かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
● 所用で東京に出る機会があった。どうせなら県内ではやっていないコンサートを聴きたい。
で,ネットであれこれ探したんだけど,平日ゆえ,アマオケの演奏会は皆無(土日祝日に集中しますね)。が,NHK交響楽団の演奏会があるのを見つけた。「かつしかシンフォニーヒルズ」で18時半から。場所は上野から京成で行けるところ。時間もちょうどいい。これを聴いて帰ることにした。
チケットはネットで予約できる。B席で5千円。こづかいが週7千円のぼくにすれば,けっこうな負担。これまでコンサートに投じた額の最高値は4千円だから,今回,記録を更新した。でも,これで快に満ちた2時間を過ごせるなら,5千円は許容範囲だ。外で酒を呑むのに比べれば安いものだ。呑みに行くことじたいが今ではめっきり少なくなっているわけだが。
● ぼくの席は2階バルコニー席。ステージに近くてちょうど上から見下ろす感じ。普通だとステージの手前に陣どる弦楽器の奏者がどうしても視界の大半を占めることになるのだが,今回は管も含めて奏者全員が同じ大きさで眼に入ってくる。N響の演奏会はこれが二度目になるが,前回の総文センターではステージのはるか遠くの席だった。それに比べるとずっといい席。ただし,転落防止の鉄柵が視界に入ってきて,眺望を妨げる。
● 席の埋まり具合は9割以上。ぼくの左隣は女性30歳くらいの女性。眼鏡にマスクといういでたち。左はアラフォーとおぼしきやはり女の人。
彼女は満足そうにステージを見やっていた。休憩時間にソリストのCDを買ったらしい。音楽が好きで,それなりに資金も投下しているのだろう。ぼくのように図書館から借りてすませるのではないらしい。あまり露骨に眺めるわけにはいかないが,良かったですねと声をかけてあげたくなる。楽しんでいる様子が伝わってきて,こちらまで嬉しくなってきた。
● アマオケに比べると,出演者に女性が少ない。ヴァイオリンも男性の方が多い。年配者もいるにはいるが,若い人が多い。団員の入れ替えがけっこうあるのだろうね。
指揮者は山下一史氏。
● 曲目は,ロッシーニ「歌劇ウィリアム・テル序曲」,ショパン「ピアノ協奏曲第1番」,ドヴォルザーク「交響曲第9番」。
「ウィリアム・テル序曲」でN響の実力を見せてくれた。息をつめてステージを見つめながら,音に耳をすます。平日の夜だというのにこんなに多くの人が会場に足を運んでくる。心地よい緊張感。ちょっと背筋が伸びるような雰囲気。これだ。この空気を吸いたくて,ライブに来るのだ。感謝をこめて拍手。
● しかし,その後は平板な印象に変わっていった。ショパン「ピアノ協奏曲第1番」のソリストは横山幸雄さん。N響をバックにソリストを務めるのだから,国内有数のピアニストに違いない。実際,彼の指の動きがぼくの席からよく見えるのだが,ぼくの目には魔法にしか見えない。
でも。ショパンの良さがぼくには理解できていないのだろう。作曲作法や音楽理論はまったく知らないし,演奏経験も皆無だ。音楽は感じるものだと居直っているんだけど,この演奏から感じるものはあまりなかった。こちらのアンテナの感度が鈍いのである。
● ドヴォルザークの9番をライブで聴くのは,これも二度目。昨年7月に宇大管弦楽団の演奏で聴いている。宇大管弦楽団の演奏には経験不足ゆえのたどたどしさがあったと思う。今聴いている演奏にそれはない。熟練の技だ。だからといって手を抜いているわけじゃない。懸命に弾いているその様は,そのままぼくの網膜に映りこんでくる。ぼくが今聴いているドヴォルザークは,国内で望みうる最高の演奏なのだと自分に言い聞かせてみる。
しかし,心がほてってこないですな。何なんだろう。体調が充分じゃなかったのか。
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