲を聴くと,特にそう思う。「ちいさい秋見つけた」なんか,ほんとに歌っているなって感じなんですよね。
● 「秋桜」も山口百恵が現れたのかと思った。
今の年齢の山口百恵に会いたいとは正直思わないけれども,「秋桜」を歌っていた頃の山口百恵は,何ていうんだろうな,有無を言わさない存在感を漂わせていましたよね。歌は上手いとはいえないし,演技も同様。けれども,それでいて辺りを払うような圧倒的な存在感があった。もちろん,こちらはテレビと映画(「伊豆の踊子」と「潮騒」は見たよ)でしか見たことがないわけだけれども。
その山口百恵,こんなふうに歌っていたなと思いだしましたよ。
● 「リベルタンゴ」は不思議な曲だ。ぼくは日本の演歌を連想する。演歌とは似ても似つかないんだけど,辛い渡世だねぇと語っているようなところが共通しているっていうか。
「リベルタンゴ」が辛い渡世にため息をもらしているわけではないんだけど,ぼくはそういう聴き方をしてしまっている。なので,二度三度と繰り返して聴くのは苦しかったりする。
ピアノ伴奏は渡部沙織さん。リベルタンゴはどちらかといえば,伴奏の方が重要かもしれない。
● アンコールは「情熱大陸」。これも伴奏が重要。アンコールでこれが聴けたのは嬉しかったです。気持ちが高揚する曲だものね。
以上,1時間足らずのミニコンサートだった。
● 海老澤さん,小学4年生で吹奏楽を始めた。
フルートをやりたかった。で,希望どおりフルートになったんだけれども,1年後にクラリネットが足りないからと言われて、いやいやながらクラリネットに移った。ところが,これが大正解。自分に合っていた。もし,フルートのままだったら,途中でやめていたろう。
というような話をされた。よくある話だと思う。予め自分が立てた目標や計画に縛られない方がいいという教訓だ。
● お客さんはお婆ちゃんとお爺ちゃん,小学生,中学生が多かった。その間があまりいない。
つまり,その間の人たちは,この時間帯に家を空けることは難しいのかもしれないね。
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