高根沢町民ホール
● 4年前に一度聴いている。この時期は県内でもコンサートが増える時期で,だいたい複数が重なることが多い。3年間の空白ができたのもそれが理由だ。
今回も直前まで別なところに行く予定にしていた。昨日,駅に貼ってあったポスターを見て,この演奏会があることを知り,急遽,予定を変更して高根沢町民ホールにやってきた。
● 阿久津中学校は県内でも吹奏楽部の水準が高い。もちろん,阿久津中学校以外にもそうした中学校はいくつもあるけれども,東関東に進めるんだから,相当なものだ。
中学生をなめてはいけないことは,もう何度か実地の演奏で教えられている。彼ら彼女らの可塑性,吸収の速さに対して,中高年は畏れを抱いていなければならないというのが,ぼくの変わらぬ信念だ。
咄嗟のときに素早く判断して的確に対応することも,彼ら中学生は大人と遜色ないか,あるいはそれ以上だと思っている。
● 開演は午後1時半。入場無料。
プログラムは3部構成。曲目は次のとおり。1部はコンクール・ステージ,2部はアンサンブル・ステージ,3部は客席サービス・ステージ。
一ノ瀬季生 マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ
片岡寛晶 海峡の護り-吹奏楽のために
クロード=ミシェル・シェーンベルク ミス・サイゴン
ヤン・ヴァン・デル・ロースト アルセナール
片岡寛晶 クラリネット五重奏「波影」
田村修平 金管八重奏「楽市楽座-さくらの抄」
山澤洋之 打楽器四重奏「花回廊/風龍」
和泉宏隆 オーメンズ・オブ・ラブ
ロバート&リチャード・シャーマン 小さな世界
小諸鉄矢 ムーンライト伝説
田中公平 ウィーアー!
水森英夫 きよしのズンドコ節
和泉宏隆 宝島
● わかりやすく巧さが伝わってくるのはパーカッション。もちろんのこと,パーカッションに限らず,木管金管とも相当なもの。高根沢町の無形文化財に指定してもいいくらいのものだと思われた。
2部のアンサンブルはいずれも聴かせるものだったけれども,ぼくは打楽器四重奏「花回廊/風龍」に唸ることになった。
● 3部では「ムーンライト伝説」には大いに笑わせてもらったし,「宝島」はいやがおうにも盛りあがった。
ないものねだりをさせてもらえるならば,ジャズを組み込んでもらえるとさらにありがたかったかなと思う。ジャズってどうもぼくにはピンと来なくて,隔靴掻痒の域に長らく住まっている。たぶん,ピンと来ないままに終わるのだと思ってはいるんだけれども,こういう中学生の演奏を聴いて勉強したい。
● この水準をもってしても,東関東では銅賞になってしまう。峻険だねぇ,東関東。その代わり,東関東を抜けられれば,自動的に全国でも上位に食い込むことができそうではある。
千葉県が凄すぎるんだよね。千葉は県大会のあとダイレクトで全国大会でいいような気がするわなぁ。東関東は千葉県抜きで開催しようよ。
千葉には何かあるんだろうか。とんでもない指導者が続いたとか。小学校から吹奏楽に力を入れているとか。過ぎたるは及ばざるがごとしということもあるから,必ずしも千葉をロールモデルにしなくてもいいとは思うんだけどね。
● 千葉,千葉と言ってしまったけれど,おそらく東関東を突破して全国に行った中学校と阿久津中の違いは微差なんだと思う。おそらく,だけど。
その微差が大差なのだという,黴が生えたような言い方はしたくない。が,その微差を埋めるにはどうすればいい?
● ぼくに処方箋があるわけではないけれども,東関東に行ければいいと思っているのなら,それを捨て去らなければいけない。そう思っているんだったら,東関東で終わる。目的を達したのだから,その先がある道理はない。
もっと先に目線を向ける。遠くを見る。そのうえで,楽しくない練習,楽しいはずがない練習をどこまで楽しんでやれるかという,そこのところにかかってくるのだろう。
● そこをどう工夫できるか。ゲームにするという言い方もしばしば耳にする。そういう卑近なあるいは些細な工夫を積みあげて継続できるか。そのあたりなんだろうかなぁと思っているんだけどね。
その工夫は個人単位でやらなければいけない。部としての練習方法をどうするという問題ではない。あくまで自分による工夫でなければ効果がない。
アンサンブルって,ひっきょう,個人プレーだもんね。つまるところは,個人の技量にかかってくるわけだから。
● じゃあおまえがやって見せろよと言われると,とても窮するんだけどさ。言うだけなら誰でも言える。実行するのはそういうわけにいかない。
でもさ,差っていうのは,下から見上げると,実際より大きく見えるものだからね。阿久津中の部員が思っているほど,千葉のトップクラスと阿久津中の差はないんだと思うよ。
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