2013年2月3日日曜日

2013.02.03 栃木県交響楽団 第94回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 今回の定演の曲目は次のとおり。
 スメタナ 交響詩「わが祖国」より「モルダウ」
 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲
 チャイコフスキー 交響曲第5番
 集客を意識した選曲でしょうかね。団員にしてみれば,ぶっちゃけ演奏したい曲はほかにあるぞ,ってことかもしれないなと思ってみたり。
 実際,栃響に限らず,(たぶん)クラシック音楽に限らず,演奏会の客足が伸びない。っていうか,若干ながら減りつつあるような印象がある。従来以上に,集客に意を用いなければならなくなっているのかもしれないね。

● 指揮は末廣誠さん,ソリストは吉田恭子さん。開演は午後2時。チケットは1,200円(当日券は1,500円)。

● 昨年12月のベートーヴェン「第九」を聴いて,栃響ってこんなに巧かったのかと思った。今回の定演でそこを確認したい。ひょっとしたら,ぼくの耳がおかしかったのかもしれないではないか。
 良かった,感動した,としても,どこまでが曲で,どこからが演奏なのか。その見極めも正直できていないと思いますんでね。自分の鑑賞力を信頼できない身の悲しさよ,ってことね。

● で,まず「モルダウ」。
 曲を慈しんでいるなという印象を受けた。技術的にここまで行ってれば,少なくともぼく程度の聴き手には充分。加えて,アマオケならではの集中の深さも魅力。

● メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。
 吉田さん,白いドレスで登場(ピンクっぽく見えたけど,たぶんライトの加減だと思う)。マーガレットかゼラニュームか。淡い春が来たような感じでしたね。
 その吉田さんに感服。ピアニッシモの表現,ここまでできるのか。プロならあたりまえよ,ってことかもしれないんですけどね。
 地上30メートルの高さに幅10センチの板を渡して,そのうえを歩いているような感じ。ここしかないっていう細い途を過たずにたぐり寄せているっていいますか。
 同時にぼくの脳内に浮かんできたイメージは,和食の板前。まな板に載っている大間産の超高級マグロを睨んで,どこに庖丁を入れようかと一瞬考え,サッとその庖丁をおろした瞬間の板前さんのイメージ。カビが生えた表現が許されるのであれば,繊細かつ大胆。

● ソリストにこれだけの演奏をされれば,管弦楽だって気を抜いた対応はできない。吉田さんに引っぱられたのかどうかは別にして,バックの栃響も見事な応接で,これまた聴きごたえがあった。
 ほとんどの場合,協奏曲はソリストよりもバックの管弦楽の方が重要で(あまり賛同は得られないだろうけど),ソリストがヘボでも管弦楽がしっかりしていれば曲として成立するけれども,その逆はあり得ないと思っているのでね。

● チャイコフスキーの5番。
 冒頭,ンっと思った。やや不満が残る演奏になるかも,と。でも,杞憂でしたね。
 ホルンのソロもさることながら,ファゴットの安定感がぼく的には印象に残った。それと弦の表現力っていいますかね,やっぱりね,たいしたもんですよねぇ。終盤の金管も。
 これはねぇ,穿ちすぎもいいところだと思うんだけど,奏者が全体的に素直になっているような気がするんですよ。その結果,指揮者の指示が通りやすくなったんじゃないかと思える。
 いや,前から素直だったよ,ってか。ま,それはそうなんだろうけどもね,どうもそういう気がする。まぁね,穿ちすぎだろうな,これは。

● というわけでした。今回はメンコンの印象が圧倒的。
 好きな曲をひとつあげろと言われれば,モーツァルトのクラリネット協奏曲だと答えている。以前は,僅差でこのメンコンが2位だったんだけど,ぼくの中でメンコンの順位はだんだん下がってきていた。が,今回の演奏を聴いて,やっぱいいよなぁ,と。
 来月10日には,総合文化センターで読響が同じメンコンを演奏することになっている。すでにチケット購入済みなんだけど,ひょっとしたら今回の「吉田恭子+栃響」ほどの演奏は聴けないんじゃないかと思ったり。もし,本当にそうなったらガックシだな。

4 件のコメント:

  1. 栃響の元ホルン奏者です。多くの友人から栃響ホルンは地に落ちたとお叱りを受けました。かつてはホルンクラブも作り、アマオケ最高のホルンセクションと言う自負でやってまいりましたが、今は同好会的なお遊びの集まりになってしまったようです。
    これからは、期待に沿う様な演奏はお聞かせできないと思います。すみません!!

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    1. ありがとうございます。

      「ホルンのソロもさることながら」というのは,ホルンがダメだったという意味ではありませんので,念のため。
      ホルンはそもそもが難しい楽器で,巧く吹いても巧く聴こえないとか,その逆もあったりとか,少し以上に厄介なところがあるんじゃないでしょうか。

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  2. アマオケを聞いて一番ハラハラするのが、ホルンの音程ですよね。次がVnの音程かな、、。プロのオケでも、ホルンの響きに物足りなさを感じることがあるぐらい、音程が微妙な楽器ですよね。チャイコフスキーの交響曲は、特にホルンが出だしでテーマを演奏するのがありましたね、何番だったか失念しましたが、、。

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    1. ホルンはそうですよね。
      手なづけるのも大変でしょうし,音程をとるのも難しそうだし。さらに,響かせればいいというものでもないですし。
      難易度が高そうです。

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