宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール
● Nonette Pipers Ensembleは,地元で活動している木管アンサンブルの団体。ぼくがこの団体の演奏を聴くのは,これが3回目。29回と30回を聴いている。
つまり,昨年は聴いていない。たぶん,他の演奏会と日程が重なってしまったのだろう。
● 失礼なことを申しあげるようだけれど,今日,南図書館に行ったのは別に用事があったからだ。したらば。ホールの入口に人が集まっているので,何事ならんと思ったところ,この演奏会だったんでした。
で,500円で当日券を買って入場。開演は午後2時。
● 失礼ついでにもうひとつ。この日はサントリーホールで京都大学交響楽団の東京公演もあったんですよ。曲目はマーラーの2番。これは聴いておきたいと思って,「チケットぴあ」でチケットを購入していたんだけど,日常におけるフットワークの悪さが災いして,コンビニにチケットを受取に行ったときには,すでに引換期間が過ぎていた。アッチャッチャッチャ。
再度,「チケットぴあ」を見たときには,ソールドアウト。というような事情もあった。
● 曲目は次のとおり。
カンビーニ 木管五重奏曲第3番 ヘ長調
ドビュッシー 小組曲 ヘ長調
シューベルト(スピラ編曲) 幻想曲 ヘ短調
ラフ 十人の奏者のための小交響曲 ヘ長調
● ところで,このNonette Pipers Ensemble。メンバーは好きで長くやっていますという感じではない。
若い頃に集中してそれだけをやっていた時期を持っている人が多いのじゃないか。つまり,音大を出ている人たちの集まりのように思える。あるいは,音大ではなくても学業はそっちのけで音楽に没頭していたとか。
● 木管の調べの特徴をごくザックリと大括りに言ってしまえば,柔らかさ。その心地よい柔らかさを満喫できる。
柔らかさだけではない。木管の集合によって生まれるダイナミズムや,綾の重なりによる,木管の表現力の多様さも知ることができる。
● しかし,弦楽四重奏がそうであるように,木管アンサンブルも聴き手にかなりの鑑賞能力を要求するようだ。管弦楽を聴いている方が,聴き手としては楽だろう。
正確にいうと,ヘボな聴き手は管弦楽の方が楽だろう。ぼくもかなりヘボなので,こういう演奏会とオーケストラの演奏会が同じ日にあったら,オーケストラの方に行ってしまいそうな気がする。
● ドビュッシー「小組曲」とシューベルト「幻想曲」の印象が強かった。どちらも何度か生で聴いていると思う。が,木管のみの演奏で聴くのは初めてだ(「幻想曲」にはピアノも入った)。
プログラムノートの曲目解説には,「この曲は,シューベルトが音楽教師として貴族に雇われたとき,その娘に恋をし,「かなわぬ恋」の思いを曲に託したと言われています」とある。
その貴族とは,ハンガリーのエステルハージ伯爵であり,娘とはカロリーネ嬢(当時18歳)。美人だったのだろう。実際,Wikipediaには「1828年の発表時にカロリーネに献呈している」とある。
● しかし,献呈しているからといって,彼女に恋をしていたのかどうかはわからない。そうだということになったのは,映画「未完成交響曲~シューベルトの恋」の影響だろう。映画に描かれているところを真実だと思ってしまった人たちが多かったゆえ(中川右介さんの受け売りなんですが)。
けれど,「かなわぬ恋」を曲に託したと受けとめた方が腑に落ちるのであれば,そのように受けとめた方がいいんでしょうね。
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