栃木県総合文化センター サブホール
● 山本楓さんのオーボエリサイタル。チケットは1,000円。11:30からの1時間。
彼女のオーボエを初めて聴いたのは,2013年のコンセール・マロニエ。そのとき,山本さんは2位だったんだけどね,ぼくの審査(?)によれば,彼女が1位だったんだよなぁ。
まぁ,あの松山冴花さんもこのコンクールの弦楽部門では2位だったんだからね。コンクールの結果っていうのは,そもそもがあまり気にする必要のないものなのかもしれないんだけどね。
● 山本さん,地元の出身。地元の普通高校から藝大に進み,現在はイギリスに留学中。それでもオーボエで名をなすのはなかなか容易なことではないのだろう。
茨の道に進めるのは選ばれた人たちだけだ。けれども,選ばれることが本人にとって幸せなのかそうではないのか。それは誰にもわからない。もちろん,本人にも。
● 曲目は次のとおり。
アグレル ブルース-D.Dのために
サン=サーンス オーボエとピアノのソナタ
ロベルト・シューマン 夕べの歌
クララ・シューマン ヴァイオリンとピアノのための3つのロマンス
● 初めて聴く曲ばかりだ。サン=サーンスのオーボエソナタは,その世界では知らない人のいない名曲だというんだけど,ぼくは知らなかった。
ぼく程度のクラシックファンが垣間見るのは,クラシック音楽という宇宙のほんの一部にすぎない。それでいいと居直っているけれど,多少は揺さぶってみたい気持ちもある。
● そのためには,自分の意思で選曲して聴くのではなく,ランダムに流れてくるのを受動的に聴くシステムを作るといい。ラジオやテレビの音楽番組を聴くのはいい方法かも。
スカパーには音楽専門チャンネルもある。が,CS放送というのはそれ自体がすでに終わってしまっている情報伝達型式でしょ。NHK-FMの利用が現実的でしょうか。“らじるらじる”をスマホにインストールして,「聴き逃しサービス」を利用してみるか。録音もできるとさらに便利なのだが(→できるらしい)。
スマホなら海外の音楽専門番組も聴ける。が,あまり一挙に高度化(?)してしまうと続かないからね。
● 特に印象に残ったのはシューマン「夕べの歌」。「子供のための12の連弾曲」の中の最後の曲。つまり,元々はピアノ曲。それをヨアヒムがオーボエ(orヴァイオリン,フルート)&ピアノ曲に編曲したもの。
この曲を含めてシューマンをまとめて聴いてみようか。ライブで聴いたのは,交響曲の1番と3番,ピアノ曲のいくつかにとどまっている。
こういうことも,生演奏に接すると,その都度思うことだ。バロックの演奏を聴けば,バッハ以外にも聴かなきゃと思うし,ジャスを聴けばジャズも聴かないとなぁと思う。
で,これまた実行するのは難しい。たんに聴くというそれだけのことが,実際にはなかなかできないんだよね。
● 演奏家は演奏しているときだけ演奏家なのだね。そうじゃないときは,ただの人っていうか普通の人なんだ。
何をあたりまえのことを,と言われそうだけれど,山本さんのMCを聞いているときに,ハッとする思いでそう思った。ぼく的にはひとつ発見したような気分なんですけどね。
● 以下はまったくの余談。このリサイタルとは何の関係もない。
サブホールながらほぼ満席。平日の昼間にこんなところに来れるなんて,世の中に暇人は多いのだな,と自分を棚にあげて思った。日本もまんざら捨てたもんじゃない。
もっとも,こういう感興に浸りたければ,平日昼間にパチンコ店に行ってみればもっと強烈に味わうことができる。
● あるいは,平日開催の競輪もね。お客離れが言われて久しいけれども,それでもまだまだ爺さんたちが蝟集しているでしょ。
公営賭博の功罪に深く思いを致しつつ,日本も捨てたものじゃないと思うのは(思えないかもしれないが),なかなかに趣のある時間の過ごし方かもしれんね。
● ちなみに,賭博の9割以上を公営賭博が占める。自治体が一生懸命に推進している。あるいは,衰退を食い止めようとしている。
でもって,残り1割未満の賭博に対しては,刑罰(賭博罪)をもって臨む。強盗犯人がスリやカッパライを取り締まっているようなものだ。
屁理屈はいくらでも立てられるけれども,現状を直視するなら,関係法令を整備したうえで(つまり,暴力団の資金源になるのを防がなければいけない),賭博罪は廃止すべきだと思う。
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