● 消費市場の理屈がコンサートやリサイタルにも混入しがちだ。演奏する側が,聴衆をお客様として持ちあげすぎるきらいがあるように思う。
演奏する側=供給者,生産者,販売者。聴く側=需要者,消費者,お客様。となれば,売る側より買う側が優位に立ちやすい。
● 音楽が成立するためには3つの条件が揃わなければならないとされる。第1に聴衆の存在,第2に大ホールの存在,第3に高度な印刷技術(楽譜の印刷)。
この3つの中で最も重要なものは聴衆だろう。聴いてくれる人がいなければ,どうにもならない。
● しかも,もう総人口は減り始めている。ホールへ足を運べなくなる高齢者が毎年出る。それを埋めるだけの新規参入者が若年層から供給されるとは,少し以上に想像しにくい。
それでなくても,日本はクラシック音楽が隆盛な国だ(と思う)。現にホールに足を運んでいる聴衆の後ろに聴衆予備軍が部厚く控えているとは思えない。聴衆予備軍のほとんどはすでに聴衆として開発されている。
● 反対に,演奏者は年々増えているように思われる。音大卒は毎年積みあがる。長生きするようになったおかげで,上はどんどん詰まってくる。
演奏したい人は増え,聴きたい人は減るとなれば,どうしたって聴衆はお客様として持ちあげられることになる。奏者に対して優位に立つ。表面上は。
● 優位に立つ(と錯覚する)とスキが生じる。脳天気なことを言って恥じぬようになる。心しないといけない。
基本,演奏する側は玄人,聴く側は素人,ではないか。まぁ,聴く側にごく少数の例外はいるのだろうけど。
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