約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2012年7月22日日曜日
2012.07.22 野木交響楽団第2回定期演奏会
野木町文化会館(エニスホール)大ホール
● 野木町に本拠を置く市民オケがあることを知ったのは,つい最近のこと。隣の古河市に古河フィルハーモニー管弦楽団というしっかりしたオケがあるので,まさか野木町にもあるとは思わなかった。
ので,去年の第1回目の定演は見過ごすことになった。市民オケがたくさんできれば,聴きに行ける機会が増えるわけだから,こちらとしては大歓迎なんだけどね。
● 会場は当然のエニスホール。開演は午後1時半。入場無料。曲目は次の3曲。
ヨハン・シュトラウス 喜歌劇「こうもり」序曲
ビゼー 組曲「アルルの女」
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
客席が盛りあがる曲を揃えてきた。プログラムにも「できるだけ親しみやすい曲を取りあげ,演奏会を行っています」とあった。
まずは集客ってことでしょうか。ホールの収容人員は800人。その6割は埋まっていたから,まずまず効果はあったといっていいんでしょうかね。
● この楽団,定期演奏会は昨年からだけれど,結成して5年になるそうだ。指揮者は西谷和巳氏。本業?はサクソフォン奏者であるらしい。
弦の過半が男性。珍しいですよね。団員の年齢にも幅があって,お年を召した方も何人かいる。これも好印象。懸命に弓を操っている。ほほえましい,というより,頭が下がる。
古河フィルとかけ持ちしている人がけっこういるんだろうなと思いきや,そうでもないんですね。
● 「こうもり」序曲で納得。定演を開催する資格ありっていうかね。上から目線的な言い方で申しわけないけれど。
「アルルの女」は第1組曲のみならず,第2組曲も演奏。西谷氏がサクソフォンを抱えて奏者の列に加わり,指揮は副指揮者の田村仁一氏が担当した。
第2組曲の第3曲と第4曲はフルートが支えていると思うんだけど,そのフルートが抜群の安定感。お見事というしかない。それと太鼓ね。パーカッションのレベルもかなりのものと見受けられた。
「運命」ではスタートでやや乱れがあったか。半休止符から始まるのを意識しすぎたきらいがあるのかも。ここでもフルートの安定感が際だっていた感じ。
● アンコールは組曲「カルメン」第1番の第1曲だったかな。もうひとつ,坂本九が歌っていた「上を向いて歩こう」。観客サービスに抜かりはなかったってことですね。
アンコールではトランペットが健闘。
● 音楽(演奏)が好きな人たちが集まって楽団を作り,お客さんを呼んで演奏する。好きだからといっても,楽しいことばかりじゃなくて,いろんな思いを味わうことになるんだろうけど,好きが原点。それってとても健全なことだよね。
今さらプロを目指すわけじゃない。巧くなりたいとは思うけれども,それだけでやっているんじゃない。それでいいのだと思う。
市民オケ,学生オケ,企業オケ。日本にどれほどのアマチュアオーケストラがあるのか知らないけれど,それぞれの顔があるはずだ。多様であることは,それじたいが良いことだ。活動内容,技術,目指す方向など,千差万別であればあるほどいい。
● ということで,楽しみがひとつ増えた。セコいことを言えば,わが家から野木までの電車賃が往復で2千円になるのが唯一の問題かなぁ。
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