杉並公会堂 大ホール
● 急遽,東京に出ることになった。相方の提唱によるものだ。
東京ならどこかで演奏会をやっているはずだ。その中からひとつ選んで聴きに行こう。せっかく東京に行くんだったら。
● で,「フロイデ」をチェック。ザッツ管弦楽団の演奏会に行くことにした。マーラーの6番をやる。指揮者は田部井剛さんだ。ザッツ管弦楽団の演奏を聴いたことはないけれども,これならまずハズレにはならないだろう。
開演は午後2時。今から出ても間に合う。よし,これにしよう。
● というわけで,新宿から中央線に乗り換えて荻窪で降りた。杉並公会堂へ。
ところが。会場はすみだトリフォニーホールなのだった。なぜかしら,杉並公会堂だと思いこんでしまったのだな。
もちろん,今から引き返していては間に合わない。
● しかも,杉並公会堂でも同じ午後2時から演奏会が入っていた。それが都立西高OB吹奏楽団の演奏会。うぅぅむ,マーラーのつもりが吹奏楽か。
吹奏楽,もちろん嫌いじゃない。けれども,マーラーから吹奏楽だ。この切替えは容易じゃない。
その原因を作ったのが外部にあるのであれば,そこに当たれば気が紛れる。が,原因のすべては自分の早とちりだ。
● ともかく入場。入場無料。
第一部は“アメリカ大陸をめぐる旅”と称して,次の5曲。
シェルドン メトロプレックス
シュバルツ 「ウィキッド」セレクション
作曲者不詳 アメイジング・グレース
ホゼイ ターコイズ・ディドリームズ
ナバーロ 交響詩「リベルタドーレス」
● 司会者(というか案内者)が熱演。が,ぼくたちは本当に自由なんだろうか,真の幸せって何だろう,と投げかけられても,ちょっと困るんだな。言葉遊びに類することを問われても,鼻白む以外の対応は難しい。
問うているわけではないんだけどさ。純粋キャラを演じているだけなんだろうけど。
● このOB吹奏楽団,卒業したばかりの10代の若者から60歳を過ぎた人までいる。でも,メインは若い人たちだ。だから純粋キャラも出てくるのだろうし,それが許されるのでもある。
それでいいのだと思う。いつまでもOBやOGでいてはいけないものだろう。OBやOGもいずれは卒業しなければならないものだと思う。
● 第2部は,“日本人が作曲・編曲した曲”を集めた。次の5曲。
宮川 泰ほか ジャパニーズ・グラフィティⅫ「松本零士メドレー」
郷間幹男編 ゲッタウェイ
真島俊夫 夢-岩井直溥先生の思い出に
山内雅弘 架空の伝説のための前奏曲
すぎやまこういち 交響組曲ドラゴンクエストより
● 吹奏楽の演奏会に乳幼児を連れてくる人がいるんだよね。しかも,そういうヤツって前に座るから,目立つんだ。
何を考えてそんなことをするのかと思うんだけど(基本的には何も考えていないから,そういうことをするのだ),たぶん,この演奏会は同窓会的機能も若干は果たしていて,同窓生に会うために来たよ,っていうことなのだろうと推測する。やっと子どもも生まれたんだよ,とお披露目するとかね。
● が,子どもにとって,これは拷問だろうよ。こんな音圧に耐えられるはずがない。当然,激しく泣いて抵抗する。
乳幼児の泣き声は,“聴く”を妨げる要因としては第1位の栄誉に輝くものだ。だから,その子を抱いて会場を出て行く。のだが,泣きやむと戻ってきてしまうのだな。それを繰り返す。
何度,わが子を拷問にかければ気がすむのだ。際だった馬鹿とは,こういう親を指すためにある言葉だろう。
● 待て待て。間違って来たうえに,ここまで言いたい放題かよ。と,お叱りを被りそうだ。演奏それ自体についても語っておかねば。
吹奏楽と管弦楽はまったくの別物だ。何が違うかといえば,吹奏楽はノリがいい。客席を乗せて,そのノリをフィードバックしてもらって,自分たちもさらに乗っていこうとする。そういう趣がある。
イメージとしては自由奔放だ。といって,演奏する側が本当に自由奔放にやったんじゃ,アンサンブルにならない。だから,指揮者もいる。
● この楽団は,基本的に行儀がいい。アンサンブルをきっちりやっていこうとしており,それに成功しているように思えた。
もともと腕に覚えのある人が残っているのかもしれないね。どのパートがどうということでもなく,いずれのパートも高値安定というか。
逆に,客席を乗せようとアピールするときには,その真面目さがやや邪魔をすることがあるかもしれないとも思えた。
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