栃木県総合文化センター サブホール
● 宇都宮市在住の若いピアニストの初リサイタルを聴きに行った。開演は午後7時。チケットは千円。当日券を購入。
● プログラムに載っていたプロフィールによると,西尾さん,生まれは大阪。宇都宮短大附属高校音楽科から桐朋学園大学のピアノ科を卒業し,その年の9月にモスクワ音楽院に留学。その音楽院をこのほど修了。プログラムにも「モスクワ音楽院卒業記念」と副題が添えてある。
● バルコニー席?を除いても,お客さんの入りは3割といったところ。まだ無名の新進ピアニストがお客を集めるのは難しい。おそらく高校の同窓生が動いてくれたのだろう。
そもそもがリサイタルで客席をいっぱいにできる人ってそうそうはいないはずで,むしろよくこれだけ集めたなって気もする。
● 金曜日の夜だ。コンサートよりは居酒屋に行きたいよなぁ。ぼくも若かったら絶対そうしていた。
隣のメインホールでは松竹歌舞伎をやってて,しかも演目は「義経千本桜」で,尾上菊五郎が出ている。音楽と歌舞伎のファン層はそうは重ならないんだろうけど,地元じゃなかなか観られないからと,こちらに流れた音楽ファンも,ま,いたでしょう。
● 演奏曲目は次のとおり。
バッハ トッカータ ホ短調
ハイドン ピアノソナタ ロ短調
ショパン 夜想曲(作品62-2) ホ長調
舟歌 嬰ヘ短調
リスト ハンガリー狂詩曲12番 嬰ハ短調
チャイコフスキー ドゥムカ ハ短調
スクリャービン ピアノソナタ3番 嬰ヘ短調
アンコールは2曲。最後はチャイコフスキーの「瞑想曲」で締めて,20分の休憩を含めて1時間50分のコンサートになった。
● 腕前はぼくがどうこういえるレベルじゃないわけで。
彼女が演奏し始めてまもなく,ステージにいる彼女以外はぼくの視界から消えた。それだけの吸引力をたしかに彼女は持っていた。小さいホールだったことや,隣の席に誰もいなかったことも要因ではあるだろうけれど。
後半にロシアの作曲家の作品を持ってきたのは,留学先のロシアに敬意を表してのことか。弾いている彼女がロシア娘に見えてきたのが不思議。
でも,彼女自身は本当はショパンが一番好きなんじゃないのかなぁ。弾きぶりから感じたたわいもない印象ですけどね。
● 西尾さん,あどけなさを残した顔立ち(童顔なんですな)。就職試験の面接に来たのではないかと思えるような固さがあったのが,残念といえば残念。お辞儀ひとつをとってもちょっと固い。
ステージに立つ以上はショーマンなのだから,もっと笑顔を多くしてもよかった。初リサイタルで緊張していたって? そうではない。この水準まで来ている以上,その過程で場数は踏んでいるはずなのだ。
実際,最後の挨拶は和やかにできたのだから,途中の入退場でも同じようにすればいいだけだ。
● プログラムに載っている写真は素人が撮ったものですよね。早い時期にプロのカメラマンに撮ってもらった方がいい。だいぶ損をしている。
あなたはこの写真の人よりはるかに美しいのだから。
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