江戸川区総合文化センター 大ホール
● オーケストラパレゾンは,「明治学院大学管弦楽団のOB・OGが主体となって結成されたアマチュアオーケストラ」。今回がその初回の演奏会。
開演は午後2時。チケットは700円。
● 明治学院大学管弦楽団のOB・OGによる楽団は別にもうひとつあるらしい。東京にアマチュアオーケストラがいくつあるのか知らないけれど,またひとつ生まれたわけだ。
一方で,活動を休止する楽団もあるだろう。新陳代謝は絶え間なく行われているんだろうね。
● 地方だと,大学オケとか市民オケっていうのが,言葉どおりに成立する余地があるんだと思うんですよ。大学の関係者とか地域住民とかが支持してくれれば,ともかくステージが成立する。
東京だとそうはいかないでしょ。圏域が狭いうえに,公共交通機関が網の目のようにできあがっているから,市といい区といったって,越境が容易だ。市や区の境界線なんて,地図上の線以上のものではない。地方だって同じなんだけど,その程度は大きく違うだろう。
要するに,競合する相手が多くなる。大変だろうなぁ,と。
● 曲目は次のとおり。指揮は河上隆介さん。
デュカス 交響詩「魔法使いの弟子」
バッハ トッカータとフーガ ニ短調(ストコフスキー編曲版)
ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
● ぼくのおめあてはバッハだった。バッハの小編成(あるいは独奏)の曲を管弦楽にアレンジしたものっていくつもあるんだろうけど,じつは生では聴いたことがない。
が,「シャコンヌ」の管弦楽版を初めてCDで聴いたときの,驚愕というか何じゃこれはっていう印象は忘れがたい。斎藤秀雄版を下野竜也さんの指揮で読響が演奏したものですけど。
● で,「トッカータとフーガ ニ短調」を生の管弦楽で聴きましたよ,と(この曲は本当にバッハの作なのかという疑問を呈する専門家もいるようだけど)。壮大,荘厳といくつもの単語が浮かんでくる。腹に力をいれて聴かないと流されそうでもある。
一大叙事詩のようだ。いろんな物語を仮託できる。神々が論争しているようでもあり,人が天に召されるときの情景のようでもあり,敬虔に祈りを捧げる人の内面を表したようでもある。
真面目に生きた人の一生を思い浮かべることもできる。いろんな浮き沈み。喜びや悲しみ。どうにもならない悲惨。それでもそこに注がれる神の恩寵。
良くも悪くも,こちらの思い入れでどうにでも受け取れる。
● ただ,こういう聴き方ってどうなんだろうと,一方では思うんですよ。そのようなイメージをすべて封殺して,音を音として聴くという聴き方。そういう境地があるのかな,と。
そこを目指してもつまらないぞ,やめとけ,とも思うんだけど。
● 以下,余談。
地方の人間が首都圏に行って驚くことのひとつが,活気ある商店街が存在していることだ。新小岩駅前のルミエール。
ショッピングモールも悪くはないけれども,商店街もいいですな。昔からここで営業してると思われるお店が多いけれど,ダイソーとか昔はあったはずがない店舗もある。
商店街が残るかどうかってのは,たぶん複雑系の話で,初期値がほんのわずかでも違うと,結果は大きく変わってしまうものなんでしょうね。だから,寂れた商店街の再興を目論んで,ルミエールを視察して何か手を打っても,なかなか思うようにはいかないものだろう。
● 商店街をいいと感じるのは,年寄りの懐古趣味なのかとも思ったりもするんですけどね。でも,とてもいい風景に映るんですよねぇ。
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