約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2012年7月29日日曜日
2012.07.28 東京農業大学OBOG管弦楽団第3回定期演奏会
大田区民ホール・アプリコ 大ホール
● ヨメとムスコは1週間ほど香港に遊びに行く。成田ではJALのラウンジも使えるらしく,楽しみにしているっぽい。ぼくは居残り。
自分だけ楽しんでは申しわけないと思ったのか,ヨメが「青春18きっぷ」を1枚買って,下賜してくださった。ありがたいことだ。
その「青春18きっぷ」を大切にポケットにしまいこんで,東京に出てきた。
● はとバスの隆盛を見れば明らかなとおり,東京は日本随一の観光地でもある。京都や奈良の観光資源は過去の遺産だけれども,東京はそうじゃない。スカイツリーにしても,銀座にしても,ひと昔前のお台場にしても,只今現在の東京がそのまま観光資源になっているのだから,これはとんでもない強みだ。他の観光地が束になってかかっても,とても敵うものじゃない。
ぼくも,遠い昔は神保町の古本屋街を,近い昔は秋葉原の電気街をうろついたことがあった。秋葉原の電気街は今でも立派な観光地だろう。終わった街と言われたこともあったけどね。メイドカフェと中国人の威力,恐るべし。
● でも今や,ぼくにとって,東京はコンサートを聴くためにたまに出かけるところになっている。しかも,行けば疲れるところになってしまったんだよなぁ。人が多すぎる,情報が多すぎる,刺激が多すぎる。女性もきれいな人が多い。ビシッと顔を作っててね。ぼくなんかがうかつに近づいてはいけないような気がするよ。
昔は,雑踏の中に身を置きたくてわざわざ東京に出かけたこともあったのに。生命力の水位が下がってきたのかもしれない。アンチエイジングに最も効果があるのは,東京に住むことかもしれないね。
● この日は2つのコンサートを聴いた。ひとつめは,東京農業大学OBOG管弦楽団。開演は午後2時。入場無料。
● 開演が近づいているのに,客席は1割しか埋まっていない。開演時刻が過ぎても始まらない。まさかお客さんが溜まるのを待っているのじゃあるまいな。
と思ってしまったんだけど,当然にして,これはぼくの勘違い。1時半開演と思ってたんですな。2時になる頃には,だいぶ客席も埋まってきた。
とはいえ,空席も多い。PRをしていないからじゃないですかねぇ。もちろん,楽団のサイトでは告知しているんだけど,この楽団の存在をしらない人もけっこういそうだし。せめて「Freude」には載せるようにした方がいいんじゃないか,と。
それとも,知っている人に来てもらえばいいと割り切っているのか。
● 指揮者は内藤佳有氏。ぼくは存じあげなかったんだけど,この人,経歴がすごい。この楽団のホームページに紹介されているところによると,東大工学部を卒業してから,10年以上経ってから音楽に転身。桐朋のソリスト・ディプロマ・コース(指揮専攻)で学び,前代未聞の成績を収めたとある。ピアノやチェロの腕前も相当なもので,各地で独奏者として招聘された。
この経歴じたいが,少なくとも日本では希有のものでしょう。こういう人って,よほど偏屈か,よほどワガママか,よほど潔いか,よほど度胸があるかだ。
ぼくなんぞは男らしい人だなぁと思ってしまう。それまで積みあげてきたものの相当部分を捨ててでも,自分の欲望に忠実にしたがったってことだからね。まして,30代も半ばになってから,異分野に転身するってのは,言うほど簡単じゃないものなぁ。
でも,自信はあったんでしょうねぇ。
● ところが,以上の先入観から想像していたイメージと実際の内藤氏は符合しなかった。天衣無縫という感じの人じゃなかった。むしろ,真面目の固まり,誠実な人って感じ。
● 6月に聴いたベルリン交響楽団の指揮者リオール・シャンバダールは「音楽への情熱が身体中から迸るマエストロ」と紹介されていたが,内藤さんも同じ。
オケに対して明快に指示を出す。ここは難しいから適当に流させようなどとは,間違っても考えない人でしょうね。
シャンバダールはその思いを裸のままオケにぶつけるという感じだったのだが,内藤さんはオケが受け取りやすいように,着衣させてから投げている。相手が若いアマチュアオーケストラだからそうしているのではなくて,相手が誰であっても同じようにするのだろう。
● 曲目はモーツァルトの交響曲第40番とブラームスの交響曲第2番。
モーツァルトの交響曲の中ではこの40番が一番好きだ。CDで聴いた回数は数知れず。適度にスイーティーなのが,初心者にはいいのかもしれない。参入障壁が低いっていうか。41番「ジュピター」よりこっちの方がファンが多いのではあるまいか。
内藤さんに鍛えられているんでしょうかねぇ。それが音の厚みになって結実していると思われた。しっかりとモーツァルトを聴かせてもらったなとの満足感が残った。
● ブラームスの2番は,モーツァルトに比べるとやや平板だったかなぁ。いや,しっかりした演奏なんですよ。
こちら側の好みによるのかもしれない。ブラームスよりモーツァルトが好きだっていうね。ブラームスってそもそもぼくには難解すぎるのかもしれないんだよね。演奏の問題じゃない。
● 5月のマイクロソフト管弦楽団の演奏会も同じ会場で行われた。その際に学習したことがひとつある。それは何かっていうと,蒲田駅構内に「おむすび権米衛」があるってことなんだけど。
あのさ。「権米衛」のおにぎりって旨いよねぇ。安いし。言っちゃなんだけど,コンビニのおにぎりとは全然違うぞ。ふっくらしててねぇ。
海苔わさび,おかか,紅シャケがぼく的には定番。この3つを食べると,米に換算すれば軽く1合を超えると思うんだけど,でも3つは食べる。あとひとつは食べられるんだけど,3つでやめておく。パンもいいけど,やっぱ,ごはんつぶって美味しいねぇ。
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