那須野が原ハーモニーホール 大ホール
● 正直,行くかどうか少し逡巡。台風21号がこちらを直撃する予報なんですよ。ご訪問の予定は明朝らしいんだけど,すでに雨は降っている。これから雨も風も強くなるんだろう。
けれども,衆議院議員総選挙の投票はいざしらず,この程度の天気で予定していた演奏会に行かなかったとあっては,わが人生の晩節を汚すことになるでしょうよ。
● というわけで,出かけていった。車は使わず。わが家からハーモニーホールまでは,徒歩-電車-徒歩(ここはバスもあるが)となる。
実際のところ,往きは大したことはなかった。雨の中を歩くことを楽しめる程度のものだった。
● さて,マロニエ交響楽団。2年に1回,演奏会を開催している。宇都宮大学管弦楽団のOB・OGを母体にして発足したらしい。その後,おそらくそうではないメンバーも加わっているだろう。
開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を買って入場。
● 曲目は次のとおり。
ベートーヴェン 交響曲第8番 ヘ長調
シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
ベルリオーズ 幻想交響曲
最近,重量級のプログラムがあたりまえになった感があるけれども,これはベートーヴェンの8番とベルリオーズ「幻想交響曲」という超重量級。演奏する側はもちろんだけれども,聴く方も疲れそうだね。
● もうひとつ。このプログラムでどうして那須で? 宇都宮でよかったんじゃない?
ハーモニーホールの響きはたしかにいいんだけど,栃木県総合文化センターや宇都宮市文化会館に比べて突出しているというわけでもないと思うんだが。
演奏する側にすれば,わずかの違いが大きな違いということだろうか。
● 指揮は曽我大介さん。曽我さんの指揮にも何度か接している。楽章間であまり間をとらず,小気味よく進めていく。
曽我さんの指揮を仰げるということは,それ相応の実力を備えている楽団だと看做していいんでしょうね。宇都宮大学管弦楽団で相当鍛えているということですか。
● まだ若い楽団ゆえ(いや,それだけではないのかもしれないが)反射神経がいいという印象を受ける。軽々とやっているわけでは決してないだろうけど,飲みこみがいいんじゃないだろうか,各々の奏者が。
ベートーヴェンの8番では第3楽章の木管の呼吸の良さにそれを感じることができる。
● シベリウスのヴァイオリン協奏曲。ソリストは長原幸太さん。読響のコンサートマスターを務めているんですか。
このクラスになると,ぼくのような者では彼が生きている世界を想像することすらできない。どんな価値観や人生観で生きているのか,まるでわからない。無理に想像しない方がよろしかろうと思う。
● 協奏曲も管弦楽曲ゆえ,当然といえば当然なのだろうが,主役は独奏楽器ではなくて管弦楽だ。ゆえに,協奏曲を聴くときにソリストが誰なのかはあまり気にしたことがない。
ただ,この曲は独奏成分が高い。これだけの人を呼べるのもまた,管弦楽に相応の実力があればこそ。
● さて,ここまで聴いたうえで,さらに「幻想交響曲」を聴くことになる。聴く方にも,各人による大小はあるだろうが,聴くことにさけるリソースに限りがある。薄い聴き方にならざるを得ない,と言い訳をしておこう。
初めて「幻想交響曲」を聴いたときのことを思いだす。10代の後半だったと思う。何がなんだかぜんぜんわからなかった。これ,何で「幻想」なんだと思った。
ところが,今は高校生が「幻想交響曲」を演奏する側に回っていたりするんですよね。どうにも当時の自分が哀れというか。
● 中学生とおぼしき少女たちもまとまって聴きに来ていた。その年齢でオーケストラの生演奏を聴けるのが羨ましい。ほんと,つくづく羨ましい。
ぼくが高校生の頃はホールといえば栃木会館しかなかった。生演奏を聴くってことを現実の問題として考えることができなかった。
かといって,レコードで聴くのもなかなか。高くて買えなかったからね。今は音源はネットにいくらでも落ちているんだもんな。好きなだけタダで聴けるんだもん。
という,いい時代にぼくも間に合ったので,時代の恩恵を遠慮なく享受したいと思っている。
● 唯一,たぶん天気のせいだろうけど,ホールの響きがいつもと違う気がした。ありていに言うと,響きが悪い,というか弱い。やっぱり空気が重くなるんでしょうね。
楽器が湿るってこともあったりするんだろうか。
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