宇都宮市文化会館 大ホール
● この演奏会を初めて聴いたのは第27回。その後,30回,32回,34回と聴いている。ほぼ1年おき。
今回は初めて2年連続で聴いたんだけど,そのことに気づいたのはつい先程だ。今回も2年ぶりだと思っていた。つまり,前回(第34回)の記憶がスッポリと抜け落ちている。何回か聴いていると,記憶が混ざってしまうのだと思う。
困ったことだけど,仕方がないんでしょうね。たぶん,こういうことって,誰にでもあるんだと思う。だから,人の記憶ってあまりあてにならない。自分の記憶を頑固に信用してはいけないってことですね。
● 開演は14時。かなり混むことはわかっていたから,かなり早めに並んだ。その甲斐あって,2階右翼席に座ることができた。自分で勝手にここが自分の指定席と決めているところ。
チケットは1,000円。これまた,当日券は厳しいだろうと思って,数日前に前売券を買っておいた。
● 例年,宇女高合唱→宇高合唱→両校合唱→両校管弦楽→両校管弦楽&両校合唱&両校2学年音楽選択生,の順での演奏になる。
まずは,宇女高合唱部。「キャロルの祭典」から4曲。“入場”,“来たれ喜びよ”,“四月の朝露のごとく”,“この小さな嬰児”。「キャロルの祭典」は女声合唱の定番であるらしい。たしか昨年も。
● 初めて聴いた第27回のときは,部員が少ないのに少し驚いたものだった。が,最近は事情がだいぶ変わってきたらしい。
アンダーソン「雪だるまをつくろう」など4曲を,ミュージカル仕立てにして演奏した。それができるためには,第一に数が揃っていなければならない。
4つの曲をはめこむためのストーリーや場面設定にも無理がなく,ひょっとすると,定型があるのだろうかと思った。
● 次は,宇高音楽部合唱団。「じゆびれえしよん」から“雪景”,“独唱”,“りんごよ”。「父のゐる庭」から“紀の国”。「鴎」「斎太郎節」。
今回は少々手こずってる印象を受けたんだけどね。高音部に苦戦していたような。期して次回を待て,ということでしょう。
そのあと,両校の合同演奏があって,第1部は終了。
● 第2部は両校合同の管弦楽。かなりの人数になる。デュカスの「魔法使いの弟子」を演奏。
なぜ「魔法使いの弟子」かといえば,このあと日本青年館で「全日本高等学校オーケストラフェスタ」というのがあるらしく,宇女高オーケストラがこの曲を引っさげて参戦する。そういう事情があったようだ。
● この演奏会の白眉はもちろん,最後の「両校管弦楽&両校合唱&両校2学年音楽選択生」にある。ヘンデル「メサイア」から“ハレルヤ”,それと「第九」の第4楽章。つまり,これが第3部。
音楽選択生の中には合唱部員よりも巧い人もいるはずだ。合唱よりもバスケットがもっと好きだからバスケット部員になっているというような。あるいは,部活の意義に自分は疑問を感じるから合唱部には入らないけれども,歌わせたらかなりの腕前だ,というような。そういう人が音楽選択生の中にはいるだろう。
● 一方で,口パクの人も散見された。責めているのではない。当然,あっていい対応だ。たぶん,この演奏会への参加希望は問われずに,音楽選択生は全員参加することになっているのだろう。それなのに口パクも許さないというのでは,すでにして小さなファシズムだ。
だから,口パクはあっていいのだ。ここで良心の呵責など感じてはいけない。
● しかし,だね。明らかにわかる口パクはダメだよ。ここは演技力を見せるところだからね。(観客に)口パクと悟られないような口パクを演じて見せてくれ。
この点で言うとね,男子の宇高生より女子の宇女高生の方が,演技力は上のような気がしたね。
● 管弦楽については,宇高と宇女高の実力差が相当あるなと思っていた。正直,宇高生が可哀想に思えることもあったんだけどねぇ。
このあたりも様相が変わっているようだ。宇高管弦楽団の名簿を見ると,1年生の部員がかなりいる。技量も向上しているようだ。
「第九」は宇高生がコンマスを務めた。その彼にコンマスとして見劣りするところは,まったくなかったと思う。
● この演奏会に備えるのに与えられた時間は限られていたはずで,両校の合同練習ができたのは2回程度じゃないか。もっとも,管弦楽は,那珂川町の「第九を歌う会」(12/10)でも演奏しているので,そこで総合リハーサルは済んでいるのかもしれないけど。
“ハレルヤ”を仕上げるだけでも,けっこう大変でしょ。それに加えて「第九」だからね。
管弦楽も合唱も自前で,しかもこの水準まで持ってくることができるのは,栃木県内でもこの両校だけだろう,たぶん。たいしたもんです。
ぼく的には,「第九」よりも“ハレルヤ”の素晴らしさを称揚したい。主には合唱についてなんだけどね。
● 客席は“ほぼ”のつかない満席状態で,とにかく人圧がすごかった。これはちょっと入り過ぎだろう。人圧に押されて,居心地の悪さを感じることがある。
が,その人圧も途中から感じなくなった。高校生のパワーはかくも凄い。
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