2017年12月27日水曜日

2017.12.23 宇都宮大学管弦楽団 第84回定期演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 開演は午後6時。チケットは800円。ぼくは招待状で入場させてもらったんだけど。

● メインホールが満席。ほぼ空席なし。この楽団の定演でこれだけお客さんが入ったのを見るのは初めてのこと。17日の栃響「第九」でももう少し空きがあった。
 何があったのだろう。演奏される曲目に奇をてらったところはないし,下手に奇をてらうと,かえってお客を遠ざける結果になるものだろう。
 招待状をはじめ,集客の手を尽くした結果だろうか。地元の人たちの間にクラシック音楽熱が盛りあがっているんだろか。どうも理由がわからない。

● その曲目は次のとおり。指揮は三河正典さん。
 ベートーヴェン 劇音楽「エグモント」序曲
 チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

● 大学オケでも大学に入ってから楽器を始めた人が珍しくないという話も聞くことがあるんだけど,どうなんだろうか。本当にそうなのか。
 ぼくも大学では初めてのスポーツの部活をやった口なんだけど(じつは,そのことを激しく後悔している),管弦楽でも同じなのだろうか。

● 宇都宮大学管弦楽団は,栃響をはじめ県内の市民オケの人材供給源になっているやに思われる。弦の水準の高さには感嘆する場面が多い(ただし,OB・OGのアシスト効果も大きいはずだ)。
 大学から始めてもここまで行けるのであれば,相当な人たちにとって福音になるだろう。
 必ずもっと早く始めていればよかったと思うものだろうけれども,それは何ごとにもあてはまる。あまり深く考えてはいけない事柄に属する。考えても仕方がないことを考えないでいられる,というのは,それじたいが大変な才能だ。

● 「ロメオとジュリエット」にはチャイコフスキーのすべてがあるように思う。こうすれば聴衆に受けるとわかっているかのような,あざといくらいの起伏のつけ方と場面転換。ロシア的というには,どこかに華やぎを残す沈鬱さ。
 じつは,チャイコフスキーの多くの楽曲の中で,最も数多く聴いたのはこの曲だ。短い時間でチャイコフスキーを聴いたという気分に浸れるからだ。

● ドヴォルザークの9番は先月も宇都宮短期大学管弦楽団の演奏を聴いている。どちらがどうということはない。何度聴いても,いいものはいい。
 指揮の三河さん,ていねいな指揮ぶりはこの人の身上なのだろうけど(というほど,何度も彼の指揮に接しているわけではないんだが),わかりやすく指示を出して,学生たちの良さを引きだそうとしているように見えた。オケも弾きやすかったんじゃないかと思う。

● 欲をいえばキリがない。アンサンブルにはさらに洗練させる余地がある。もっとなめらかに,もっとシームレスに。少しの注意で防げる事故もあった。
 しかし,演奏に力がある。感情移入しやすいというか,余計な雑念を介入させないというか。このあたりが大学オケの良さだ。存分に時間をかけることができるゆえでもあるだろう。あるいは,若さが持つ何ものかの仕業であるのだろう。
 巧い演奏より力のある演奏の方が,魅力がある。聴いて良かったと思うのは,圧倒的に後者の方だ。

● アンコールのくるみ割り“花のワルツ”まで含めて,その力が持続した。このあたりがこれだけの聴衆を集めた理由なのだろうか。
 と,まとめると大団円になって都合がいいんだけど,そうではないだろうなぁ。何か他の理由があるんだろうな。あるいは,たまたまだったのかなぁ。

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