2013年7月8日月曜日

2013.07.07 石原千代バレエスクール School Performance 2013

栃木県総合文化センター メインホール

● 開演は午後3時。入場無料だけれども,チケットは必要。当日,会場入口で配ったのかもしれないけど,総合文化センターのプレイガイドにも置いてあって,ぼくはそこでもらった。
 プログラムは別売で400円。ほかに募金も。プログラムの売上と募金は東日本大震災の被災地に寄付されるらしい。
 被災地への募金はいろんなところが行っている。募金に応じる人は,もう数え切れないくらい応じているだろう。何度応じてももう充分ってことにはならないにしても,そろそろ募金疲れが出てるかなぁ。

● だから,募金を募るのはそろそろやめたらと言いたいのではなくて,その逆。募金疲れが出てる人も,それを忘れて思わず募金してしまうような,そんなやり方が開発されればすごいことで,今回のようなやり方は,間違いなくそのひとつだってことを言いたいわけですな。
 バレエスクールの発表会にしては相当以上にレベルが高い。これだけのものを無料で見せてもらったとあっては,その主催者が募金箱を持って立っている場合,その前を素通りすることはできない。

● 栃木県,特に北部や東部に住んでいる人なら,自分も被災者であることがさほどに珍しくはないだろう。かく申すぼくもそのひとりで,屋根は葺き替えざるを得なかったし,家財もだいぶ損なわれた。
 しかし,石巻や気仙沼や釜石や南三陸や陸前高田や相馬に住んでいる人に比べれば,っていうか,比べることじたいが無礼千万ってことになるんだけど,被害のうちに入らないだろう。命もあるんだし。

● 震災後に何が変わったかというと,モノが増えることへの拒否感が増大したことだ。モノが増えてしまうことに恐怖を感じるというか。ぼくの場合はだけど。
 だから,物販はダメだ。グッズか何かを売って,その売上を寄付するってのはダメ。カネは出すけどモノは要らないよ,と言いたくなる。で,そう言ってしまうことの失礼さってのもわかるわけね。ゆえに,この方法を取っているところには近づかないことにしている。

● 内容は3部構成で,休憩時間を含めて3時間弱の公演だった。
 まず登場する普通のステップ。ポワントでの細かい刻み。そこに含まれる尋常じゃない運動量。それをあくまで優雅にやってのけなくちゃいけない。よくできるなぁと思うんですよねぇ。人間技じゃないような。
 実際はたぶんいっぱいいっぱいなんだと思うんだけど,余裕綽々ですよとハッタリをかまさなくちゃいけない。
 バレエはやっぱりビジュアルだと思う。ハッタリもまたビジュアルを構成する大事な要素だ。

● 圧巻だったのをひとつだけあげろと言われれば,第3部「パキータ」のヴァリエーション。9つ。最後がエトワールのヴァリエーションということですか。エトワールは佐久間奈緒さん。
 男性のダンサーも存在感がありましたねぇ。男性の場合は,どれだけ高く跳べるか,なんでしょうね。滞空時間の長いジャンプ。頂点でフワッと浮いてるんじゃないかと思わせるような。それができるかどうかは,たぶん,才能がすべてなんでしょうね。残酷なほどに才能がすべて。

● ソロやパ・ド・ドゥあるいはデュエット,パ・ド・トロアで次々に繰り出されるウルトラC。驚きをとおりこして呆れるしかない。
 ただ,こうしたウルトラCは,続けて見てると飽きてきちゃうってところがありますね。その点,一定の水準を超えているコール・ドはずっと見ていられる。
 1部から3部まで,このコール・ドがしっかりしているから,ウルトラCも活きる。部分も大事だけれども,全体はさらに大事で,しかも部分の総和が全体ではない。全体を全体たらしめているいるのは,ウルトラCではなくてコール・ドの方でしょうね。
 と,知ったふうに書いてしまったけれども,実際のところはどうなんだろうなぁ。

● 客席は出演者の保護者,家族,友人たちが大部分だろう。したがって,客席のざわめきは公演中も収まることがない。スマホやケータイを使っての動画撮影も誰かがやっている。客席の照明をすべて落とした中でのスマホの明かりは興ざめだけれども,これをゼロにするのは困難(っていうか不可能)だろうな。
 ゼロにする必要はないものでしょうね。たぶん,これでステージと客席のバランスが取れているんだろう。管弦楽と同じように考えてはいけない。ステージと客席とが,管弦楽ほど離れていないもんね。

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