杉並公会堂 大ホール
● 今日,3つめの管弦楽のコンサート。ダブルヘッダーは今までに何度か経験しているけれども,トリプルは初めてだ。
ダブルやトリプルってどうなのよと問われれば,あまりやらないほうがいいと,とりあえずは回答したい。なぜかといえば,印象が散ってしまうから。
● ぼくらは例外なく忙しく毎日を過ごしている。短時日のうちに印象はどんどん薄くなり,ついには雲散霧消してしまう。例外はあるかもしれないけれど,たいていの場合はそうだ。
つまり,ダブルやトリプルじゃなくてもそうなのだ。だったら,ダブルでもいいじゃんってことになりそうだ。
それでも,可能ならやらないほうがいいと思う。記憶が新鮮な間に次の記憶を上書き保存することになってしまうんでね。わざわざ記憶を劣化させるようなものだから。
● とはいっても,せっかく栃木の在から出かけていくのだ。移動するだけで時間もお金もかかるのだ。
だったら,ダブルでもトリプルでも,できるだけ多くを刈り取りたい。それに,どうせ他にやることもないんだし。
というわけなのだった。
● 開演は午後5時半。チケットは1,000円。当日券を購入。曲目は次のとおり。指揮は高橋隆元さん。
ワーグナー 楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー」
ワーグナー 「神々の黄昏」~夜明けとジークフリートのラインへの旅
ブルックナー 交響曲第7番
● 明治大学OB交響楽団といっても,OBばかりではないようだ。OGもいる。数からいえばOGのほうがやや多いくらい。
いや,そういうことじゃない。明治大学のOBではない人たちもけっこういるようなのだ。
● 学生時代,彼らの多くは部活第一,アルバイト第二,学業第三,で過ごしてきたのだろうと思う。勉強は二の次,三の次。
が,卒業して社会人になれば部活はなくなるわけだし,仕事を二の次にするわけにはなかなかいかないだろう(そのなかなかいかないことをいかせている猛者も,いるにはいるけどね。ぼくも一人知ってるよ)。
● するとどうなるかというと,学生時代に比べると腕が落ちる。練習時間が大幅に減るんだから。社会人になってからのいろんな経験が演奏に深みをもたらすことがある? そんなのはまったく現実的ではない。
経験を演奏の深みに転換できるなんてのは,一部の才能溢れる人に限ってのことだろう。
● 卒業してからもなお楽器を続けている人の多くは,ここにもどかしさを感じるのではあるまいか。
色々と工夫をこらして,それに抗っている人も多いに違いない。
● さて,このOB楽団,奏者の年齢はまちまちだ。まちまちだけれども,女性陣の平均年齢はかなり若い。
女性の場合,結婚すれば妊娠,出産,子育てが待ちかまえている。その渦中にあって,ステージに立てる人はまずいないだろう。
子育てが一段落したら復帰するといっても,言うほど簡単だとは思えない。
● その点,男性の場合は結婚後も続けやすい。妊娠や出産はしたくてもできないわけだしね。
とはいっても,会社で中堅になり,課長や部長になると,仕事が生活の大半を占めることになる。仕事が面白くなるというのは,ぼくはついに経験せずに終わりそうだけれども,そういうこともあるのかもしれない。
したがって,男性も女性ほどではないけれど,主力は若手だ。
● しかし,そうした諸々を超えて,ステージから発せられる音楽は素晴らしかった。単純にそう思った。
生で聴くというときに,CDではなくて生といえば,ホールで聴いていることそれ自体を指すだろう。が,音が生きていて,その生きた音を聴く,そのことを生で聴くというのなら,まさに今,生で聴いている。
● 黄金週間の終盤にこうした演奏会を催すからには,黄金週間のほぼすべてを今日の準備に振り向けてきたはずだ。
そうした人たちのおかげで,こちらはダブルだトリプルだとオダをあげながらも,ワーグナーを聴き,ブルックナーを聴くことができるわけだ。“生”で。
● ワーグナーの「ニーベルングの指環」のすべて(ラインの黄金,ワルキューレ,ジークフリート,神々の黄昏)をそれこそ生の舞台で観たいというのは,ぼくの望みのひとつではあるけれど,半ば以上は諦めている。
東京でも4部作すべてを公演するのは数年に一度かもっと少ないか(今,新国劇で上演中?)。その機会を捉えることができたとしても,チケット代が問題だ。
一気にではなく(できれば一気に観たいのだが),何年もかけてひとつずつ観ていくというのが現実的だろう。
● CDは持っているんだけど,聴いたことはない。オペラだけは歌や台詞の意味がわからないと,ストーリーを追っていけない。
CDはすでにそれができるようになっている人に向けたもの。上級者向けだ。
となると,DVDってことになる。一度だけ,DVDを観たことがある。字幕が表示されるんだからありがたい。
問題は,しかし,ある。ぼくの視聴環境だ。ノートパソコンで観るしかないのだ。音は外付けスピーカーでいくらかはどうにかなるとして,画面はどうにもならない。
● DVDはリッピングしてある(これが違法だというのだから,日本の著作権法には恐れいる)。それをスマホに移して,スマホで視聴したほうが画質は良くなるかもしれない。
とにかくたくさん視聴しようと思えば,ながら聴きをするしかないものな。“ながら”をするのにスマホはじつに適している。
ファイル形式の問題とかあるんだろうけど,本気で検討してみようか。
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