2018年10月12日金曜日

2018.10.08 シュトゥットガルト室内管弦楽団 meets ワルター・アウアー

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は午後2時。席はS,A,Bの3種で,それぞれ3,500円,2,500円,1,500円。なぜこんなことを書いているかというと・・・・・・。
 このコンサートが宇都宮でしか開催されないなんてことはない。全国各地で演奏旅行を行っている。で,ヨソでは5,000円のところが多いんですよね。岡山が安めだけど,それでも4,000円。宇都宮だけなんでこんなに安いの,と思ったわけなんでした。

● ちなみに,ぼくはB席のチケットをだいぶ前に買っておいたんだけど,1階15列9番という,なんでこれがBなの,という席なんでした。年末の「第九」なんかだと,この席は間違いなくSになると思う。
 ヨソの県の人が5,000円払って聴いた演奏を,ぼくは1,500円で聴いたよ,ってことなんですけどね。ありがたいには違いないんだけど,腑に落ちない感じが残ったよ,と。

● 曲目は次のとおり。
 モーツァル アイネ・クライネ・ナハトムジーク
 プロコフィエフ フルート・ソナタ ニ長調
 バーバー 弦楽のためのアダージョ
 チャイコフスキー 弦楽セレナード ハ長調

● 演奏する曲目を選ぶとき,何を重視するんだろう。自分たちが演奏したい曲を選ぶっていうのは,アマチュアじゃないんだから,あまり優先順位は高くないと思う。どんな曲でもお望みのものをご披露しますよってことだろうからね。
 集客を考えて,誰でも知っている有名な曲を入れるっていうのはあるかもしれない。加えて,これ知ってた? 知らなかったでしょ,でもいい曲なんだよ,勉強になったでしょ,憶えて帰ってね,っていうのを入れておく。
 その場合,聴衆のアベレージはこの程度っていう値踏みがあるはずだよね。

● 初っ端はモーツァルト。正直,ぼくの鑑賞能力を超える。これほどアグレッシブな「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を聴いたのは初めてだったというにとどまる。
 これが世界標準なのか。そんなことはないだろう。CDはイ・ムジチ合奏団のものを聴いているんだけど,ここまで大きく前のめりにはなっていないように感じる。

● この感想は,しかし,視覚に幻惑された結果かもしれない。コンミスが大きく動くので。ずっと彼女を見ていたからなぁ。
 終始,演奏をリードしていた。ここに来るまでに何度もリハーサルを重ねているんだろうけど,他の奏者もピッタリ合わせていた。

● チームワークで勝負すると日本人は強いと言われる。が,こういう演奏を間近にすると,それって本当なのかと思えてくる。
 赤の他人が集まって,一緒に何かをするというときに,その場を作ることにかけては彼らの方が上手いんじゃなかろうか。場ができなくても何とかしてしまえるのは日本のお家芸かもしれないけれども,きっちりと場を作って,そこに構造物を拵えるということになると,ぼくらは彼らに負けるかもしれない。

● ワルター・アウアーを迎えての曲は,プロコフィエフ「フルート・ソナタ」。世界最高峰のフルートはこういうものか。これまた,ぼくの判別能力の限界を超えているんだけどね。
 闊達自在というのはわかる。けれども,具体的にどこがどうということになると,皆目。
 アウアーのアンコールは,グルック「精霊の踊り」。

● バーバー「弦楽のためのアダージョ」が,“知らなかったでしょ,でもいい曲なんだよ”と言われた曲。初めて「ボレロ」を聴いたときに感じた驚愕と同じとは言わないけれど,気持ちの良い驚きがあった。
 “静か”は遠くまで届くことがある。そんなことを思わせる。
 ところで,この曲のCDをぼくは持っていたんでした。アラララ,早速ウォークマンに入れよう。

● 〆はチャイコフスキー「弦楽セレナード」。盛りあげて終わる。そこはチャイコフスキーだもんなぁ。
 アンコールはモーツァルト「カッサシオン」から“アンダンテ”と芥川也寸志の「弦楽のための三楽章 トリプティーク」より第3楽章。
 室内管弦楽団とは言いながら,今回は弦のみの合奏だった。管も聴きたかったと言いたいのではない。充分に堪能できた。
 で,前に戻るんだけど,これで1,500円ってありなのか。

● シュトゥットガルトなんぞという横文字の楽団が来ると,普段は音楽なんか聴かない人がやってくる。で,楽章間で逡巡のない拍手が起こってしまう。
 それに対して,奏者側は寛大なように見受けられた。折込み済みということか。が,あまり気分の良いものではないんだよってのは,時々,態度で示していた。

● ところがね,彼らはいいお客さんなんだよね。つまり,ホワイエで販売しているCDやグッズを買ってくれるのは,主に彼らだから。めったに来ないんだから,記念になる。だから記念グッズを買う。
 一方で,擦れちゃってるやつらは,CDショップさながらのCDをすでに保有しているだろうし,保存する場所がないのに買ってどーすんだよ,と配偶者に白い目で見られるだろう。だから,意外に買わないんじゃないかと思うんだけど,このあたり,どうなんだろ。

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