2013年4月7日日曜日

2013.04.06 オーケストラーダ第5回演奏会


杉並公会堂 大ホール

● 東京はやっぱりすごいと思うことがある。そのひとつが,水準の高いアマチュアオーケストラに出逢ったとき。すでにいくつもの出逢いを経ているんだけど,今回,新たにひとつ加わった。
 いったいどれだけあるんだよ,ってことですね。さすがは東京,層の厚さは測りがたい,というわけです。

● オーケストラーダ。発足したのが2011年。団員も若い人が多いんですな。
 音大を卒業した人も相当数いるんじゃないかと思われる(ひょっとすると現役生も)。ヴァイオリン奏者の手首の返し方なんか,格好いいんだもんね。素人離れしてるっていうかさ。

● 曲目は,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調とラフマニノフの交響曲第2番ホ短調。指揮者は久保田昌一さん。開演は午後6時。

● チケットはなし。ただし,無料ではなくて,終演後にそれぞれが妥当と考える金額を支払う。じゃあ100円でも200円でもいいのかっていうと,そうではなくて,最低額が867円と決められている。
 これ,「ラフマニノフの楽譜に書かれている数字の和」なんだそうだ。こういう遊びも洒落てますな。
 ちなみに,2,000円以上を支払うと,今回の演奏を録音したCDを送ってもらえる。要するに,観客対応は良心的かつフレンドリーってことね。

● ヴァイオリン協奏曲のソリストは渡辺りらさん。プログラムのプロフィール紹介によれば,桐朋女子高校を卒業後,大学はアメリカに。以後,アメリカを本拠地にして太平洋を行ったり来たりしてるっぽい。
 外連味のない演奏。安定感のあるフォーム。大向こうに受けようなんてのは眼中にない。プロの矜恃。
 バックの管弦楽も真摯な応接で,ありがちなソリストとオケとのチグハグ感もなかった。

● ラフマニノフ2番の演奏に先立って,指揮者の大久保さんによる解説があった。第3楽章に代表される美しい旋律の裏に隠されたものを聴きとってほしい,というようなことだったと思う。
 これがぼくの頭ではよく理解できなくて。旋律に込められたラフマニノフの思いに思いをはせろ,ってこと?

● まず,表の旋律はこうだと1stヴァイオリンに演奏させ,次に2ndヴァイオリンにも演奏させた。つまりは2ndの演奏が裏に隠されたものっていうことなんだろうか。
 でも,演奏されるんだから,楽譜に書かれているわけだよなぁ。別に隠されているわけじゃない。
 実際問題として,1stと2ndは隣りあう配置だったこともあって,それぞれの音を聴きとるのは容易じゃなかったんだけど,それをやれってことだったのかなぁ。
 要するに,よくわからない。わからないけれども,かなり難易度の高い要請ではあったように思う。

● しかし,本番の演奏が始まってしまえば(渡辺さんも2ndの列に加わっていた),こちらとしてはただ管弦の音の流れに身を任せるだけなんですよね。心地よく身を任せられるのが,つまりはいい演奏っていうわけで。
 で,心地よく身を任せることができた。ぼく的には大満足。それだけじゃダメなのかなぁ。あまり頭であれこれ考えたくないんだけどなぁ。

4 件のコメント:

  1. 突然失礼致します。
    すごい嵐の中、ご来場ありがとうございました。
    おっしゃる通り、心地よく身を任せられる演奏は、演奏している側にとっても嬉しいものです。今回はそんな演奏の出来るオーケストラーダと競演でき、とても幸せでした。
    :−)
    渡辺

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    1. ありがとうございます。お読みいただいて光栄です。

      チャイコフスキーは忘れられない記憶になりました。
      素晴らしいCDはあまたあると思うのですが(私もいくつかのCDを聴くことが,当然あるのですが),ライヴはそれをはるかに凌駕する。
      ありがたい出逢いだったと思います。

      お元気でお続けくださいますよう,ご祈念申しあげます。

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    2. どうもありがとうございます。
      funafunaさんの書かれる正直なご意見ご感想は、演奏家にとって良い刺激となります。
      これからもバリバリお願い致します。

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    3. 合点です。
      っていうか,あまり調子に乗らないで,できるだけ素直な感想をお返しできればと思っています。

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